米国_隣人トラブルによる調停(1)_1364

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1364回 弁護士 鈴木淳司
May 2, 2023

 私の所属する事務所も懇意にしていたファーストリパブリック銀行が破綻し、買い取られてしまいました。
他の銀行とは比べ物にならないほど、サービスが良く、働いている皆さんもテキパキと仕事をしてくれていたおかげで、とても事務所も助かっていたのですが、まさかの事態です。
預金等は助かったので良かったです。

私はその銀行で働いている友人とやり取りをしていますが、銀行の資産を買い取られたあとでも通常の業務はやっているが、新しいボスが来た、と言っていました。
働いている人達のことを思うと心が痛いです。
シリコンバレー銀行の破綻からの貰い事故でこのようなことになるとは思ってもいませんでした。
また、サンフランシスコのダウンタウンから私の好きなものが一つ消えてしまいます。

米国_隣人トラブルによる調停(1)_1364

 さて、今回から、皆さんからいただている新しい質問を考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると「ベイエリアで一軒家を借りて住んでいる学生です。友人たちと一緒に借りているのですが、最近隣家とのトラブルが色々生じています。音楽がうるさいとか、車の止め方が悪いとか、夜中に大声が聞こえるとか、口頭や書面で苦情が入ります。一度は警察まで呼ばれましたが、ただ事情を聞かれて終わりました。私の家では、隣人が言うような問題を起こす人はいませんし、言われている苦情も理解できないものが多い状況です。このようなことが1年近くつづいているのですが、法律でなんとかならないものでしょうか」というものです。

隣人問題は生じがち

 隣人問題は、都市部に済むとどうしても生じる問題です。
私の所属する事務所にも、ゴミの片づけの問題、ハラスメント行為、駐車場の問題など、日々の生活で生じる問題は数多く相談が来ます。
できるだけ丁寧に一つずつ相談に乗るようにします。
潜在的に深刻な問題があるかもしれないからです。

弁護士に依頼すべきか

一方で、弁護士に依頼して、対応するという状況までエスカレートすると費用対効果が疑問になります。
弁護士に依頼してお金を払ってまでも解決するレベルの話であれば良いかもしれませんが、往々にして、隣人問題を大きくしても誰も得をしない状況は多くあります。

弁護士が代理をして、隣人に対して抑止するような手紙を書いて、隣人も冷静になり事態が収束することもありますが、必ず功を奏するわけではありません。
隣人といっても、どのような人かわかりませんから、こちらが想定するような方法で事態が必ず収まるわけではありません。

隣人のことはよくわからない

 隣人と揉めると、問題は長期的についてくることになる可能性があり、仲良くもなれないという状況になるかもしれません。
できれば隣人とは揉めることなくお互いに尊重しあえる間柄になっておくことは理想ではあります。
しかし、隣人を知ろうと思って何か方策はないかというときっかけもなかなかないというのが現実だと思います。

 私もいろいろな相談を耳にするのですが、やはり隣人との問題はあっても、隣人のことはよくわからないというケースがほとんどです。
相手方も理解できない状況でその隣人に対して、法的な措置をしても、根本的な解決にならないことも多々あります。
せっかく弁護士に頼んだのに、結果がでないということもあるわけです。

調停サービスという方法も

皆さんのお住いの地域にもよりますが、市や、郡などの地方自治の単位で、隣人同士の調停をするサービスを提供していることがアメリカでは多くあります。
たとえば、サンフランシスコ市ではコミュニティーボード(https://communityboards.org/resolution-services/neighborhood/)という団体があります。
私の知っている人間関係の整理に関して優秀な弁護士たちも、調停員として参加しています。

 まず、弁護士に依頼して隣人に何か言うよりは、このような地域に根ざしたサービスを利用して、解決策を模索することを考えられた方が今回質問されている方などにとっては、良い事例かもしれません。
隣人同士で勘違いをお互いにしている場合もありますし、お互いに知らない以上、話し合いをせずにエスカレートしているという場合もありましょう。
そういったときに、すぐに弁護士に依頼して訴訟を考えるよりは、まずはこのような地域サービスを利用して、平和的な解決ができないかを模索するのが良いと思います。

弁護士に依頼すればお金がかかります。
裁判所だって、隣人問題を滔々と聞くのは、あまり積極的ではないと思います。
そういったときに、隣人同士が納得できるような機関に相談するというのは一つの方法論ではあります。

 具体的に、この隣人同士の調停が進むのか皆さんと一緒に考えていきましょう。
ずいぶん旅行をされている方も多く、人が行き交います。
春を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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