IT企業のアメリカ進出1_1237

サンフランシスコ ゴールデンゲートブリッジ

法律ノート 第1237回 弁護士 鈴木淳司
November 10, 2020

 やっと大統領選挙が終わりました。結果に納得いかない人もいるようですが、国民の意思は反映されたと思います。ただ、なぜ現大統領が女性判事を急ぎ任命したのかの深い意味がよくわかりました。現在、不公正な選挙であったと選挙管理について訴訟を提起すると言っています。そして、その立場をサポートするクルーズ議員は、昔ゴア対ブッシュ事件が最高裁判所まで行ったときにブッシュ側の弁護士をしていましたが、そこで一緒に当時弁護をしていたのが、この女性判事だったのです。現大統領は、「私の息のかかった(任命した)裁判官が3名も最高裁にいるのだ」と言っていましたが、ブッシュ側についた弁護士であることから、現大統領に有利になるということを過度に期待して指名していたのですね。これでは裁判官を政治(というか私利私欲)の道具と捉えているではないですか。なんだか、がっかりしますね。

IT企業のアメリカ進出1_1237

 さて、今回から新たに皆さんからいただいている質問について考えていきましょう。
 いただいている質問をまとめると「インターネットを利用するサービス業を日本で展開しています。これから事業を国際化したいと思い、アメリカにオフィスを置こうと思っています。最初はシェアオフィスではじめ出張ベースで日本とアメリカを行き来しようと思っています。ひいては、家族を連れて就業ビザを得て日本から渡米しようと計画しています。多くのIT企業が日本からアメリカに進出して結局撤退することが多く慎重になっていますので、ビジネス面ではなく法律家の意見を聞きたいと思っています。」というものです。

2020年は米国進出には最悪の状況?

 長文のメールをいただきました。
 このメールをいただいたときには、まだコロナが拡散していないときだったので、今では考え直されているのかもしれません。日本から米国進出を考えている場合、2020年は戦後最悪の年だったかもしれません。現政権はコロナを理由にビザの発給を停止していますが、就業ビザの絞り込みの意図も十分に伺えます。

 とにかく、2021年1月末頃までは現政権が続くので、現状年末まで有効な大統領令に基づいて、HビザとLビザの新規発給停止は続くと思われます。もちろん、各国も外国からの入国はかなりの制限をしているので、アメリカだけが例外ではありません。今回質問頂いている内容に関して言うと、アメリカでは2020年、就労ビザである、HビザとLビザの新規発給は難しいということになります。

 現状、すぐに日本から渡米することは難しいかもしれませんので、COVID-19が沈静化して、往来に問題がないことを前提に以下考えていきたいと思います。

資金・銀行口座など具体的な道筋から

 まず、ビジネスについては法律家よりも適任な方々がいるでしょうから、専門のコンサルタントや伝統的に日本のお約束パターンである、銀行などを通して話を聞くということになるでしょうか。

 自己資金をもとにするのか、借り入れ等をもとにするのかは会社によって違ってくるかもしれません。借り入れを米国進出の基本にする場合、すでにある程度の計画案等は整っているのでしょうから、すぐにでもアメリカにおいて会社の設立をして、銀行口座を開き、実体的なビジネスをすることができるかもしれません。

 それでも、多くの日本のIT企業はアメリカを数年以内に撤退している事実はあります。ここからは実際、着実にアメリカに根を下ろせるのかいくつかの視点から考えたいと思います。

滞在は最大90日ービザ免除プログラム

 最初に渡米する場合、ビザ免除プログラムを利用することになると思います。
 最大で90日間の滞在が可能であり、その間は観光や調査など限られた目的ですが、渡米することができます。

 ただ、この90日間というのは、いったんアメリカを離れればすぐにまた90日間の再入国をすることは理論上できますが、実務的にはアメリカ入国の趣旨を咎められることになるでしょう。

 90日間アメリカに滞在して、その後またすぐに90日間再度滞在することになると、半年は海外にいることになります。

滞在期間と税務上の「居住者」

 ここで、国際的な税務の話ですが、課税に関しては183日以上滞在する場合には「居住者」扱いになる国が多く、アメリカでも、同様の解釈をして「居住者」、「非居住者」を切り分けます。

 税法上「居住者」になるのは180日強となります。

 ですので、米国の入国管理においても、半年以上の入国に関してはかなり注意を払っています。ですので、90日間フルにアメリカに滞在して、その後更に、特段の理由もなくすぐに90日間の再入国をするということに関しては「居住するのでは」という、疑いの目で見られることになるわけです。

 もちろん税法と移民法における「居住者」の定義は違います。しかし、ひとつの重要な基準になるわけです。ここから次回考えていきたいと思います。

 季節替わりの雨が約半年ぶりにカリフォルニアでも降りました。シエラ山脈では雪も降りました。あまり秋を感じなかったですが、冬に突入でしょうか。体調を崩さずに健康に注意してまた一週間がんばっていきましょうね。
 


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作成者: jinkencom

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