法律ノート 第1374回 弁護士 鈴木淳司
Jul 11, 2023
日本でも線状降水帯で、歴史的な雨が降って異常気象が続いているようですが、カリフォルニア州では内陸部はかなりの暑さになっており、やはり20年前とは気候が確実に違ってきているように思います。
サンフランシスコの海沿いは相変わらず涼しいのですが、内陸部とは摂氏20度くらい違うような状況です。
冬は雨が多くてよかったのですが、その湿気がまだ残っているので、随分蒸し暑くも感じるようです。
もう人間が異常気象に合わせて生きて行かなければならないのですね。
スマホで無断撮影、違法?(1)_1374
さて、今回からいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると、「先日、ショッピングモールで、万引き犯らしき人が逃げていくところを取り押さえられ、乱闘になっているところに出くわしました。その乱闘シーンを私も含め周りの人がスマホで撮影していたのですが、警察官かセキュリティーかわからないのですが制服を着ている人に撮影をやめろ、と言われ、これ以上続けると逮捕する、と言われました。一人は撮影をやめずに、スマホを取り上げられて、そこでも口論になっていました。こういった人の集まる場所で撮影をするのは法律的に問題があるのでしょうか」という質問をいただきました。
最近ではベイエリアでも、かなり少額の万引きや車上荒らしが増えていますね。
姑息なことをして物品を得ても、結局どこかで損をすると思うのですが。
人を不幸にすることをして生きていくのは哀れなものです。
何気ない撮影でも問題ある可能性
スマホはもう日常欠かせない道具なのだと思います。
昔は車に電話がついていて「すごい」と思いましたが、今では電話の用途だけではなく、昔でいうと、ステレオ、テレビ、カメラなどの家電が手のひらに収まるようなものですね。
何世代も時代が変わってしまったように思います。
どこでも取り出して写真やビデオを撮るのが当たり前の世の中ですね。
今回の質問にある「スマホ撮影」ですが、何気なく撮影していると色々他人との権利がぶつかる可能性がある問題です。
写真やビデオを撮るのは大したことではないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、よく今回からの法律ノートを読んで注意をしてください。
ビデオ撮影時、第三者の会話録音に注意
さて、まずスマホでの撮影は写真とビデオがあると思います。
原則としては、ビデオ撮影の場合、第三者の会話が録音される場合には注意が必要です。
ただ単に警察官が叫んでいる、とか、犯罪者が何かを言っている、というのであれば「会話」ではありませんが、第三者が誰かと会話しているのを無断で録音することは州によって違いはありますが、カリフォルニア州では原則第三者の会話を承諾なしに録音するのは禁止されていますし、刑事罰も用意されています。
ですので、録音については、一般的に注意しなければなりません。
意図せず、会話が入ってしまう場合もあるかもしれませんが、その内容を公にするようなことは注意しないといけませんし、会話が入ったことを咎められたら削除をしたほうが良いと思います。
公道からのプレインビューなら問題なし
では、写真とビデオ撮影について考えましょう。
まず、公の場所、公道や公園などから見えるものについて、撮影をすることは制限なく許されます。
皆さんがスマホを使って、何か特定のものを撮影するとしても、もともと法律用語で一般用語化されている「プレインビュー」という範囲であれば何も問題ありません。
プレインビューというのは、何もみなさんが能動的にしていない状況で、目に入ってくる状態を指します。
たとえば、公道から見えるドアを撮影するのは問題ありませんが、ドアを開けて中を撮影するのは駄目なわけです。
他人の敷地に入らずに撮影している分には何も問題はありません。
人の家だけでなく、刑務所や大使館などの公的な施設についても、公道から撮影する分には何も咎められることはないわけです。
一方で、私有地については考え方が異なります。
ここから次回考えていきたいと思います。
夏のイベントも多くなっていますが、風邪かコロナかわからない咳をしている人も多くみかけます。
体調に注意しながら一週間また夏を過ごしていきましょうね。
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