アメリカ_飲酒運転で逮捕(2)_1407

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1407回 弁護士 鈴木淳司
Mar 3, 2024

先週はいい天気だと法律ノートにも書きました。
半袖でゴルフを楽しめるような良い気候でした。
ところが1週間経ってこの法律ノートを書いている今週末は山では雪が降っていて、私がよく行くゴルフ場も雪でした。
今年はあまりにも寒暖の差が激しいように思います。

私の事務所でも咳き込んだり鼻が詰まったりする人が多いようですが、これだけ気温が上下すると体を悪くしてしまうのは仕方がないのかもしれません。
私は昨年鼻中隔湾曲症の手術をしてもらい、その時に医師からやるように言われた「鼻うがい」を今でも続けているのですが、そのおかげで、一切風邪やウィルス性のものに罹っていません。
風邪や熱など、菌やウィルスなどから影響を受けている方は、アメリカでも鼻うがい用のキットを売っているので、試してみたらいかがでしょうか?

アメリカ_飲酒運転で逮捕(2)_1407

さて、前回から続いて逮捕に関する正当性についての質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。

前回から考えてきた質問は「友人とビールをスポーツバーで飲んでいました。盛り上がったあと、ライドシェアを呼べばよかったものの、軽い気持ちで自分の車に乗り、運転して自宅に帰る予定でした。しかし、帰り道に警察官に止められました。なんでも止められた理由はナンバープレートの自動車登録が切れていたということなのですが、結局飲酒運転で逮捕されました。飲酒運転を疑われるような運転は一切していません。このような逮捕は許されるのでしょうか。これから裁判になる模様で弁護士に何人かコンタクトしていますが、お金を払わないとそもそも話もしていただけないようなので、質問をしました」というものでした。

そもそも、アメリカで飲酒運転は可能?!

前回の法律ノートを見て、アメリカではお酒を飲んで車運転していいのか、と言うそもそも論が読者の方から提起されました。
日本に在住の読者の方のようです。

日本もこの10年、飲酒運転の厳罰化が著しく、もう運転する人は、1滴もお酒を口にしないことが当たり前になりました。
カリフォルニア州では、血中アルコールが0.08%以下であれば、基本的にお咎めはないという法律になっています。

もっとも、0.08%以下であっても、運転に影響していることが明らかな場合には飲酒運転の罪に問われます
0.08%以下と言うのは、人による差異が大きいのですが、平均的にはビール1本またはワイン1杯と言う程度だと考えておくのが良いと思います。

余談ですが、過去30年間、飲酒運転の弁護を担当して警察の調書を読んできましたが、車を止められた警察官に「酒を飲んでるだろう、どのぐらい飲んだんだ」と質問され、ほとんどの方は、ワイン1杯またはビール1本と答えています。
どんなに飲んでいても、「飲んでいない」という人はいないものです。
人間の心理というのは面白いものです。

少し話が逸れましたが、ごく少量のアルコールであれば、実際に体内に入っている状態で、運転は許容されているということになります。

咎められるような運転でなくても…

さて、今回質問されている方が、ご自身の記憶では、何ら飲酒運転と咎められるような運転はしていないのに、車を停車するように命じられ、結果的に飲酒運転として検挙されました。この検挙の経緯はおかしいのではないか、というポイントを考えてみましょう。

もちろん前回少し考えたように、例えばスポーツバーやお酒を出す飲食店から出てくる客に対し、ある程度目星をつけている警察官もいるかもしれません。しかし、それだけでは全く違法ではありません。

仮にたとえば、警察官が目をつけた店から出てくる人を片っ端から車を止める形で留め置きするような場合には、違法性が生じるかもしれません。

しかし例えば、今回質問されている方のようにスポーツバーから出てきて警察官が後をつけたとしましょう。
その追尾をする行為自体も違法とは言えません。
その時点で「止まれ」と命令をしているわけでは無いからです。
ここで警察官が何も法に触れる行為を見ていないのに、車を止めるのは違法な行為となり得るかもしれません。

交通違反を理由とした停車命令

しかし一方で、交通法規違反等が認められる場合には、その交通違反を疑うことを理由として、車に停車を求めるのは何ら問題はありません
建前としては、警察官としては、飲酒運転を疑ってるわけではなく、交通法規に反しているから停車を求めると言うことになるわけです。
警察官は日常的に交通違反の取り締まりを行っていますから、その延長、と言う考え方です。

実際はスポーツバーから出てきている人を狙いうちにしてるのかもしれませんが、上記のような建前さえあれば、交通違反があることで停車を命じることができるわけです。

交通違反は様々

飲酒運転に前置した交通違反にはいくつかパターンがあります。
スピード違反や赤信号無視、一時停止違反などはそれだけでも捕まる可能性もありますので、皆さんも理解できるでしょう。

それ以外にも蛇行運転などで停止を命じることもあります。
この蛇行運転は後になって飲酒の影響があって蛇行したんだと言う立て付けにもできますので、警察官が好んで使う停車理由となります。

ただ今の警察の車には車上カメラがあります。
本当に蛇行したかどうかはビデオを見るとよくわかりますので、私が見てきた事由では、ブレーキランプが1つ切れていると言う場合や、毎年更新するナンバープレートにあるステッカーが期限切れの場合などがあります。
最近の車はブレーキのランプが切れていると警告してくれますので、すぐに帰れば問題はないと思います。

レジストレーションの更新はお早めに

一方で、毎年更新するレジストレーションは早く更新しておかないと、いまだに多くの留め置きの理由になっているように思います。
車をリースされたり所有されたりしている場合には、不意に警察官に止められないように必ず毎年更新期限の前までにステッカーを得ておくと良いと思います。
今回の質問者の方も、これが原因で停車を求められたわけですね。

ここからまた次回考えていきたいと思います。
上記のような理由で警察官が車の停車を命じたところから考えていきましょう。

来週は晴れることを願って、また1週間頑張っていきましょう。

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作成者: jinkencom

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