米_飲酒運転で有罪プロベーションとは(2)_1331

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1331回 弁護士 鈴木淳司
Sep 12, 2022

 ベイエリアでは信じられないくらい暑い日が一週間ほど続きました。
ほとんどのベイエリアの家は、ヒーターはあっても冷気の出るクーラーはついていないので、大変でした。
今までクーラーなど要らなかったのに、信じられない気候でした。
少し収まりましたが、最高気温をベイエリアの各地で塗り替えたようです。
場所によっては、携帯の充電をしながら涼める避難所なども設置されたようですね。
もう9月ですが、秋の気配はゼロであります。
みなさんのお住いの地域の天気はいかがでしょうか。

米_飲酒運転で有罪プロベーションとは(2)_1331

 さて、前回から考えてきた「先日、飲酒運転で有罪を言い渡されました。言い逃れができないと思っていたので、弁護士も付けずに最初に出廷した日に有罪を認めました。そこで、罰金などが決まったのですが、プロベーションというのを3年間言い渡されました。この3年間のプロベーションというのは、国外にでることなどは問題ないのでしょうか。永住権は持っていますが、日本人なので、日本と行き来をしたいと思っています。」という質問を続けて考えていきましょう。

プロベーションは2種類

 前回、プロベーションには大きくわけて、フォーマルとインフォーマルという2つのプロベーションがあるということをお伝えしましたが、基本的には有罪を認めたあとに、一定期間行政の監督がついて、「ちゃんとやっているのか」を確認するための制度であります。

「ちゃんとやっているか」を確認されるのですから、たとえば、いかなる罪を犯さない、飲酒運転で有罪になっていれば、酒を一滴も飲んだ状態で運転しない、DV事件であれば、被害者等にコンタクトをしない、警察官の求めに抗わず車を運転している場合には、車内を捜索させる、などといった条件が付きます。

フォーマルの場合には、保護観察官が付きますので、保護観察官に定期的にレポートすること、就業を続けること、探すことを報告することなどが求められます。
また、飲酒運転やDV事件の場合には、一定期間のクラス受講が義務付けられます。

これは法律で定められているので、細かく、どこの機関で、どの程度のクラスを受講するのか、判決の言い渡し時に決まるのですが、この進捗についても、保護観察官にレポートしたりする必要があります。
インフォーマルであれば、受講したことを証明する証書を裁判所に出せば終わりになります。

裁判所に出廷を求められる場合もある

 また、場合によっては裁判所に出廷を求められることもあります。
裁判所に行って、「真面目にやっとります」とご機嫌伺いに行く感じになります。

今、現在進行系で私の所属する事務所で扱っている事件で、「出廷せよ」と言われているのですが、日本にいるので、ビデオ出廷を頼んでいるのですが、裁判所が頑として許可しないようなケースもあります。
保護観察中はまな板の上の鯉状態な部分もあります。

今回質問されている方は初犯の飲酒運転ですので、まずフォーマルな保護観察ではないと思いますので、日本に行くためにアメリカに出国することはまず問題はないでしょうが、たまに出廷を命じられる場合があります。
このような出廷には直接行くことが必要になりますので、予定を組むには注意をする必要があると思います。

罪の重さでプロベーションの義務も変わる

 また、重罪と軽罪とでも、プロベーション中の義務は変わってきます。

重罪の場合には、より厳しい監督がなされます。
プロベーションのことを先週から書いていたら、ちょうど、数年前に私の所属する事務所が弁護して無事に解決した事件で、プロベーション違反の話が舞い込んできました。
要は、最終的に保護観察中には、何をしなさい、何をするな、ということを言われるので、それを遵守していれば良いという話です。

そして、その遵守事項のなかに、「海外に渡航してはいけない」と書かれていれば守らなければならないでしょうが、そのような事項は今まで見たことがありません。
ですので、今回の質問に対しては遵守事項をよく読んで、そのなかに書いていなければ、海外渡航は問題がない、ということで良いと思います。

 州の裁判所と連邦の裁判所でも遵守事項は違ってきますし、事件の性質によっても遵守事項が違ってきます。
具体的なケースで保護観察の内容も変わるということを覚えておいてください。

たとえば、今回の質問にある飲酒運転では、酒を一滴でも入れて運転するな、という事項がありますが、万引き犯の場合には、酒に関する遵守事項はまったく入りませんが、一方で万引きをした店、チェーン店ならそのチェーン店全部に対して出禁にするという条項がつくのです。

保護観察は刑というよりも、再犯防止、教育、公共の安全といった観点から課されるものですので、罰というよりは、社会復帰の一部です。
ですので、禁止事項は、有罪を認められた罪に密接しているものでカスタムメイドなのです。

 また、次回新しくいただいている質問を考えていきましょう。

もう、量販店ではハロウィンの物が並びはじめています。
秋という感じが全くしませんが、オミクロンに気をつけながらまた一週間がんばっていきましょうね。

■Mothers Against Drunk Driving:MADD
飲酒運転を撲滅するためのお母さんたちのNPO法人
https://madd.org/

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作成者: jinkencom

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