グアムやサイパンを含む「コモンウェルス」?
第二次世界大戦で敗戦した日本は、植民地政策を活発に行なっていた諸外国から、なぜか植民地政策批判をされ、戦後主権統治しているのは47都道府県のみ、ということになっています。
したがって、グアム島のようにアメリカの「準州」であるとか、サイパンを含む北マリアナ諸島がアメリカの「自治領」とか「コモンウェルス」であると言われてもピンとこないと思います。
選挙権や被選挙権、法の適用などいろいろな違いはあるのですが、要は、アメリカ合衆国を構成する50州に比べると、やや弱いつながりを合衆国連邦政府と持っているという程度の理解をされておけば良いと思います。
通常のアメリカ入国時のルール
グアムおよびサイパンを含む北マリアナ諸島に入国するには、アメリカの移民法が適用されるのですが、他の50州と違って特殊なルールがあり、このルールは日本のパスポートを持った方にも適用されます。
通常、日本人がアメリカの50州に入国する場合で、ビザの許可がおりていないときには、ESTAというウェブサイトを通した登録をすることで、事前に渡航許可を得ておきます。
以前は、ビザウェーバープログラムと呼ばれていましたが、今はオンライン化したことに合わせて、ESTAと呼ばれています。実質は同じものです。ESTAによる入国は、最長で90日間許されます。就業等は許されませんが、基本的に最長で90日の合法的な滞在が許されます。
アメリカ移民法の特殊ルール~ESTAに限らない~
グアムおよび北マリアナ諸島については、この米国移民法で定められているESTAを利用しなくても、最長で45日間は、別に用意されているグアム・北マリアナ諸島ビザウェーバー(Guam-CNMI VWPと略称されています。)という制度を利用すれば滞在が可能です。Guam-CNMI VWPが利用可能なのは、グアム空港、サイパン空港など6つの入国場所となります。
重要なのは、ESTA登録をしなくても、45日間以内の滞在であれば、別途Guam-CNMI VWPという制度を使えば、グアムおよび北マリアナ諸島に入国できるということです。日本からの旅行客が多いので、日本を含めいくつかの国を対象に特別な制度を用意したと考えてください。
「グアム・北マリアナ諸島ビザウェーバー」適用の要件
このGuam-CNMIはEstaのようなコンピュータでの事前登録は不要です。
一方で、以下の要件を満たさなければいけません。
(1)日本国のパスポートを持っていること
(他にも、オーストラリアや台湾パスポートなどがこのプログラムの
対象となっています。)
(2)入国の目的は観光または商談(就業ではありません)であること
(3)グアムまたは北マリアナ諸島のみに45日間超えない期間の滞在であること
(4)45日以内に自国へ戻るための航空券を持っていること
(5)Guam-CNMI VWP用のI-736という用紙に記入済みであること
(6)I-94という出入国記録用紙が記入済みであること
が基本的な要件となります。
さらに、以前に犯罪歴や移民法違反歴がないことも要求されています。
通常45日、例外として最長15日の延長あり
2009年から、新たにGuam-CNMI VWPに付加されたルールですが、緊急事態が発生して、どうしても、45日間を超えて滞在が必要な場合には、最長15日間に限り裁量で出国の延長を認められることになりました。
たとえば、事故によって入院治療が必要な場合でしょうか。この緊急延長申請が認められれば、最大で60日間は、不法滞在とはならずに認められることになります。
以上のようにグアムや北マリアナ諸島に入国するためには特別なビザ無し入国の方法が定められていますので、必ずしもESTAは取らなくても良い、ということは覚えておいてください。ESTAで登録をしておけば、もちろんそれを理由して出入国はできますが、45日間以内であれば、別のルールが用意されています。
時々、北マリアナ「連邦」という言葉を使う訳語がありますが、この「連邦」というのは、アメリカ50州を管轄する「連邦=Federal」という意味合いではなく「連邦=Commonwealth」という意味なので、混同しないでください。Commonwealthの意味は自治の関係、友好関係という緩い意味しかもちません。
グアムではこのGuam-CNMI VWPについて、正確に法律の情報をまとめたサイトを用意していますので、以下を参照してみてください。
http://www.visitguam.jp/travel/entry.html#section01
また次回、新しいトピックを考えていきましょう。
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