法律ノート 第1343回 弁護士 鈴木淳司
Dec 3, 2022
ベイエリアで一晩強い風雨に晒されたら、ぐっと冷え込みました。
朝は足元をすくわれそうになる霜が降りるようになりました。
一ヶ月前は半袖で良かった日もあったのに不思議なものです。
天気は冬ですが、ワールドカップは大変な盛り上がりでアジア勢が善戦していますね。
裁判中に裁判官も話題にしているのでずいぶんアメリカでも浸透してきたのではないでしょうか。
裁判官が三苫を応援しているといったのはびっくりしましたが。
みなさんもスポーツ観戦楽しまれていますか。
私も今週末は49ersの試合を見に行くのを楽しみにしています。
米_お金を貸した相手が行方不明(4)_1343
さて、前三回、「カリフォルニア州に住んでいる者です。コロナ禍のとき、同じアパートに住んでいる住人と仲良くなり(両家庭ともステイホームをしていたと思われる)、お互い家族も含めよく話すようになりました。なんでもご主人の仕事がコロナの影響でなくなったということで、借金を申し込まれ数千ドルを貸しました。その後、突然その住人は引っ越してしまい居所がわからなくなってしまいました。簡単なお金の貸し借りに関する契約書も結んでいますし、領収証などももらっています。長く放置するとお金が返ってこないということも知っています。弁護士に相談しましたが、弁護士に委任するには金額が見合わないと言われています。このような場合どのようにお金を返して貰える方法があるのでしょうか。」という質問を考えてきました。
実際に少額裁判を提起する場合、どのように手続きは進行していくのでしょうか。
前回考えた送達がうまく実効したことが前提です。
少額裁判は一回で終わる
少額裁判というのは、何度も法廷を開くわけではなく、一発勝負で終わります。
ですので、裁判を提起したとき、または後日、一回だけの期日が設定されます。
そのときに、今回質問されている方であれば、ご本人や家族や友人などの証人、そして締結した契約書などをその期日に合わせて出廷提出する必要がでてきます。
訴えられた隣人だった方も同じように準備をしなければなりません。
この出廷において弁護士は同行することは許されず、あくまでも本人訴訟になります。
出廷前に弁護士の手を借りるのは可能
一方で、この法廷が開かれる前の準備段階で弁護士の手を借りることは許されているので、たとえば事件の概要をまとめ、どのような証拠を出すのか表をつくってもらうなどの準備行為を弁護士に頼むのは良い手かもしれません。
法律家の目線で書類を用意すれば裁判所も読みやすく、理解が進むと思います。
宣誓書という形で提出するのでも良いと思います。
色々やり方はありますが、とにかく出廷前に準備をしておくと良いと思います。
少額裁判所の期日は、一つだけではなくかなり多くの事件について審理が同時刻に設定されています。
イコール最初に呼ばれないとそれなりに待つことになります。
そして、裁判官によっては、その待っている間にできれば当事者で話をして和解できないか廊下で話してくるように命じる人もいます。
自分たちが呼ばれると、裁判官が事件を仕切ります。
まず原告(訴えた側)の話を聞いて、それから被告の話を聞きます。
話を聞きながら、双方が証拠を出していきます。
その証拠を出し切ったら、その場で判決をする例もありますが、ほとんどの場合は後日書面で結果が送られてくることになります。
裁判所で事情を聞いたあと、裁判官が時間をつかって判断するのです。
ですので、法廷のその場で色々裁判所を説得するだけではなく、事前に宣誓書などの形をつくっておくと、法廷が終わったあとにでも、裁判官が事件を復習する手助けになるという部分もあります。
判決文は、郵送されてきますので、その内容を確認し勝っていれば支払いを求めたり強制執行を求めることができます。
負けていれば、第二審となる裁判所に上訴をする(カリフォルニア州だとSuperior Courtになります)ことになります。
このような手続きは、時間もかかり、手間もかかります。
ですので、単純に裁判を提起すれば良いとは言いにくい側面があります。
金額が少額であれば、最後の手段として位置づけておいてください。
ただ、泣き寝入りをする必要はありませんので、他に返してもらう手段がなければ、ぜひ少額裁判を活用してみてください。
コストは通常の裁判を利用するよりも格段に安いですし、心のもやもやについて判断を受けられるので躊躇をする必要はないと思います。
ここまでで、今回の質問にお答えする筆を置きますが、なにか追加で少額裁判について、考えたいポイントがあればぜひ法律ノート(question@marshallsuzuki.com)まで、送っていただければと思います。
どうも、私の周りでは風邪かインフルが流行っています。
どうかワクチンを打っていたとしても気をつけてください。
これからさらに寒くなってきますが、体調管理を万全にしながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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