米賃貸アパートで窃盗、誰か保証してくれる?(1)_1325

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1325回 弁護士 鈴木淳司
Aug 1, 2022

 カリフォルニア州の山火事は本当に悩ましい問題です。
夏に水が枯渇し、木々も水分を奪われ、火の好物になっている状況です。
いつも私が可愛がっている、ゴルフ場に住み着いている猫がいるのですが、首をガラガラヘビに噛まれたらしいです。
砂漠の生き物じゃないですか、ガラガラヘビって。
近くにいる他の猫もガラガラヘビの襲撃を受けているみたいです。
サンフランシスコ・ベイエリアは、上着がないと寒いくらいなのですが、ちょっと郊外にいくと砂漠化しているのかと憂慮してしまいます。
日本も全国的にサウナのような湿度で悩まされているようですが、皆さん無事に過ごされているのでしょうか。

米賃貸アパートで窃盗、誰か保証してくれる?_1325

 さて、今回から新しくいただいている質問を考えたいと思います。

いただいている質問をまとめると「私が賃貸しているアパートの入っているビルが窃盗の対象となり、私のユニットも窃盗犯が入りました。ラップトップのコンピュータや置いていた電化製品が盗まれ、被害額は1万ドル以上になると思われます。ビルの入口のロックがもともと壊れていて、他の住人もマネージメント会社に何回もクレームをいれていましたが、少なくとも数週間は入り口が開いたままになっていた事実は、確認されています。数ユニットの人たちはクレームを入れているのですが、保険会社と話をしているといわれるだけで話になりません。このような場合、どのように法律的に失った物に関する請求ができるのでしょうか」という質問です。

法的に過失はあるのか?どう証明するか?

 まず、マネージメント会社や家主になにか請求ができるかということになりますが、不動産の家主や管理者が実際に窃盗をしたのではない場合、全額をいきなり請求できる根拠はありません。
第三者が窃盗をしたのにも関わらず、そのことを家主や管理者が全額負担しなければならないというのであれば、酷ですよね。

しかし、場合によっては、家主や管理者であるマネージメント会社が責任を負わなければならないシナリオで考えられます。
法律で「過失がある」という場合です。

今回の場合、大家や管理者が、アパート全体の入り口のロックが壊れているのに放置していた、ということについて「過失」が存在するのではないか、という話になります。
過失を論じるのは難しい場合があります。
なぜなら、「過失」というのは、事実的に評価されなくてはならず、原告は、こういった点に問題があるという主張をし、被告である大家さんらは、こういったことを積極的にしていた、という面倒なやり取りが必要になるからです。
したがって、クリアーに「過失」というのを証明するのは難しいのです。

事実的な争いにおいて、アパート側としては、最善を尽くしたけど、この窃盗犯が悪い、という形で論拠を作りそうですし、被害者としては、入り口のロックさえ壊れてなければ、窃盗犯のターゲットになっていないという応酬になります。
どのようなやり取りであっても、100%損害額を回復するにはかなり大変な作業が必要になります。
結局悪いのは、この窃盗犯です。

 もちろん、窃盗犯が一番悪いのですが、被害者としては損害額を回復することの方が先決になります。
手厚い家主であれば親身になってくれることもあるでしょうが、最近のベイエリアにおける賃貸物件は、お約束のように管理会社が噛んでいて、もうその管理能力の差たるや酷い差があります。ですのであまり期待できないところではあります。

一方で窃盗犯は、裕福なエリアを狙っていますので、わざわざ遠くから、空き巣にはいるためにベイエリアを狙っているということも事実であります。
このような背景がありますので、賃貸している状況で、家の修繕は大家がするとしても、窃盗犯が出るような状況については、自己防衛をしておいたほうが良いところではあります。

レンターズインシュランス

賃貸借における窃盗や火災などの被害を自分で守るために、アメリカではレンターズインシュランス(賃借人保険)というのが、広く使われています。
賃借人が、自分の持っている動産に保険をかけるシステムです。

この保険を知って入る人はあまり多くないのですが、学生であろうと、働いていようと入ることはできますので、アメリカでの生活を安全にする一つとして、加入されるといろいろな損害から守ってくれる可能性があります。

次回続けて考えていきましょう。

 今年はなぜか夏野菜の生育がわるくて困っています。
いろいろ気候にも変化があって植物も敏感になっているのでしょうか。
私のケアがなっていないからだけかもしれません。
なんだか、色々な気候に関する話題で尽きないですが、また一週間、再度拡大しているコロナに気をつけてまたがんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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