弁護士 鈴木淳司
September 30, 2023
最近、アメリカに入国する外国人女性が米国入国管理に止められ、場合によっては強制送還になるという事態が多く報告されています。
トピックは2つ、一つ目は強制送還について、二つ目は電子ビザ導入についてです。
女性の渡米と入国審査
疑いの目の背景には経済状況も
アメリカはドルが強いこと、インフレがあっても高止まり安定をしている(本当に安定しているかはわかりませんが)こと、などから、いわゆるネットを通じたいわゆる「援助交際」をしていると疑われます。
売春目的の入国は移民法の明文で禁止されています(移民法Section212(a)(2)(D)(ii))ので、その条文を利用して、入国の広汎な裁量を行使しています。
経済的な環境から一時的にこのような傾向があるのでしょうが、どこまで続くのやら。
アメリカ国内の売春組織の摘発
2022年にニュースになりましたが、ウズベキスタン、キルギスといった中央アジアから売春目的で入国する外国人を通してアメリカ国内の売春組織が摘発されました。
そのこともきっかけになり、今、移民局のなかでは外国人女性の入国には目を光らせているというトレンドになっています。
日本人も強制送還に
最近私が相談を受けた案件にも、日本からの入国であっても女性一人または二人でアメリカに入国しようとする際に、あらぬ疑いをかけられて、単に観光目的なのに強制送還になったという事例もあります。
一応の対策はあれども…
対策としては、グループ旅行に参加するのが一番安全です。
そして、滞在に関する詳細を予め明らかにできるようにすること、入国の際に地味な服装で地味な化粧をし、疑われるような持ち物を一切持たないようにする、といった方策が考えられますが、女性一人や二人での旅行は、とにかく入国時に注意される必要があると思います。
これが最近のアメリカ入国管理のトレンドです。
今回は、もう一つ、将来的な移民局の試みを考えたいと思います。
電子ビザの導入
電子ビザの話です。
今まで移民局はオンラインで申請ができるというシステムを導入してきています。
広がる移民局のオンライン申請
前回ご紹介した、雇用の際に必要なI-9のE-Verifyもひとつの電子申請システムです。
それ以外にも、米国内における移民局申請についても、たとえば、I-90、I-130、I-131、I-539、I-765、I-907、N-400などのフォーム申請について、オンライン申請が現状で可能になっています。
利便性に優れている反面、「Confirmation/Receiptが届かないままだが大丈夫か」などの側面はあります。
ただ、少なくとも紙を減らし、申請を簡便にしようという方向性は進められています。
滞在査証(ビザ)も電子化
今回ご紹介するのは、申請段階でのオンライン使用ではなく、電子ビザ、すなわち滞在資格を証明するための書類を電子化しようという試みです。
まだ実験段階ですが、実際に発行されるビザを電子化してしまおうという試みがはじまりました。
今まではご存知のようにパスポートにシールのようにビザが貼り付けられていました。これを電子化してしまおうということなのです。
実験開始はK-1 フィアンセビザから
現在試運転が開始されたのは、一部のK-1ビザ(フィアンセビザ)で、ダブリンにあるアメリカ大使館です。
ダブリンというのは、アメリカ大使館(領事館)と親和性が長年ある場所のようで、試験的な導入がスムーズだったようです。
両国英語も話せることもあるでしょう。
さらに、ダブリンには、アメリカの入国管理局が駐在しているので、ダブリンにいる間にアメリカに入国審査が行われるので、ビザの使用がうまくいくかどうか、出発地で解決できるというメリットがあるようです。
発給されるビザは前述のようにK-1ビザで、一回限り有効のものに限っています。
そして、ダブリンからアメリカに直行し経由地がないことが前提になっているようです。
まだ、まさに実験段階ということになるわけですね。
実験成功後は電子ビザを拡大
ただ、このデジタルビザオーソリゼーション(DVA)がうまくいけば、ビザの種類や実施場所を広げていくということを移民局が明言していますので、今後の動向に注意していきたいですね。
まさに時代が変わってきたということだと思います。
そのうち顔認証だけである程度の本人認証ができるように政府機関もなっていくのでしょうね。
また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。
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