法律ノート 第1423回 弁護士 鈴木淳司
Jun 24, 2024
先週、夏至になり、オフィシャルに「夏」になりましたが、もうすでに暑いですね。
東京は梅雨入りしたと聞きました。
先週、ある日本の企業の取締役会にリモートで出席していましたが、出席者の方々は全員半袖でびっくりしました。
サンフランシスコは、夜は上着がないと過ごせません。
皆さんは今年の夏は何か計画されていますか。
私は、落ち着いたらお話しますが、この数ヶ月色々動いていてポジティブにてんてこ舞いしております。
忙しく楽しい夏になりそうです。
みなさんも、ぜひ暑いですが楽しい夏にされてください。
アメリカに残された財産(2)_1423
さて、前回から考えてきた「私の父は長年日本とアメリカで働いていたのですが、70代後半になり日本で遺言を書きました。私たち家族は父も含め現在日本に住んでおります。最近になってアメリカ国内で父が投資用に買っていた不動産がいくつかあるということがわかってきました。その物件を管理してくださった方が、老齢のためにこれ以上管理ができないということを聞いて、家族が気づきました。すでに日本で遺言を作っているのですが、このようにアメリカの不動産が出てきた場合、どのように処理をすればいいのか教えてください。」という質問を続けて考えていきましょう。
アメリカに残された財産の確認
前回、日本の遺言に加え、アメリカの遺言やトラストが出てくると、訴訟も含めややこしいことになりかねない、ということを考えました。
ですので、お父様がまだ記憶がはっきりされているのであれば、お父様に、アメリカにある財産について、どのような財産があり、どのような所有になっているのか、聞き取りをしたほうが良いと思います。
そして、重要なのは、アメリカにある財産がどのように遺言やトラストに規定されているのか、規定されていないのかチェックする必要があります。
遺言等は複数でも矛盾がなければ問題なし
別に遺言やトラストが2つ以上あっても、矛盾しなければ問題はありません。
私は以前から、日本に存在する財産は日本法に基づいた遺言をつくり、アメリカにある財産については、アメリカのたとえば不動産がある場所に適用される遺言やトラストがあれば良いと思っています。
とにかく、複数の書類が出てきたときには、その複数の書類をよく確認して、矛盾がないことを今回質問されている方のお父様が確認しておく必要があります。
まだ、お父様が元気であれば、たとえ娘さんであっても、原則として遺言の内容については関係がないことになります。あくまでもお父様の書類でありますので、お父様ご本人が自分の意思に基づいて対応をしなければなりません。
遺言等が二つ以上存在することは言及しておく
そして、できれば、2つ以上遺言やトラストをあえてつくる場合には、内容において、2つ以上遺言が存在することについて言及し、できれば包括的な書き方「すべての財産の何%をだれに渡す」、という書き方ではなく、財産毎に相続の内容を指定する、たとえば「不動産●●については、誰に何%」というように大きな財産から書いて置いたほうが良いと思います。
日米の法律に熟知した専門家に相談を
できれば、素人判断するのではなく、日本とアメリカの相続に関する法律に熟知している弁護士に2つの書類を同時に確認してもらうのが良いと思います。
今回質問にあるように、あとからアメリカで不動産の存在が分かった場合には、それまでに存在する遺言をベースにして、その遺言を書き換えるのか、さらにもう一つ遺言をつくるか、ということになるとは思います。ですが、これも素人判断するのは危険だと思いますので、法律の専門家に判断してもらったほうが良いでしょう。
アメリカの財産を遺言に組み込む
問題は、日本の自筆の遺言であると封緘されていて内容が確認できない可能性があります。
公正証書遺言であれば、確認できるはずです。できれば、新たに公正証書遺言を日本で作成し、必要に応じてアメリカの財産を処理するための遺言かトラストがあると良いと思います。
またもう一つの考え方として、かりにお父様が色々動けるのであれば、アメリカにある財産を処分して、金銭に変え、今存在する遺言でカバーする方法もあるかもしれません。
ただ、税金の観点も生じる可能性がありますから、これについても専門家に相談する必要が出てくると思います。
まずは現在の遺言を確認
今回のような質問に関しては、実際に今ある遺言を見てみないとわからないところではありますので、歯切れが悪くて申し訳ありませんが、少なくともどのような点を考えなければいけないのかはわかっていただけたのではないでしょうか。
今年は大統領選もあるので、政治的なニュースに振り回される夏になりそうですが、身近で楽しいことをみつけてまた一週間がんばっていきましょうね。
あなたがずっと抱いている疑問を解消しませんか?
しかし、アメリカの法律事務所はハードルが高い!!確かに。
JINKEN.COMでは、アメリカの弁護士事務所への橋渡しのサービスを提供しています。
お客様の状況とニーズ、ご希望を聞き取り、必要な書類等をまとめる お手伝いです。
私たちは、ジャッジをいたしません。
皆さんの頭の中、お気持ちを、できるだけ正確に表現する業務を行います。
ご料金は事前に明確にご提示し、追加のご請求は一切ございません。
i@jinken.com または こちらから直接お問い合せください。
■関連記事
アメリカに残された財産(1)_1422
財産の管理ートラストとPay on Death アカウント(1)_1254
海外にある財産を相続する _(1) 1186
運営弁護士
アメリカ暮らしを現実に。
JINKEN.COMにアカウント登録して最新のアメリカ移民法にキャッチアップ
■アメリカの永住権を抽選で取得ーDiversity Immigrant Visa Program
アメリカの永住権を抽選で取得する制度があるのをご存知ですか?
日本からも、毎年永住権者として長期合法滞在する方々がいらっしゃいます。
応募サポート希望の方はこちらから
日本出生の方は、高校卒業時点からご応募ができます!当選後も安心のサポート。まずは正しい応募から。
■グリーンカードDV当選後サポート
グリーンカードDV抽選に応募して、当選の確認を忘れていませんか?当選は、忘れた頃にやってきます!
グリーンカード当選後サポートはこちらから
充実した当選後サポートで、安心してグリーンカード取得まで進めましょう。家族・仕事・結婚・離婚・海外在住・介護に闘病と場面は様々ですが、お客様のニーズに柔軟にお応えしています。