法律ノート 第1270回 弁護士 鈴木淳司
July 7, 2021
独立記念日の三連休が終わりました。
独立記念日が来ると、「一年が半分終わってしまった、早いなぁ」と毎年思っていますが、今年は久しぶりに外が賑わっているな、と新鮮な感じがしました。
アメリカではマスクをせずに皆色々ウロウロしていますね。特に結構な人数のグループが話しながら歩いている姿などは久しぶりに見た気がします。
ただ、気になるのが犯罪の増加です。
サンフランシスコ市でも車上荒らしなどが増加しているようですし、銃の問題も減ってはいません。人の社会には陰と陽があるものですね。つくづく感じます。
みなさんはリフレッシュされたのでしょうか。
アメリカ進出-企業がやるべきこと(2)_1270
さて、今回も前回から考えてきた「アメリカに進出している会社の代表をしています。数人しか従業員はいなかったのですが、コロナ禍になったため、アメリカにある子会社の活動をいったんすべてやめています。現地の賃借しているオフィスはシェアオフィスだったため、契約を解除している状況です。会社活動を再開させることを来年(2022年)のはじめに考えているのですが、会社の登録(カリフォルニア州)については、2019年から放置しているような状況です。何かしなければならないこと、やるべきことというのは現状なにがあるのでしょうか。」という質問を続けて考えていきましょう。
前回は、州に対する登録がちゃんと継続的にケアされているか確認することが重要であるということを考えました。
毎年の提出書類の漏れはないか
毎年または隔年にファイリングしなければならない書類がありますので、ウェブサイトなどを通してチェックをすることは必要です。
SUSPENDEDという表示が出てきてしまった場合には、何らかの対応を怠っているので、会社の活動が一時的に停止されているということです。
この場合には、なにか足りない書類や支払いが生じているはずなので、それを提出すれば、会社としての活動は問題が生じません。
遅れても税務申告
一方で、会社がある限り、法人格として税務申告をする必要も毎年生じています。
コロナがあったことから、申告の期限が延長された経緯はありますが、毎年の税務申告が免除されているわけではありません。
税務申告をちゃんと行っていれば、少なくとも州に対する税務申告も行われていることになるはずですので、州に対する税務も行われているはずです。
もちろん、コロナの影響で税務申告ができていないという企業もあると思います。
そのような場合でも、遅れた分も含めて申告をしておくのが良いと思います。
地方自治体へのファイリング
また、考えておかなければならないのが、郡などの地方自治体において毎年のファイリングが必要な場合もあることです。
会社を撤収しても、たとえば以前サンフランシスコ市にオフィスが以前あった場合には、市からビジネスに関する申告などを要求される場合があります。
もちろん、活動をしていなければ、その旨申告すれば済むとは思いますが、少なくとも申告書の作成と提出は必要になります。
商標や著作権登録
その他、考えなければならないのが、商標や著作権などの登録です。
これらの登録ももしかしたら、登録しておいたシェアオフィスなどに届いてしまい、トラッキングができなくなっているかもしれません。
しかし、これらの権利を保全するためには、毎年または隔年の更新作業が必要になります。
会社にどのような財産があるのか一旦リストにして時間を取って確認する必要があると思います。
場合によっては救済措置もありますので、利用しながら乗り切るしかないと思います。
まずはウェブで完結する方法を試す
行政においても、徐々に業務を再開していて、まだまだコロナ前のような正常化した状態にはなっていません。
直接のカウンターでのサービスなども限られた状況であります。ほぼ、ほとんどの毎年、または隔年の更新作業はウェブでできるはずです。
また電話なども使えないような状況が続いていますので、電子的な方法を活用して対応するのが良いと思います。
日本の行政よりも、IT化は進んでいますので、直接どこかに出向かなくても処理は可能です。
ですので、アメリカで業務を再開することを念頭においているのであれば、たとえ日本にいたとしても対応はできますので、アメリカに戻ってきてから対応をするよりは、できるだけの処理を日本から行ってから、アメリカに戻ってきたほうが効率的かもしれませんね。
もちろん会社によって、対応する内容は違ってくると思いますので、企業内での対応が難しい場合には、専門家に頼ることも考えたほうが良いとは思います。
しかし、州に対する登録等は専門家でも簡単かもしれませんが、そこから広がって商標登録などについては、やはり企業内で情報を整理しておいたほうが良いと思います。
今回の質問されている方はかなり具体的な内容を送ってくださいましたが、できるだけ一般的にカバーできるように考えてみました。
もう少し具体的な質問があるかたは法律ノート宛(Question@marshallsuzuki.com)にメールをいただけると幸いです。
関連サイト
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