法律ノート 第1243回 弁護士 鈴木淳司
December 20, 2020
日本もアメリカも再度COVIDが急増していますが、なぜここまでアメリカの増加は激しいのでしょうか。マスクをしないとか、危機感が低い人がいるとか、理由はあるのかもしれませんが、少々アメリカにおける急増は異常に感じます。将来その理由が明らかになるのでしょか。そして、再度、私の所属する事務所があるサンフランシスコや周辺ベイエリアでは、ロックダウン状態になっていて異常なホリデーシーズンです。来年はライトアップやイルミネーションが観られるのでしょうか。みなさんは来年に希望を持たれていますか。
日本とアメリカ 国をまたぐ相続(2)_1243
さて、前回から考えてきた「私(日本人女性)はアメリカに住んでいますが、夫に先立たれ、子供もいません。私は日本から来ているために、アメリカに親族はいません。夫が元気なときに夫婦そろって信託(トラスト)はつくってあります。私が他界したときには、財産は日本にいる親族に相続がされることになっています。今の不安は、私がアメリカに身寄りがないので、実際に相続がうまくいくかということです。どのように手続が行われるのか教えてください。」という質問を、今回も続けて考えていきたいと思います。
相談できる人を確保
前回は、法律的なことというよりも、できれば周りに信用して相談できる友人や、距離が離れていても話ができる親族がいることが望ましいということを考えました。
頼れる人がいるということは、自分が他界した場合、周りの人に迷惑をかける可能性が低くなります。ですので、飛ぶ鳥跡を濁さず、で自分の死後のことも考えて、生きている間に色々相談できる人を確保しておいてください。
どうしても友人や親族がいない、という場合には、ソーシャルワーカーや弁護士など相続に関してサービスを提供するプロに相談してみると良いかもしれません。
誰が相続後の手続きをするか
さて、今回質問をされている方の不安は、手続的な面ですが、質問されている方が他界した場合には、誰がこの法的な「手続」をすることになるのでしょうか。
答えとしては、すでに信託(トラスト)や遺言に書かれているということになります。
トラストには、財産管理人(Trustee)が指定されています。遺言には遺言執行者(Executor)が指定されています。これらの指定された人たちが音頭をとって、信託や遺言に書かれた内容を実行していくことになります。
場合によっては、指定された財産管理人や遺言執行人が存在しない場合、二の矢として代替管理人・執行人が指定されていない場合には、裁判所に指定を請求しなければならないのですが、通常は、自分の子など家族内で指定しておきます。
財産管理人と指定方法を確認
今回の質問においてトラストを具体的に拝見しているわけではありませんが、そのトラストをまず見て、誰が財産管理人として指定されているのか、またどのように指定する方法が規定されているのか、確認する必要が出てきます。
この財産管理人・遺言執行者に指定されている人に対しては、たぶんトラストを作成した時点で、指定したことを伝えて頼んでいるのではないかと思います。そのことを思い出してみてください。
財産管理人・遺言執行者というのは、受益者・相続人といった、最終的に相続財産を受け取る人たちと同一でないかもしれません。まずは、手持ちのトラスト(または相続)に関する書類を再確認して、誰が財産管理人・遺言執行者であるのか、確認するのが良いと思います。
日本からの手続きは困難
前回、誰か生活に近いところで信用できる人を用意しておきたいことを考えましたが、それは、財産管理人・遺言執行人となってもらえる人が近くにいると良いという意味があります。
もちろん、たとえば今回質問されている方のように、親族がすべて日本にいるのであれば、日本に在住されている方を指定することも問題はありません。
しかし、たとえば質問者の方が他界したときの財産の処分について日本から遠隔操作をするのはなかなか大変です。もちろん、そのために弁護士がアシストすることも多くの事件であるのですが、財産管理人・遺言執行人が近くにいたほうが便利ではあるのです。
次回、財産管理人・遺言執行人がどのような役割を負って今回の質問に関わるのかを考えていきたいと思います。信じられないですがもう2020年も終わりですね。健康に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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