法律ノート 第1323回 弁護士 鈴木淳司
Jul 18, 2022
ゴルフの全英オープンが終わりました。
超一流のプロでも遠くからパターを打つ姿を見て、私自身がセントアンドリュースのオールドコースでプレーしたことを思い出しました。
その日午前中にセントアンドリュースのニューコースで、プレーしたのですが、一緒にラウンドした人が地元の人で仲良くなり、予約もキャディーもない私を連れて行ってくれて、ラウンドした良い思い出があります。
コースの途中でわざとボールをバンカーに入れてみろ、と言われて遊んだりしました。とても思い出深いコースです。
友達もできました。みなさんは夏をどのようにお過ごしですか。
日本で米国会社を設立運営できる?(2)_1323
さて、前回から考えてきた「日本在住の者です。個人的にネットで日本語を教える仕事をやっています。最初は色々な人材紹介サイトに登録してやっていたのですが、口コミで広がり、今度できれば会社を作りたいと思っています。そして、アメリカからの依頼が多いのでカリフォルニア州に会社を設立するのはどうか、と思っているのですが、日本に居たままカリフォルニア州で会社を設立して運営することはできるのでしょうか。アメリカでも一人会社が許されているということで、私一人でやりたいのです。」という質問を考えていきましょう。
前回、まずはアメリカにそもそも会社を設立する必要があるのかはビジネスの観点から検討する必要があることを考えました。
かりに、アメリカに会社を作るメリットがあるとして、会社を設立するとどのようなことを日本から操作しなければならないのか考えましょう。
米国会社の設立は日本でも可能
会社の設立は日本にいても可能です。
ただ、気にしなければいけない点はいくつかあります。
米国会社設立時の注意点
まずは、カリフォルニア州でどこか住所と、なにかあったときに連絡先として設定する法人か人が必要になります。
何か政府や、訴訟を提起される場合に、受けられる人や団体がカリフォルニア州内になければならないからです。
したがって、誰かご友人を探すか、そのようなサービスを提供している業者を探さなくてはなりません。
米国銀行口座の開設
次に考えなくてはいけないのは、納税関係です。
会社を設立するだけは簡単ですが、その後、会社を実質的に動かすためには銀行口座が必要になります。
日本でアメリカの会社というだけですぐに銀行口座を開くことは難しいかもしれません。
ですので、実質的にビジネスをするについては、アメリカ国内の金融機関で口座を開く必要がでてきます。
金融機関は、提供を求める書類は各機関で違ってきますが、実質的な所有者(株主)である個人の情報などを要求しますが、実質的な要件は金融機関が設定しているのが実情です。
基本的にはマネーロンダリングを避けるための要件があるので、それを検討しなければなりません。
逆にアメリカで法人口座を金融機関で開けるかどうかを確認してから、法人設立を考えたほうが実働的かもしれません。
また、法人口座を開くためには、EIN(Employment Identification Number)番号というのが必要になります。
これは、実質的に米国の法人のために用意されているソーシャルセキュリティーナンバーであります。
このEIN番号を得るためには、誰かアメリカ国内で代表者になる人のサインが必要になります。
これらの点を基礎として海外で会社を設立できるのかどうか、考えてください。
基本的にお金を毎年支出すれば代理的な活動をしてくれる会社や法律事務所は探せるはずです。
連邦や州への納税
さらに、会社をつくるということは子供を一人新しくつくるようなものです。
ですので、毎年必要な作業に会計業務があります。
毎年最低でも、税金は800ドル払うことになりますし、税務申告の用意をしなくてはなりません。
税務申告も自分で英語を駆使して用意できるのであれば、問題ありませんが、頼むとそれなりにお金がかかるわけです。
このように、会社をつくるとそれなりに毎年お金がかかるのが現実です。
それを乗り越えられるだけのビジネスなのかをまず検討してほしいと思います。
個人事業主でやっていくと上記のような煩雑な手続きは不要になってきます。
そのほうが身軽です。
米国会社のメリット
一方で、アメリカで会社があるということはそれなりに、信用性も担保できる可能性はあります。
アメリカに基地があるということになるわけですから。
私も大きな企業でもアメリカ進出について、勢いでやろうという感じの相談は良く受けますが、まずは全体の将来少なくとも5年間の計画、地図をつくってから進めるのが良いと思います。
たくさん企業は進出して撤退していきます。
何を目的にして、どのような事業計画を持っているのかよく考えてから進めたほうが良いと思います。
また、次回新しくいただいている質問を考えていきましょう。
私は先週蚊に刺されて痒くてたまりませんが、楽しい夏を皆さんお過ごしください。
また、暑さでバテないように気をつけながら一週間がんばっていきましょう。
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