日本とアメリカ 国をまたぐ相続(4)_1247

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1247回 弁護士 鈴木淳司
Jan 19,2021

昨年は、法廷弁護士にとっては影響の大きい年でした。
ほぼ、連邦でも州での裁判所の事件が停止していました。
もちろん、関係ある当事者にとって一番影響が大きいのですが、私にとっても、事件が進まないのは、歯がゆくて仕方がありませんでした。
まあ、裁判官は高齢の方が多いので仕方がないところもあるのかもしれません。
ところが、今年に入ってから、全体的に「このままではいけない」という風潮が出てきて、俄然忙しくなってきました。
とても良いことだと思うのですが、新型コロナが急増しているなかで法廷活動をどう行うのか、今年の課題になりそうです。
仕事があることはこのご時世感謝しなければならないのですが、コロナ対策との両立はなかなか神経を使いそうです。

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さて、「私(日本人女性)はアメリカに住んでいますが、夫に先立たれ、子供もいません。私は日本から来ているために、アメリカに親族はいません。夫が元気なときに夫婦そろって信託(トラスト)はつくってあります。私が他界したときには、財産は日本にいる親族に相続がされることになっています。今の不安は、私がアメリカに身寄りがないので、実際に相続がうまくいくかということです。どのように手続が行われるのか教えてください。」という質問を前三回考えてきました。

なじみの金融機関に相談するのも手

今回は、かりに今回質問されている方が相談できる人も、身近に身寄りがない人もいない場合に、気をつけておいたほうが良い点を考えていきましょう。

 まず、みなさんがお金の関係で相談しやすいといえば、金融機関でしょうか。
日々、金融機関にはいろいろな関係があるでしょうから、顔見知りの人もいるのではないでしょうか。
私は相談しやすければ、ぜひ相談してみれば良いとおもいますし、やはり自分が一番快適な状況で相談するのが心にも優しいと思います。

但し手数料に注意

ただ、金融機関が実際に皆さんの相続や信託について関わることになると、色々な形で手数料が発生します。
これは、どこの金融機関も慈善事業でやっているわけではないので、しょうがないことでしょう。

しかし、後述するように相続関係の書類は一括で作成できますし、あとは死後に発生する内容を吟味するだけなので、継続的に手数料を払うことは私はおかしいと思っています。
ある意味、いま流行りのサブスクリプションサービスでしょうが、なにか事態が起きない限り、まったくお金を払う対価が存在しないのではないかと思っています。

プラスになる面といえば、金融機関によっては定期的に色々な内容のお知らせが届くということでしょうかね。
別に損はしないので、金融機関を利用したときのコストはどのようなものが含まれるのか、聞いてみるのが良いと思います。
信託管理人や遺言執行者となった場合には、どのようなお金を法律で定められた以外に要求されるのか確認する必要があると思います。

法律事務所にも相談はできる

 次に法律事務所のサービスも、自由競争なのでまちまちであります。
実は私も個人的に法律事務所から、「信託のことを考えませんか」といった宣伝郵便を受け取ったりしますが、内容についてはよくわからないことがあります。

たとえば、ある事務所は、書類の作成は行うが、その後毎年レビューをするのに、一定の金額を取るということをしています。
これもサブスクリプション契約なのでしょうか。
私は個人的にはこのようなサービスはまったく不要だと思っています。

遺言や信託などをつくった場合、レビューをすることが必要なのは、主だった財産、たとえば不動産や銀行口座に変化が生じたときだけで良いと思います。
私も20数年弁護士をしていますが、毎年遺言や信託について相談をされる方を見たことはありません。
必要なときにだけ相談すれば良く、かなりの財産、それもたとえば自社株などの内容に流動的なファクターがあるものがなければ、毎年法律家に金を払う必要はないと思います。
それでも、鈴木淳司に毎年寄付をしたいという奇特な方がいればもちろん歓迎ですが、私の飲み代になってしまうかもしれませんので必要はないと思います。

 これまで考えたように、死後の財産がどうでも良い、と考えていない限り、人は一人では生きていけません。
ですので、相談できる相手というのは家族でも友人でも置いておくことが重要であることは感じていただければと思います。

 次回また新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
寒暖が激しい一週間ですが、新型コロナ以外でも体調にきをつけてまた一週間がんばっていきましょう。

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作成者: jinkencom

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