カリフォルニア州における失業手当の受給(1)_1493

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1493回 弁護士 鈴木淳司
Oct 05, 2025

皆さんは秋の味覚を楽しまれていますか。
まだ暑い日があっても、きのこやサンマは本当に美味しいですね。
季節を感じられるということは生きていることの特権であります。
もうハロウィンがすぐそこに来ていると思うと一年経つのは早いな、とつくづく思います。
みなさんは、どのような秋を楽しまれていますか。

カリフォルニア州における失業手当の受給(1)_1493

さて、今回取り上げる質問をまとめると「カリフォルニアのIT企業に勤めています。最近、会社内でリストラが行われるという噂があり、戦々恐々としている状況です。なにか退職のためのパッケージが用意されるという話もありますが、一方で自衛のために失業手当を受けられるか、どの程度の額を受けられるか知りたいと思います。州によっても違うと聞いているので、カリフォルニアにおける枠組みをわかりやすく教えていただけないでしょうか」というものです。

今回の質問はカリフォルニア州における失業手当の受給についてのものです。
以下、全体像をみていきますので、参考にしていただければ幸いです。

カリフォルニア州失業保険法

まずカリフォルニア州の失業手当に関しては、カリフォルニア州失業保険法(California Unemployment Insurance Code)が適用されることになります。

この失業保険法においては、法定の受給資格基準、失業事由となる理由、失業手当を受給する者が継続的に満たすべき要件、そして適用される例外規定などについて定めらています。

この法律を理解することが重要になるわけです。

失業手当を受給できる人とは

失業手当を受給するためには、個人が受給開始時の要件とその後、継続的に満たさなければならない要件をクリアしなければなりません

まず、カリフォルニア州の失業保険プログラムというのは、目的として、労働者自身の責任ではない理由で失業した人に対して、失業手当を提供することです。予測できない失業と生活の維持の手当をするわけです。

そうすると、まず失業手当を受給するためには「自己の責任ではない理由で失業した人々」のために確保されるということですから、辞職をした場合には、受給することはできません。自分の責任で失業することになるからです。

今回質問されている方のように会社の都合で失業する場合には、適用範囲内ということになります。

失業手当を受給するには、まず申請

失業手当が支払われる単位は「週」毎に判断されます

そして、自動的に受給されるわけではなく、自ら州の雇用開発局(EDD)に対して申請をする必要があります。この申請をする際にEDDの定める申請要件を満たしていなければなりません。

覚えておきたい点は、申請者は単に受給の権利を主張するだけでは足りず、自らが全ての要件を満たしていることを積極的に証明しなければならないことです。

受給されるためには、失業保険法で定義される「雇用主」との間に有効な雇用関係が存在したことが必要です。独立した請負の関係では足りません。給与を受け、源泉徴収されていれば、基本的には満たされると考えてください。

失業手当受給の継続的要件

そして、一度受給資格が認められた後も、その資格を維持するためには、個人は週ごとに定められた複数の継続的要件を満たし続けなければなりません。

受給者は継続的に
(1) 承認された規則に従って失業手当の申請書を正確に提出すること
(2) 公共の職業安定所などで求職登録を行い、継続的に出頭して報告を続けること、そして
(3) 受給対象となる週において、就労が可能(able to work)であり、かつ仕事を探している状態(available for work)であること
が必要になります。

この「就労可能かつ求職中」という要件は、受給者が働く意思や能力のない人々ではなく、真に雇用を求めている人々であるということを客観的に示すためにあります。さらに、

(4) 原則として1週間の待機期間を完了すること
(ただし、この要件は免除される場合があります)
(5) 公共の職業安定所からの指示に従って適切な仕事(suitable work)を探すための活動を誠実に行うこと 、そして、
(6) 参加できないことについて正当な理由(good cause)が示されない限り、義務付けられた再就職支援活動に参加すること
も求められます。

これらの継続的要件は、失業者が自らの努力で雇用を確保するためにあらゆる合理的な努力を払うべきという前提があるわけです。

失業手当はあくまで一時的な支援策であるということになります。

上記のように、単に申請すれば失業手当を受給できるわけではなく、継続的に努力をすることが求められます。なので、申請書を最初に提出した後も、枠組みとして、常時要件を満たす必要があることを覚えておいてください。

次回続けていきたいと思います。

2025年もあと3ヶ月です。
仕事や勉強でやり残しがないように、また一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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