法律ノート 第1366回 弁護士 鈴木淳司
May 16, 2023
週末に飛行機に乗ったのですが、空席がありませんでした。
徐々に、元通りの社会に戻ってきたように感じます。
空港もかなり混み合っていました。
ほとんどの人たちはマスクもしていません。
飛行機のなかで、周りをみるとコロナ禍で服装が緩くなったこともあるのか、ビジネス客なのか、観光客なのか見分けがつかなかったです。
一方で、サービス業で働く人達の人数は元に戻っていませんでした。
空港や飛行機でのサービスは、以前とは何か違っているようです。
たぶん、人員不足を補うために、現状メリハリを付けなくてはいけない状況なのでしょうか。
色々感じましたが、人流が元通りになってきたことは良いことだと全体的に思えました。
皆さんも、どこかに旅行に行かれる予定はあるのでしょうか。
米_裁判でドライブレコーダーは有用_1366
さて、今回から新たにいただいている質問を、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
いただいている質問をまとめると「先日、交通事故に遭いました(カリフォルニア州)。自分がわかることについて保険会社と電話でやり取りをしています。事故当時に撮った写真なども提出しています。相手方と私の言い分が食い違っているということで、何度も説明をしている状況です。ドライブレコーダーはあるのですが、私の車の後方の方に相手の車がぶつかったので、映像がありません。それでも、提出する意味はあるのでしょうか」というものです。
要するに、ドライブレコーダーに事故の瞬間は映っていないけれども、保険会社に提出する価値があるのか、という質問だと思います。
簡単な答えとしては「提出する価値はある」ということになります。
以下考えていきましょう。
ドライブレコーダーと帰責性
最近ではドライブレコーダーが発達して、事故の瞬間などがよく映っていることがあります。
そうすると、どちらの運転手に責任があるのか、という問題についても比較的判断がしやすいですし、さらに事故当時の状況なども理解しやすいこともあります。
したがって、交通事故の真相究明にはとても資する技術ではあります。
以前は、どちらに帰責性があるか(どちらのドライバーが悪いか)といった問題で裁判になり、争うということも普通に有り得ました。
紛争の早期解決を図りやすい
一方で、ドライブレコーダーが一般的に普及してからは、保険会社同士の交渉のレベルで、白黒がつけられることになるわけで、紛争の早期解決が図れるメリットが出てきました。
進行方向前方だけではなく後方にもドライブレコーダーがついている場合も最近では増えました。
ただ、まだ前方だけのものも多く、今回質問されている方についても、後方の録画はなかったようです。
映像を証拠にするには
さて、ドライブレコーダーの映像ですが、そのままではたとえ裁判になったとしても、証拠として使われることがありません。
その映像を撮った人(車の所有者や運転者になりましょうか)が、この映像は、本人の車に搭載されているレコーダーによって、撮影され、その映像を本人が、警察なり保険会社に提出し、今映し出されている内容は、元々の内容に相違ありません、となんらかの形で証言することにより、証拠の価値がでてきます。
私の経験では、このようなドライブレコーダーの映像は、比較的容易に証拠として使われることが多くなってきています。
裁判所においても、信用ができるという技術になってきたのでしょう。
基本的には提出した方が良い
このように考えると、ドライブレコーダーに蔵置された映像は、保険会社にとっても有用なものになりますので、基本的な姿勢としては「提出する」という考え方に傾くわけです。
ここで今回質問されている方は、ドライブレコーダーには、事故の瞬間つまり、相手方車両とぶつかっている場面は映っていないとおっしゃっていますが、このような場合でも、証拠として価値があるのでしょうか。
事故が映っていなくても価値はある
ここからは私の考え方になりますが、このように実際の事故そのものが映っていないとしても、証拠としての価値は一定程度あると考えています。
すなわち、映像には、音声も入っているものも多いので、その音声からある程度事故の時間やどのようなコメントがあったのかもわかる可能性があります。
また、路上のコンディション、天気、人通りなども把握できる可能性が高いです。
さらなる可能性ですが、相手方とのやり取りなども、あとになって映像を見ると、思い出すかもしれません。
このように、直接に事故の映像がないとしても、間接的に色々役立つ情報が想定されるので、ぜひ積極的に提出されると良いと思います。
場合によっては、相手方が虚偽の陳述などをした場合には、弾劾証拠といって嘘を糾弾するための証拠として出せる可能性もありますので、早めに提出対応をされるのをおすすめします。
また、次回新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
バスケットボールは、私の地元のチームが負けてしまい、次は夏の野球を楽しむように切り替えています。
皆さんもスポーツを楽しまれてまた一週間がんばっていきましょうね。
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