新しい移民行政の動き(H-1Bの不正防止/Priority Date)

Washington DC Capitol of the United States

じんけんニュース 03-31-2024 弁護士 鈴木淳司
Mar 31, 2024

一週間忙しくしていたので、じんけんニュースが書くのが遅くなりました。
一方で、3月末に色々新しい移民行政の動きがあるので、ここでご紹介していきましょう。
私が所属するマーシャル・鈴木総合法律グループの移民チームにも協力してもらいました。
今回は2つのポイントをご紹介しておきます。

H-1Bの不正防止対策

パスポート情報の登録義務化

2024年度、H-1Bビザの登録者急増や申請登録内容の不正行為が多々あったため、登録者のパスポート番号も必須な情報として位置づけました。複数の不正登録を避けるためです。

実際に登録の作業をしていると、「Check for duplicates」と出てきて、同様のパスポート番号がでてくると登録ができないような仕組みが導入されています。

また、申請時には
「If a registrant, or their authorized attorney or representative, submits more than one registration per beneficiary in the same fiscal year, all registrations submitted by that registrant, or on their behalf by their authorized attorney or representative, related to the beneficiary for the fiscal year will be considered invalid, and USCIS may deny or revoke the approval of any petition filed for the beneficiary based on those registrations.」
と書かれているので、かりに不正が見つかった場合には、申請そのものが拒否されるということが明らかになりますし、移民を扱う弁護士などにも不利益が生じることが明記されました。

2024年4月からのアップデート

今後としては、予定通り3月31日までに当選者が発表され、4月1日から実際の申請である I-129 フォームを使った申請が受け付けられることになります。

今年度の申請が始まる4月1日に合わせて、以下のような各種アップデートもありました。

  1. Form I-129が最新バージョンに更新される
  2. Form I-129がオンラインでも提出できるようになる
  3. Form I-129の紙ベースのFiling Location(送付先)がLockboxに変更する
  4. Form I-129のFiling Feeが値上げされる
    (従業員25人以下の会社は据え置きの$460だが、26人以上の会社は$780)
  5. 上記と違い4月1日に合わせてではないが、2月末からI-907 Filing Feeも値上げされたので注意が必要である。

といった内容です。

このように、かなり今年度の申請方法も変わっているので注意されてください。

Priority Dateについて

永住権を申請する際に、「Priority Date」(優先登録日)というのが問題になることがあります。

米国市民の最も近い家族

アメリカ国民と結婚する外国人、21歳以下の子、21歳以上のアメリカ市民を子としての親の申請、などは申請が受け付けられると、すぐに審査に入ります。

このように、手続き的に優先されています。背景としては、アメリカ市民が軸となって関わっているからです。

雇用や一定の家族による永住権申請

しかし、雇用による永住権申請や、上記以外の家族関係に基づく永住権申請については、Priority Dateというコンセプトがでてきます。
ラーメン屋の順番待ちのような仕組みです。

何年に申請して、色々な移民法上のタスクをこなしても、そのビザの発給数が法律により限られているので、何年も待たなければならないという現実があります。

そうすると、許可は受けているが、数年待たなくてはならないというケースも多く生じます。
最近ではコロナから脱却しつつあって、申請も混み合い、移民局の対応もどんどん遅くなってきています。

USCISの許可はあるが永住権の発行待ち

このような状態ですと、許可が降りても「順番待ち」という状況になっていくわけです。
どの程度待つのかは、移民局が出しているビザ・ブレティン(Visa Bulletin)を参照するとよく分かります。
https://travel.state.gov/content/travel/en/legal/visa-law0/visa-bulletin.html

移民局自体の許可はおりたとしても、一方で、永住権者を数的に限定せずに増やさないための人数制限をしているわけです。
そして、申請者が多ければ多いほど、列が長くなり、申請が遅れていくという現実もあります。

今では、中国、インドからの申請がとても多い状況ですので、これからも遅滞は膨れ上がっていくことになります。

ですが、順番待ちをしている人たちにも、一定程度の恩恵は与えられています。

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作成者: jinkencom

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