母の遺したもの_1324

thankyoumom

法律ノート 第1324回 弁護士 鈴木淳司
Jul 25, 2022

 今回は、皆さんからいただいている質問にお答えするのを一回休ませていただき、私の感じたことを書かせてください。

今回の安倍首相襲撃は政治的な動機ではなく、個人的な恨みが基礎にあることが段々明らかになってきています。
そして犯人が望んでいた方向にマスコミや世論も動いているように思います。

まだ、本来の事実関係が明らかになっているわけではありませんが、犯人本人が宗教団体を恨んでいたという自己申告をしているわけですから、根本的な動機は明らかなのでしょう。
もちろん、殺人を正当化する訳ではありませんし、私は弁護人でもないですが、犯人の母親が宗教団体と繋がっていて、それで子供の人生に影響したという部分は、個人的に感じるものがあります。

私の母も宗教団体で生まれて、その後その宗教団体と自分自身が正当と信じた理由で仲違いをして、私を含む家族もかなりの影響がありました。
そして、私や妹にとって祖父の宗教団体と母のことで影響があった時期が、襲撃事件の犯人の人生に影響した時期と重なるのです。
もちろん、事実関係は全然違うのですが、宗教団体関係で、翻弄されたという事実だけはなんとなくですが、理解できるのです。

この宗教団体がらみという点では重なるのですが、彼と私の境遇で一番違うことは、母親の意思の強さかな、と思うのです。
私の母は、祖父のところを離れ、それしかやってきていないだろう宗教から離れ、苦労して、私を育ててくれました。
彼の母親は真逆で、やめろと言われても、宗教団体と離れることはできませんでした。
この意思の強さの違いが子供の人生を変えたのかもしれません。

 今回の事件があって、昨年亡くなった母のことを反芻していました。
母のことを思い返すと、とても強い女性だったのだと思います。
昔の女性は慎ましく、とか言われていましたが、心の中では、とにかく強く自分を持った人だったのだと思うのです。

殴られたりした思い出もありますし、子供の頃は鬼のように怖いと思っていました。
食事もコメ一粒でも残すと怒られました。
ただ、今から思うと、母は一時的な感情で怒っていたのではなく、社会でちゃんと通用する人間にするために長い目で教育をしてくれたのだと思います。
ちゃんと躾をしてくれたのだな、と思うのです。

今回の襲撃事件の犯人は親がどのように躾をしてくれたのか、教育をしてくれたのか、考えてしまいます。
確かに、色々な行動をみていると、実はとても頭の良い子であろうと思うのですが、勉強などできても、人間の価値の基礎にはなりません。
人間性はやはり親が教育し、躾けることからついていくように思います。
親がいなくても子は育つと言いますが、厳しくしてくれる親がいることは私にとっては財産だったのだな、と思います。
そして、私の母が厳しく私に接していたのは、実は大きな愛があったからで、そのような心があるから教育や躾が成り立つのだな、と思いました。

母親はとにかく私や妹の利益を最優先に考えてくれたことを、今になってしみじみ感じています。
自分の利益は全く考えずに子供たちを守ってくれました。
母が厳しく、そして大きな愛を持って、私を躾けてくれたので、今の私を作ってくれたのだと思います。
私に与えられた強靭な肉体と精神は、決して遺伝とか自分の努力だけで造られているのではないことを再認識しました。

社会で生きていくため、単に生きるためではなく、人との社会で人の役に立つような人格の基礎を作ってくれたのは、自分自身は苦労した私の母親だとしみじみ思いました。
私が苦労や苦難をなんとも思わない性格になったのも母親を見てきたからでしょう。
反芻しながら、しみじみ天国にいる母のことを思いました。
 
 今回の襲撃犯人は、私などよりも勉強ができる人なのかもしれません。
そして襲撃をする時のビデオを見ていると五体満足じゃないですか。
知力も体力もあるのに、人々に迷惑をかけて自己実現するということは、彼の心の弱さから由来しているのではないか、と思うのです。

もちろん、彼のことを知らないので偉そうに評論する立場には全くありません。
ただ言えることは、人生では色々な苦難もあります。
苦難があるから幸せも感じられるのです。
本人の心の穏やかさや強さが自分の人生を決めるのです。
母親が心の弱さを宗教に頼る、その姿をみていた息子は解決策を人を殺すことに求める。
やはり、この犯人は、そういうところを母親から習ってしまったのでしょうか。
 
色々考えさせられる今回の襲撃事件ですが、私は自分の母親のことを思い、感謝の気持ちを再確認しています。

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作成者: jinkencom

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