法律ノート 第1180回 弁護士 鈴木淳司
Sep 30, 2019
アメリカ現大統領に対する弾劾調査がはじまるようです。ウクライナ政府に対して、アメリカ国内の来年の大統領選挙における政敵に関して調査をするように圧力をかけていた、ということが理由です。内部告発が発端ですが、告発文書を読むと暗澹たる気持ちになります。来年の大統領選挙にどのように影響するのかが関心事ですが、かりに弾劾調査が進まないと、原大統領の再選が確実になっていくのではないでしょうか。
カリフォルニアの飲酒運転、許容範囲!?(1)_1180
今回から皆さんからいただいている新しい質問について考えていきたいと思います。
いただいた質問をまとめると
「カリフォルニア州の大学に留学している者です。学校内で色々なパーティーにも参加するのですが、田舎にある学校なので、飲酒をしたまま車で運転して帰っていく人たちも目にします。私はほぼ飲酒しないので、運転手として友人を送ったりしているのですが、会話のなかで、カリフォルニア州では血中アルコール値が0.08の濃度以上でなければ運転することは許されている、という話をしている人が複数います。しかし、絶対に飲酒して運転してはいけない、という人もいるので何が法律に違反するのか、わかりません。正確な情報を教えていただけないでしょうか」というものです。
今回質問をされている学生さんの質問原文を見ると、この学生さんのまっすぐな感じが伝わってきます。とても正義感の強い方なのだと思います。飲酒運転はいけない、ということで学校の友人たちと言い争いになったようです。ぜひ、今回の法律ノートを読み、正しい知識を広めてもらえれば良いと思います。
州ごとの法律は要チェック
車社会アメリカですから、飲酒運転というのはいつも影として存在するものです。最近ではライドシェアサービスなどが発達して、ずいぶん飲酒運転撲滅に貢献しているとは思います。しかし、いまでもなくなることはありません。飲酒に関する法律は、各州によって定められていますので、アメリカ国内で均一の法律があるわけではありません。
のちほど考えますが、血中アルコール濃度について、どこの線で法律に反するのか、州によっても違いがあります。
今回の法律ノートでは、カリフォルニア州の法律をもとに考えていきますが、他州で運転される方は、必ず適用される州法を参照されてください。
カリフォルニア車両法23152条
さて、カリフォルニア州における飲酒運転を司るのは、カリフォルニア車両法(Vehicle Code)23152条です。
まず、この条文をわかりやすく考えていきましょう。
さて、この23152条ですが、2つのコンポーネントにわかれています。(a)項と(b)項という規定になっています。
(a)項に関しては、飲酒の影響下で運転をするのは違法である、とだけ規定されています。
そして、(b)項は、血中アルコール濃度が0.08%(逮捕時から3時間以内に計測されれば良い)以上の状態で運転をするのは違法である、と規定されています。
この血中アルコール濃度というのは、100ミリリットルの血の中、または210リットルの呼気の中、何グラムアルコールが含まれているのかで計算されます。この計算方法はかなり細かいところまで争われることがありますが、ビール小瓶1本程度でも、0.08%でる人もいますし、体調、睡眠時間、体格などでも、変わってきます。携帯用の呼気検査器具なども売られていますが、日によっても変わるものです。
「飲酒の影響を受けた運転」とは?
この2つの項目を見ると、まず、(b)項ですが、血中アルコール濃度が0.08%以上検出されれば、運転手はいかに交通法規にしたがった運転をしていてもアウトということになります。
一方で、(a)項は、単に飲酒の影響下での運転は違法としているところが違うのです。一体どういうことでしょうか。
(a)項は、飲酒で影響を受けた運転をしている場合を規定していますので、飲酒が少々あっても、交通法規に従って運転していれば、場合によっては「飲酒で影響を受けていない」という申し開きが可能ではあります。
ただ、この可能性は画餅であるのが実務ではあります。
現状はアウトと考えるべき
このような構造になっているので、血中アルコール濃度が0.08%入っている状況で運転していれば、運転しているだけでアウトとなりますが、0.08%未満の場合には、「飲酒で影響がある運転」をしている場合にアウトになります。蛇行運転や、交通違反がある場合が最たる理由であろうと思います。ここから次回続けていきたいと思います。
日が短くなってきていることを体感すると、「秋だなぁ」と感じますね。陽の照りが収まってくると、日中、外でのアクティビティも楽しくなりますね。冬が来る前に、秋を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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