飲酒運転有罪歴と入国許否

空港これからアメリカへ

September 22, 2012

飲酒運転有罪歴がある場合の、アメリカ、カナダへの渡航

 日本でも厳しくなっている飲酒により酩酊している状態で自動車を運転する罪ですが、今回は、一般的にいう飲酒運転で有罪となった場合、アメリカ合衆国およびカナダに渡航することが難しくなるのか、考えたいと思います。
アメリカとカナダはお隣さんですが、似て非なる法律を持っています。ですので、注意が必要です。

アメリカー飲酒運転の犯罪歴の申告は必須

 まず、米国に渡航する場合、飲酒運転の犯罪歴の申告は必須になっています。
 申告を怠った場合には、移民法上の詐害行為とみなされて、入国が拒否されることになります。ですので、そもそも犯罪歴を不申告することはやめましょう。
 米国法では、どの国の飲酒運転に関する法律で起訴有罪になったかの限定がありません。したがって、国を問わず犯罪歴がある場合には、先回りして入国の許否について専門家の意見を聞いておくことは重要です。

アメリカにおける飲酒運転の考え方

 まず、米国入国に関して、過去の飲酒運転がどの程度影響するか考えます。
 米国入国については、もともと米国国内法の適用が前提となっていますので、ここでは米国における飲酒運転の罪を基準に考えていきたいと思います。

 米国において飲酒運転の罪というのは、基本的には各州の刑法によって定められています。 たとえば、カリフォルニア州では、交通法23152条が飲酒運転について定めています。州によっても規定の方法がまちまちですが、飲酒運転の罪の種別では「軽罪」というのが一般的です。
 軽罪というのは、法定刑で最長1年の禁錮が科せられる罪です。Misdemeanorと呼ばれています。

 禁錮1年以上の法定刑が科せられている罪を一般的に重罪(Felony)と呼びます。米国移民法において、重罪であれば原則として入国禁止事由にあたります。

罪の軽重で入国の可否が決まる

 軽罪であれば、原則として、2罪なければ入国が許されます。飲酒運転の罪一罪であれば、軽罪1つということですので、入国の際に止められて第二次検査に行く事を要求されるかもしれませんが、入国禁止とはなりません。ですので、飲酒運転で過去に有罪となったとしても、軽罪であれば入国に問題はないということになります。

 しかし、たとえば人身事故が関わっている場合など、単純な飲酒運転の罪でなければ、再入国に影響する可能性がありますので、過去の犯罪歴については、専門家のアドバイスをもらってください。

カナダにおける飲酒運転の考え方

 一方でカナダの入国に関しては、アメリカよりも厳しく、過去に飲酒運転の犯罪歴がある場合には原則として入国が禁止になります。

 飲酒運転の犯罪歴がある場合でも、カナダ政府からの入国許可をとれば例外的に入国は許されます。この入国許可の申請は簡単ではなく、人格に問題がないことなどを示すための推薦状のようなものまで用意する必要があります。ですので、アメリカへの入国と違い、飲酒運転の犯罪歴がある場合には、必ずカナダ法の専門家に助言等をもらう必要がでてくるということになります。

カナダはアメリカよりも厳しい

 とにかく、カナダは米国よりも飲酒運転に対する態度が厳しいということは一般的に覚えておかれると良いと思います。米国における飲酒運転の罪もカナダ入国に影響しますので、注意してください。

軽罪でも道徳違背ならアメリカでも不許可

 上記で、過去に軽罪一罪だけであれば、有罪歴があったとしても、米国入国ができるということを書きました。
ただ、軽罪であっても、一定の罪で有罪歴があると、アメリカ入国が原則許されないという場合があります。道徳違背の罪(Crime of Moral Turpitude)という一連の罪があります。

 移民法上決められている一定の罪を指しますが、基本的には、詐欺などの人を欺く性質の罪、また一定の人の生命身体を脅かす罪を含んでいます。飲酒運転はこの道徳違背の罪ではありませんので、一罪であれば入国が許されるのですが、一定の罪状であると、道徳違背の罪と移民法上分類されていて、入国が許されない場合があります。どの罪が道徳違背の罪になるのか、というのは、法律で厳しく決められているのでなく、移民局の通達のような形で出されます。また判例によっても変遷していくものです。ですので、有罪歴がある場合には、現時点で道徳違背の罪に該当しないかどうか、事前に確かめることが無難かもしれません。

 飲酒運転は、各国で厳罰化する傾向にありますが、お隣の国でも、カナダにおいてはアメリカよりも有罪の扱いが厳しいということは、覚えておいてください。


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作成者: jinkencom

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