弁護士 鈴木淳司
April 30, 2023
先日、H-1Bビザの抽選申し込みの〆切となりましたが、驚くべき推移がみられました。
まず、H-1Bビザというのは、コンピュータ関係など、大学で習得した学位を直接的に利用できる専門的なポジションに就職する場合に発給されます。
たとえば、会計のエリアで学位を得た外国人がアメリカで就労したいと思えば、会計士として就職する場合には、H-1Bが適しているといえます。
しかし、以前から、アメリカの議会で議論されてきた点として、H-1Bビザが、アメリカ人の就労を脅かすということです。
アメリカ人の利益と外国人の受け入れを衡量して、毎年新規発給上限数を6万件と法律でしています。
一時期上限を上げたりした時限立法はありましたが、基本的には、新規発行数は6万件、さらに大学院を卒業している別枠として2万5千件が用意されています。
計8万5千件の発給数が用意されているのですが、過去10年間で、この枠を下回る申込みになったことはなく、必ず抽選が行われることになっています。
数年前まではせいぜい申請者が20万人前後でしたので、実質の競争率は3倍程度でした。
しかし、2024年度分の申込者の数が、先日の〆切までになんと、70万件を超えました。
最大発給数の8倍程度になります。
今までは、新規のH-1取得は、2~3年の間に当選するだろうという感覚が一般的だったのですが、そのような状況も大きく変わってきたのが現実です。
この大幅な増加について、抽選申し込みの不正利用があると言われています。
2020年度までは、H-1Bビザの申請の前座として、雇用を計画する企業が、詳しい企業情報などを事前に提供する必要がありました。
また、その登録にかかる申請料もそれなりに必要でした。
ところが、2020年度に抽選方法が変わり、抽選申込者が自分の名前を提供し、10ドルを支払うことで、登録ができるようになりました。
そして、報道によると、この制度を利用して、複数の会社で同一人物を雇うことにするなど、同一人物が複数回申請をしているなどの問題が発生しています。
また、別の報道では、企業側もいくつか、この抽選制度を利用して、複数回抽選を手助けするなどの問題が生じているということでした。
このような不正利用が多く行われていることが伺われています。
急激な申請者数の増加が、不正な方法での申請の増加によるものであると、選抜される申請者も正当な方法によったのかわからないですよね。
移民局が、審査をする段階で不正利用者を見抜けるのかがこれから問題となってくるところでしょうか。
かりに、第1回の抽選当選者約11万人のなかで、本申請をして発行数が8万5千件を下回った場合には、再度抽選が行われる可能性はでてくるとは思います。
その場合には、こちらのニュース(ブログ)でまたお知らせしていきたいと思います。
とにかく、かなりの数からの抽選となった現実はあるわけで、たとえば日本人にしても、大学を卒業して、アメリカで就職したいと思ってもなかなか、簡単にビザが取れない状況になってしまいました。
今後、法律も変わっていくでしょうが、学生の方々にとっては、かなりシビアなH-1B事情になってきました。
抽選制度の改善を望みます。
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