リゾート地のタイムシェア。法律的には?(2)_981

Golden Gate sanfran

法律ノート 第981回 弁護士 鈴木淳司
June 30, 2015

 米国連邦最高裁判所が同性婚を認めました。5対4と意見が割れたのですが、とにかくまた新たな権利が認められました。各地でかなり大きなパレードや祝杯があげられ、喜ぶ人たちが溢れかえっていました。一方で、最高裁判所が政治的な判断をするべきではない、と批判する人もいます。

 確かに、5対4という僅差での判断でしたが、アメリカというのは、司法制度が社会全体にダイナミックな影響を与えるすごい国だなとつくづく思いました。だから、いろいろな批判もありますが、弁護士になりたいという若者が減らないのかもしれませんね。

リゾート地のタイムシェア。法律的には?(2)_981

 さて、前回から「あるリゾート地で、タイムシェアを購入しました。最近ではいろいろなプランが出ていて、将来的にも家族で有効に使えるかなと思い夫婦で決断しました。気に入っているリゾート地なので、ただ単にバケーションでお金を使うのであれば、資産価値もあるので良いのではないかと思っています。しかし、インターネットではいろいろネガティブな話もあり、毎年の管理費を払うときになって不安になります。法律的にはタイムシェアというのは、どのように考えれば良いのでしょうか」という質問を考えてきました。

賃貸借タイプか、所有権タイプか

 前回は、全体像を考えました。そして、資産価値についてどう考えるのか、というところで終わりましたので、そこから続けていきたいと思います。

 まず、どのような権利をタイムシェアでもらえるのかを考えなければいけません。一年に決まった日数使用ができる賃貸借のタイプなのか、52分の1を所有できるタイプなのかが重要なポイントになります。

 通常賃貸借タイプの方が安く売買されます。デベロッパーが所有権を持ち、物件を賃借するだけですので、所有者になれるわけではないからです。あくまでも、利用権ということになるわけです。賃貸借タイプの場合、譲渡することも制限されることが多いので、気をつけるべきポイントです。

 一方で、所有権をもらえるタイプのタイムシェアもあります。この場合、固定資産税などの税金を支払うなど、所有者の権利でなく義務もついてきます。

売却が難しいタイムシェア

 所有権が移転するか否かで、資産価値も違ってきますが、タイムシェアはさて売ろうと思っても、あまり人気がないのが現実です。いろいろな不動産売買のサイトなどを見ると、タイムシェアについての売買が見られると思いますが、現実問題として、購入対象物件の将来的な売買可能性を周辺物件や、土地柄などから把握されておく必要があります。

 資産というのは換金できることが重要ですので、このリサーチは必ずする必要があると思います。単に「ここはリゾートしていいなぁ」などと感情に流されてはいけません。

 それから、タイムシェアを分割で購入した場合、毎月支払う額は分割購入額だけではないかもしれません。前述のように税金の支払い、管理費、修繕費、又貸しをできなかった分の補填など、潜在的な支払いが存在します。タイムシェアを購入するとしても、かなり慎重にシュミレーションする必要があると思います。

 そして、タイムシェアを購入して、毎月支払いをちゃんとしていたが、ある時、タイムシェアを売却したいと思っても、売れない、そして、毎月の支払もできない、というシナリオに陥った場合、タイムシェアが競売にかけられてしまう可能性があります。もちろん、高くは売れずに安い金額で売られてしまい、残額債務については、まだ責任をもたざるを得ない、といった事態にもなり得ます。

購入前にコストを比較

 タイムシェア購入を考えるときに、かりに同等のホテルや家を借りた場合に、どの程度のコストがかかるのか、よく比較する必要があると思います。毎月縛られてお金を払う義務が発生するよりも、好きなときに、好きな場所を選んで、新しい物件に泊まる方が、義務感がなく、安上がりかもしれません。最近ではホテルであっても、朝食は無料というところも多いわけですし、キッチンもフル装備でついていてリーズナブルな値段のところも増えています。

 結局は好みの問題かもしれませんが、私だったらタイムシェアは買いません。できれば、世界どこでも、タイムシェアやそのネットワークに縛られずに旅行したという気持ちが強いからです。一方で、私の知り合いなどは、タイムシェアを買って、寒いときには暖かいところに行くというのをリタイア後の楽しみにしている方もいますので、人それぞれでしょうか。

クーリングオフ期間

 それから、バケーション中に盛り上がって、タイムシェアを買ってしまった、という方があとで契約を撤回したいと思うことがあります。クーリングオフ期間、つまり頭を冷やす期間ということですが、カリフォルニア州でも、タイムシェアのメッカでもありますハワイ州でも、基本的に契約に署名してから7日間となっています。また州によっても、期間に違いがありますので、気をつけてください。

 次回新しくいただいている質問を考えていきましょう。夏本番ですが、クーラーで体調を崩さないように気をつけて、また一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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