就労ビザ更新についての改正案

Washington DC Capitol of the United States

じんけんニュース 03-01-2023 弁護士 鈴木淳司

事務局のほうから2月分の原稿依頼が遅くなったようで、じんけんニュース執筆そのものが遅くなってすみません。
このところ、移民申請に関して大きなニュースはなかったのですが、ここに来て、就労ビザ(現状はH-1BおよびLビザに限られそうですが)の更新について良いニュースが発表されました。
まだ、パイロットプログラムを行うといった段階ですが、今年中にはじまる制度のニュースです。
以下考えていきましょう。

 実は、今回ご紹介する制度は2004年まで当たり前のように行われていました。
私も移民実務に接していて当時のことを覚えています。

いったん、就労ビザの許可を得てアメリカに入国しますよね。
アメリカ国内の滞在については、I-94と呼ばれる書類でコントロールされています。

ビザで入国するとビザの期限ではなく、入国の際に許される期間(合法滞在期間)によってコントロールされるわけです。
何度も、同じ比喩を使って恐縮ですが、パスポートに貼付されているビザというのは、通行手形です。

その手形の期限内ならアメリカに入国できるということです。
期限内であれば空港の箱根の関所も問題なく通れるわけです。
いったん関所で入って良い、ということになると、そのときに合法的にアメリカに滞在できる期間が指定されます。
その期間はビザの種類によって異なりますが、数年間というのが就労ビザでは一般的です。

 アメリカ国内にいる場合には、合法的な滞在期間の延長はアメリカの国務省に申請して許可を得ることは、今までも許されています。
いったんアメリカに入国してしまえば、アメリカ国内で合法滞在期間を延長することで、合法的な滞在が可能になるわけです。

問題は、アメリカ国内で合法的に滞在できたとしましょう。
何かの理由で、いったんアメリカを離れまたアメリカに再入国しようとすると、今度はビザが有効期限内である必要があります。

ビザが切れていても(ビザにもよりますが)アメリカ国内に継続的に滞在は続けられるのですが、いったん出国してしまうと、通行手形であるビザがないと入れないわけです。

そうすると、たとえば日本人がH-1Bビザの許可を得ているとして、そのHビザの有効期限があまり残っていない状態でアメリカに滞在していると、アメリカを離れる場合、いったん日本に戻って日本にあるアメリカ大使館または領事館で、H-1Bビザの更新をしなければならなくなります。
そうすると、時間もかかりますし、場合によっては更新されない危険性もあります。

よく、H-1Bビザの「更新」といいますが、前に一回同じ形で許可を得ているものの、基本的には新規申請とやることは変わりません。
特に働いている人には時間と、更新の可否についてリスクになるので、タイミングをはかる必要が出てくるのです。

 長くなりましたが、このビザ(パスポートに貼ってあるもの)の更新についても、アメリカ国内にいながら可能にするという動きが移民局にあります。

まだ時期は未定ですが、今年中に、H-1BビザおよびLビザについてパイロットプラグラムをはじめるということになっています。

詳しい情報が出てきたらまた、じんけんニュースでみなさんとシェアをさせていただきます。

とにかく、コロナ禍のときには、かなりこのビザの更新問題が発生しましたので、移民局も制度を変えていこうと動くようになったのだと思います。

 この制度は2004年までは存在していたので、たとえば日本人がH-1BビザやLビザでアメリカに滞在している場合、日本にあるアメリカ大使館、領事館にパスポートと申請書を送り、更新したビザを返送してもらうことができました。

その制度が復活すればかなり、ビザの更新が楽になると思われます。

今年まず、H-1BビザおよびLビザについてパイロットプラグラムを開始し、他のビザ、たとえばEビザなどに順次拡大することを考えているようです。

また、詳しいアップデートが発表されたらみなさんとシェアしていきたいと思います。
それではまた次回までさようなら。

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作成者: jinkencom

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