シリコンバレーで起業。プランニングは?[1]-996





 
法律ノート 第996回 弁護士 鈴木淳司
february 08, 2016
 
とにかくベイエリアの不動産は不合理な高騰を続けていますが、サンフランシスコのレストランもとにかく値段が高いと感じます。出張に行って、他の街で食事をすると、サンフランシスコ飯は倍以上に感じます。私はどちらかというとB級グルメファンなのですが、魅力がある店がどんどん少なくなってきているように思うのですけどね。皆さんがこじんまりして、気張らない良いレストランをご存知だったらぜひ教えて下さいね。
 
シリコンバレーで起業。プランニングは?[1]
 
さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問をまとめると
「(現在日本にいる)インターネット系ベンチャー企業を数名ではじめた一人です。日本では企業として活動しているのですが、今後世界展開をすることを視野に、できれば将来はシリコンバレーに会社を設立して、アメリカ事業を展開したいと思っています。いろいろ情報を集めているのですが、まずどのようなことをしなければいけないのかよく理解していません。イメージをしてから具体的なプランニングをしたいと思っています。」というものです。
 
最近では日本でもある程度ファンド金が集まって運営されており、それなりに若手の人達のスタートアップ企業も増えてきました。とても夢があって良いことだと思います。
私自身もアメリカでいわゆる起業をした一人です。今では海外旅行もあまり積極的ではないという若い人も多いようですが、地球は色々見て学ぶところがありますので、自分のいる環境から飛び出してみるのも良いのではないでしょうか。
 
ITのメッカ…シリコンバレーでの起業
さて、今回質問されている方は、シリコンバレーに進出して世界を狙おうとされているスタートアップ企業の代表取締役を日本でされているようです。ただ、なかなかアメリカに進出するという取っ掛かりがないようです。
シリコンバレーというと、スティーブ・ジョブズなどの伝記が今では大々的に日本でも売られていますので、日本でもやはりIT業界のメッカと考えられているようです。
多くのIT企業がシリコンバレーで起業していますし、ファンドにしても集まってくるわけですから、世界展開を考えるにおいて、シリコンバレーは重要な地理的な位置づけなのだと思います。
 
詳細なビジネスプランが成功のカギ
もちろん夢を持ってシリコンバレーに進出するのは良いのですが、現実的に多くの企業が数年で撤退するか休眠状態になることも少なくありません。
色々な理由が考えられますが、主な理由として計画が不十分であった、ということが考えられると思います。
私がよく目にするパターンとしては、漠然とシリコンバレーに現地の会社をつくれば、シナジー効果が生まれ業績が伸びると考えられている企業が多くあることです。このような企業は、最初は大々的に事業をはじめても、結局方向が転換するか、赤字を垂れ流すことになってしまいます。
もちろん、趣味的な進出であれば、良いのでしょうが、そうではなく実質的なビジネスを伸ばすためには、とにかく最初にできるだけ詳細なビジネスプランをつくることです。
 
最も重要なのは時間軸に基づいたプラン
シリコンバレーにも、弁護士やコンサルタントがいて、「進出をお手伝いします」的な仕事をされている方も少なくないと思います。しかし、そのようなサポートを望むことは二の次です。課題はとにかく、具体的なビジネスプランをつくることだと思います。
具体的にはどのようなマーケットがあるのか、どのようなビジネスの展開をするのか、などを考えなければなりませんが、私が今まで20年間スタートアップ企業を見てきて一番重要なことは、時間軸で色々な制約を課すことです。
すなわち、4半期、1年、3年、という区切りをつくって、その間にどのようなことを達成するのかを明確にすることです。法律家やコンサルタントなどは無視してください。
とにかく、自分が何を達成するのかを明確に時間軸に照らして決めることです。
 
今回質問されている方のようにすでに日本で第一次的なビジネスをされているのであれば、感覚は掴めると思いますし、わからなければ、まずビジネスプランをつくるための友人や知り合いを構築することが最初の一歩だと思います。
アメリカではまず弁護士が必要だ、とか法律をよく知らないと問題が生じる、といったことを聞きますが、それはさておいて、まずビジネスがどういうものなのか、時間的な感覚はどのようなものなのか、確固としたものを構築してください。
 
今回は法律論というよりは、私の経験に基づいた一般論的になりましたが、次回続けていきたいと思います。三寒四温のこの季節、体調を崩されている方も多くいらっしゃいます。体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょう。