法律ノート 第1257回 弁護士 鈴木淳司
April 5, 2021
なんとなく、東京でオリンピックなんてコロナ禍でできるのかな、という心も持っていましたが、10代で白血病になった女性選手が東京オリンピック代表切符を手に入れた姿を見て、オリンピックをやって欲しいと強く思うようになっていました。
病気を乗り越えて、世界の舞台に立とうと努力する若い人の姿を見ると、お金とかビジネスとか関係なく、こういった将来を背負う人たちの力を出せる場をつくることが必要なのではないかと思います。
みなさんは春をどのように過ごされていますか。
コロナ禍で休業-ビジネス再開と行政扶助は?
さて今回から、皆さんからいただいている新しい質問を考えていきたいと思います。
いただいた質問をまとめると「コロナ禍のなか(2020年)、私(日本国籍)はアメリカ(カリフォルニア州)のビジネスをいったん閉めて、日本に戻ってきました。輸出入業をしていたので、業務を全体的に休業状態にしていました。従業員もいったん解雇ということになりました。アメリカの政府がビジネスに対して補償をするということで申し込みをしたのですが、すべて断られました。ビジネスの再開の目処は立っていませんが、今年(2021年)にははやいうちにアメリカに戻ってビジネスを再開したいのですが、断られた融資を受けられる可能性はあるのでしょうか」という質問です。
アメリカでは、すでにワクチン接種がかなり普及しつつあり、大統領も5月までには接種の全国民を対象にするということで、経済の回復が加速しつつあります。これは嬉しいことではあります。
レストランや小売業にしても、ワクチンのおかげで再開するところが多くなりつつあります。人の行動も広がってきていますね。
もちろん、アジア人に対する偏見に基づく犯罪行為も増えていますが、人の活動が増えれば、犯罪も増えてはくるでしょう。アジア人としては気を引き締めなければいけませんね。
法律事務所より行政の窓口
さて、今回の質問はすでにコロナ禍で休業をしたというビジネスを再開する際に行政の扶助が受けられるのか、ということです。
まず、この手の質問はどこにするのが良いのか、ということですが、法律事務所はあまり生きた情報は提供できないと思います。
かりに弁護士で、このような扶助の手伝いをするという話があっても、あまり頼りにならないかもしれません。
まずは、政府系の情報収集をするのが一番良いと思います。
一番信頼できる情報源はhttps://www.sba.gov/でしょう。
アメリカには、スモールビジネスアドミニストレーションという、今回コロナ禍のビジネス扶助を支えている団体があります。
主に、PPPとEIDLという2つのローンを紹介しています。
他にも個人への扶助などもありますが、ビジネスに関しては、このSBAのサイトを参照するのが良いと思います。
すでに、返済不要のローンについては、ほぼ埋まっているようですが、今でも申請可能なローンは残っています。
いろいろなサイトがありますが、ローンの要件や申請内容については、SBAのサイトをまずチェックするのが良いと思います。
直接SBAとつながる金融機関へ
ネット社会ですから、いろいろな情報が溢れて、このSBAのローンの申請について代行するようなものがあります。
しかし、ローンを出しているのはSBAですので、ここの情報を確認することを第一歩とされてください。
そして、実際の申請には、法律事務所や会計事務所を介さずに、SBAに直接つながりを持っている金融機関に相談してください。
ビジネス継続が前提とされている場合が多い
さて、アメリカ政府の一般的なコロナ禍のビジネスに関する対応策について一般的にまとめておくと、基本的にはビジネスを継続していることが前提になっています。
継続しなくても、原則連邦政府に対する税務申告をしていることが必要です。税務申告を怠っている場合には、まず税務申告を正常に戻さなくてはなりません。そして、その税務申告を基礎として判断がされます。
もし今回質問されている方がビジネスを休業されて、税務申告を怠っているようであれば、まずはその状態を是正するのが第一歩となります。
これには会計事務所のヘルプが必要かもしれません。
次に、一部返済不要のローンもありますが、アメリカ政府としては、必ず扶助のローンを設定するうえで、必ず目的を設定して立法化しています。
たとえば、PPPは雇用を継続することを前提に出されていますので、失業率を低く抑えることが目的となります。したがって、いったん休業している場合には要件を満たさないかもしれません。
また、すでにSBAで融資を受けている場合には、新たにローンを受けることが難しくなるということです。
単に事業を再開したい、ということだけでは政府の扶助は簡単に受けられないかもしれませんが、連邦政府だけではなく、州政府、または郡レベルでの扶助、さらには、税金の優遇などもありますので、御自身のビジネスが所在する場所での扶助の可能性を探る必要があると思います。
とにかく、民間ではなく政府の情報をまず参照されてください。
今回は情報提供程度でしたが、また次回新たな質問を考えていきたいと思います。
良い季節で、コロナもまた増えてきていますが、気を抜かずにまた一週間がんばっていきましょうね。
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