米_エスクローとは(2)_1434

サンフラン SF滞在

法律ノート第1434回 弁護士 鈴木淳司
Sep 8, 2024

 アメリカ大統領選挙がこれからアメリカにおけるトップニュースになっていく時期になりました。

今回の舌戦を観ていて不思議に感じるのは、ケネディ家の子孫が共和党を支持し、共和党の元副大統領が民主党を支持するなど、政治的思想が交錯しているな、ということです。

今の時代、一人ひとりの国民が様々な利益について意見を持っていて、実際のところ、民主党と共和党という二政党という枠組みでは支えきれなくなってきているのかもしれません。
興味深く観ています。

皆さんは、どのような利益をどちらの党がどう考えているのか、とか詳細に興味はありませんか。

米_エスクローとは(2)_1434

 さて、前回から考えてきた「友人を通してアメリカの会社に以前から投資をしていました。最近になって、株の売却話が会社からでてきました。私は株を売ることについて異論はないのですが、株の売却にあたってエスクローを使いたいと会社側の弁護士から言われています。私としてはわざわざ、エスクローなどを通さず簡単に売却を終わらせたいのですが、会社側がエスクローに固執しています。よくエスクローの制度がわかっていないのですが、売り主である私にもメリットがあるものなのでしょうか。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。

前回、エスクローとはどういうものなのか、基礎的な役割について考えましたが、難しかったでしょうか。
もし、わからないところがあれば、また質問をしていただければと思います。
今回は前回を踏まえて、いただいている質問を考えていきましょう。

会社がエスクローにこだわる理由

 今回の質問ですが、なにか会社内部に事情があるのではないでしょうか。

いただいた質問には詳細が書かれていませんが、会社で内部抗争があるとか、なにか使い込み等が行われているとか、監査が入っているとか、税金関係の問題があるとか、なんらかの会社内の理由がある可能性はあります。

そもそも今回質問されている方も株主なのですから、一定の会社情報を手に入れることはできるはずです。

会社に対して会計情報などを開示できるか、定款などを確認されると良いと思います。

なにか、問題があればその情報も手に入れられるかもしれません。

ご友人を通されて投資をされているということですから、そのご友人もなにかコネクションがあるのではないかなと思います。

ご友人にある程度事情は聞けないものでしょうか。
もちろんまだ付き合いが継続していればでしょうが。

企業の利益を考慮したエスクローの選択

 かりに会社になにか紛争があって弁護士が会社に付いているとすると、やはり何らかの訴訟を警戒して第三者であるエスクローを間にいれて、株の売買を行う可能性は十分にありますね。

弁護士としては、不要な紛争を避けたいわけです。

ですので、この企業の利益を考えてエスクローをいれて取引を行っているということは十分に理解できます。

今回質問されている方にとっても、会社の利益のためにエスクローをつかっているのでは、と思われていますが、部分的には合っていると思います。

株主の潜在的なリスクを低減させる

一方で、会社内でなにか紛争がある場合、株主である今回の質問者も巻き込まれるリスクは出てきます。

すなわち、これも可能性ですが、安い価格で株を故意に売却したとか、他の株主の利益を害する売却であったとか、何らかの訴訟に巻き込まれる可能性があるわけです。

ですので、第三者であるエスクローを使い、お金や時間がかかったとしても、後日、紛争に巻き込まれる可能性をできるだけ低くすることは、株の売主である今回の質問者の方にもそれなりにメリットがあると思います。

すべて、第三者機関を通して、内容を確認しているわけですし、関係者もその内容を確認できる設定も可能ですから、あとになって訴訟になるリスクを避けるためには、悪くない提案だと思います。

一面では会社の利益を守りますが、他方、売主である質問者の方の潜在的なリスクを低減させる方法論だということは理解されたほうが良いと思います。

少しの費用と時間でリスク低減を買えるのであれば、エスクローを利用するのは賢い選択かもしれません

法律家への相談がベター

どちらにしても、法律家に相談されたほうが良いかもしれません。

相手方も弁護士が出てきているわけですから。

今回の質問を考えるのはこの辺までにしておきますが、エスクローでなにか他にも質問があれば皆さんからの質問をお待ちしております。

とても暑い夏でした。
少しずつ色々なところで秋を感じるようになってきたと思いますが、現実はまだ「暑い」という感じでしょうか。
秋を楽しみにしながらまた一週間がんばっていきましょうね。
次回はまた新しい質問を考えていきたいと思います。




あなたがずっと抱いている疑問を解消しませんか?
しかし、アメリカの法律事務所はハードルが高い!!確かに。

JINKEN.COMでは、アメリカの弁護士事務所への橋渡しのサービスを提供しています。
お客様の状況とニーズ、ご希望を聞き取り、必要な書類等をまとめる お手伝いです。
私たちは、ジャッジをいたしません。
皆さんの頭の中、お気持ちを、できるだけ正確に表現する業務を行います。
ご料金は事前に明確にご提示し、追加のご請求は一切ございません。
i@jinken.com または こちらから直接お問い合せください

■関連記事

米_飲酒運転で有罪プロベーションとは(1)_1330

グリーンカードとは

運営弁護士

アメリカ暮らしを現実に。
JINKEN.COMにアカウント登録して最新のアメリカ移民法にキャッチアップ

■アメリカの永住権を抽選で取得ーDiversity Immigrant Visa Program

アメリカの永住権を抽選で取得する制度があるのをご存知ですか?
日本からも、毎年永住権者として長期合法滞在する方々がいらっしゃいます。

応募サポート希望の方はこちらから

日本出生の方は、高校卒業時点からご応募ができます!当選後も安心のサポート。まずは正しい応募から。

■グリーンカードDV当選後サポート

グリーンカードDV抽選に応募して、当選の確認を忘れていませんか?当選は、忘れた頃にやってきます!

グリーンカード当選後サポートはこちらから

充実した当選後サポートで、安心してグリーンカード取得まで進めましょう。家族・仕事・結婚・離婚・海外在住・介護に闘病と場面は様々ですが、お客様のニーズに柔軟にお応えしています。

作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。