法律ノート 第1435回 弁護士 鈴木淳司
Sep 15, 2024
もちろん2016年の住民投票(Proposition 64: Adult Use of Marijuana Act)で合法化されたので、法律家の立場からは適しているのかどうかを議論しにくいのですが、マリファナの合法化というのは、色々な波及効果があるのだと思います。
法律としては、公の場所で使用は禁止されているのですが、歩いていると以前にも増してマリファナの匂いがしたり、どうみてもヘビーユーザーのような人たちがダウンタウンをウロウロしています。
もちろん、警察の行政警察活動はあまり積極的ではありません。
私だけの感覚かもしれませんが、コロナ禍があけても、街で何をしているのかわからないウロウロしている人たちが減りませんが、このマリファナ合法化が影響しているのではないかと思ってしまいます。
禁止薬物を合法化するのであれば、一方で公衆の安全や法の遵守にも気を遣ってもらいたいものです。
さて、今回から新しく皆さんからいただいている質問を考えていきたいと思います。
今回から考えていく質問をまとめると
> 「アメリカの駐在を終えて、日本に戻ってきて復職しました。ある日本企業の駐在員として、IT関係のマネージメントをアメリカで行っていました。日本に戻ってきてからなのですが、会社から呼ばれ、(詳細は省く)私がアメリカで違法な行為をしていたことが問題にされていると伝えられました。今後はどのような対応をしていくべきなのか、悩んでいます。私は一切、違法なことはしていないと信じています。」
というものです。
まず、今回いただいている質問はかなり具体的に悩みが書かれていましたので、あまり詳述すると、法的な具体的アドバイスになり、一方では相談内容が明らかになってしまう問題も生じそうです。
ですので、具体的な相談内容には踏みこまず、どのように対応が進んでいくのか、そして、どのように聴取をされて行くのかを考えていきたいと思います。
法律違反に対する会社からの処分
最初に、今回の質問をみると、法律違反に関しては、今回の質問者が関与している行為に限られています。
すなわち、会社がどのような調査をして、どのような処分をするのかは、法律に基づいて行われるわけではありません。
各企業には内部規則が決められていますので、会社内のことは、内部規則に基づいて行われます。
もちろん内部規則が法律に反しているような場合には、処分が争われることはあり得ますが、通常は、会社の規則など、会社内で確立されたルールに従って粛々と進むことになります。
それでは、どのような内部規則が一般的に決められているのでしょうか。
会社の内部規則(就業規則)の役割
内部規則(就業規則)には、日本もアメリカも同様に、違法な行為など就業している期間には、禁止されている事項が決められています。
そして、禁止された事項が見つかった場合には、会社としては、懲戒処分など、不利益が生じる処分を被用者に対して行うことができます。
もちろん、行為が違法であったかどうかは、弁護士の見解などを基礎にするということになるとは思いますが、基本的には会社が、違法かどうかを最終的に判断します。
弁護士の関わり方—企業側・従業員側
企業側の弁護士として関わる場合には、被用者の行為が違法かどうか、という点を判例や条文などを踏まえて経験上判断していくことになります。
被用者側の弁護士としては、同じように、当該行為が違法ではない、ということを様々な理由や事実を検討して主張していくことになります。
そういう意味では、今回質問されている方のような被用者は、アメリカでの違法行為を咎められているようですので、アメリカで就労されていた地の法律を良く知っている弁護士に相談して、自分の状況を確認したほうが良いと思います。
会社による調査と対応のプロセス
会社が吟味をして、違法な行為があったかを最終的に判断するのですが、現在ではできるだけ情報を集め、判断が正当であるかどうかを検討していきます。
具体的な調査方法としては、
– 関係者への聞き取り
– 会社に残っている情報(メール、業務記録)などの収集検討
会社の被用者に対する処分行為の正当性をできるだけ担保しようという形になります。
大型の不正案件であれば、第三者委員会などをつくったり、外部の弁護士等を入れて意見をもらう形になりましょうが、事件がそこまで大きくなければ、会社内で弁護士の意見を聞きつつ会社が判断をしていくということになると思います。
次回(第1436回)では、企業からの聴取への具体的な対応方法についてから次回続けていきます。
季節替わりの足音を色々なところで聞きますが、カリフォルニアではこれから火災が深刻になってくる時期です。
災害に対して注意できることは注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
事務局による補足
連邦法との矛盾: カリフォルニア州法では合法だが、アメリカの連邦法では依然として違法(Schedule I 薬物)です。
日本の方は注意: 法解釈に議論があるところであり、あくまでも情報までですが、日本の大麻取締法には国外犯規定があり、合法国での使用でも理論上は処罰対象になりうる点
記事の日付: 2024年9月15日 での情報となります。
関連する米国法律リソース
本記事で扱った内容に関連する米国政府の公式情報源:
労働・雇用関係
薬物規制・マリファナ関連
注意: 米国法は州法と連邦法が複雑に関係しており、また頻繁に改正されます。最新の情報については、必ず専門家にご相談ください。
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