カリフォルニア州でのコロナ対策‐主に労働法(1)_1271

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1271回 弁護士 鈴木淳司
July 12, 2021

カリフォルニア州では恒例になってしまった山火事が発生しています。
今年はかなり異常な気候のためあちこちで100度(華氏)超えが当たり前のようになってきています。
サンフランシスコ周辺では例年のようにまだ涼しいのですが、ちょっと郊外に出ると異常な暑さです。
何が天気に起きているのかわかりませんが、これから人間がどんどん地球の温暖化を追い込んでいくことになるのでしょうか。
将来について憂鬱になりますが、皆さんはどのように夏をすごされていますか。

カリフォルニア州でのコロナ対策‐主に労働法(1)_1271

さて、今回から、コロナ禍後に関する質問を取り上げていきたいと思います。
いただいている複数の質問をまとめると「カリフォルニア州ではずいぶん、コロナ禍に比べるとビジネスや社会的な活動が再開してきましたが、何にどのように注意していったら良いのか、法的観点から教えてください」ということになります。

ビジネス再開にも指針あり

様々な形式で質問が来ていますが、できればカリフォルニア州でビジネスの拠点をお持ちの企業については、その企業を管轄する郡のオフィスに問い合わせ、適宜な対応をすることが必要だと思います。

今回は、カリフォルニア州全土に関わる、COVID対策について考えていきたいと思います。

少なくとも2021年の元日から、ビジネスが開いた場合の処理について規定がありますので、実際にビジネスが再開したことを仮定して考えていきたいと思います。

罹患と通知義務

まず、コロナに罹患した可能性について、通知をする義務等について考えていきたいと思います。

カリフォルニア州労働安全および健康法(theCalifornia Occupational Safety and Health Act Section6409.06)によると、コロナ罹患の可能性に関する通知について詳細に記載されています。

被用者からコロナ罹患者である可能性、またはコロナ罹患者に近接したという通知を受けた場合には、1営業日以内に、被用者が通常使う交信方法(電子メールが一般的でしょうか)を用いて、その被用者と接触した者、接触した可能性がある者に対して、その事実を通知しなければならないとしています。
また、通知する言語については、職場で一般的に使用する言語であることが必要としています。

そして、全従業員に対して、どのようにウイルス駆除をして、どのような安全対策を施すのかを規定しました。
また、罹患者と近接した従業員に対してはどのような対応をするのか、検査、一定の隔離、休職等の基準を示す必要があるとしています。

色々書きましたが、雇用者としては、
(1)まず、被用者に陽性となった場合の報告の義務付けをすること
(2)接触した人がいる可能性があれば、会社として通知をだして、対応の詳細を支持することが必要になります。

通知の保管義務

その他に、雇用主としては、さらに2つの義務が課されます。
ひとつは、被用者からの陽性である可能性のあるという旨を通知する書面を通知から3年間は保持しなければならないことです。

もう一つは、通知があってから48時間以内に郡などのコロナを管轄する部署に通知を行うことです。

この郡などの地方公共団体への通知はかなり曖昧で、各団体によって対応が違っています。
したがって、企業の所在する郡の情報を積極的に得る必要が出てきますが、郡によっては、通知の方法等を完備していないところもあります。

そのような場合には、近隣の郡に備え付けてある用紙を使って、形だけになるかもしれませんが、通知しておいた事実だけは残しておいたほうが良いように思います。

それから、COVIDの陽性を雇用主に報告したことで、雇用の不利益処分を受けることを、上述したカリフォルニア州労働安全および健康法6409.06条、(f)項で禁止しています。
ですので、雇用主としては、被用者が職場復帰するときに、事前に「COVIDに関する報告をしても、なんら、カリフォルニア州労働安全および健康法6409.06条、(f)項に反する処分等は行わない、という一文は入れておいたほうが良いと思います。

まだまだ、労働法で気をつけたほうが良い点はありますので、次回続けて行きたいとおもいます。

日本では、このようなコロナに関する細かい労働法の法律はないと思いますが、どこにいてもひとつの参考になると思います。
また次回続けて考えていきたいと思います。
暑い夏ですが、また一週間日和らないでがんばっていきましょうね。

■コロナ禍で休業-ビジネス再開と行政扶助は?_1257

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作成者: jinkencom

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