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契約書の作成、アメリカでの一般的な対応は?(2)_990

法律ノート  第990回 弁護士 鈴木淳司
Jan. 20, 2016

 アメリカの宝くじはジャックポッドが数百億円にまで膨れ上がり、ちょっとしたフィーバーになっていました。私もハズレクジを買いましたが、まあ、3億分の1の当選確率らしいので、ちょっとしたお遊びみたいなものですね。私は車の運転中、いつも交通渋滞も流れるニュースチャンネルにラジオを合わせているのですが、宝くじを買った人にインタビューしているニュースはかなり微笑ましかったです。哀しいニュースよりも、ウキウキしている人たちの声は聞いていて楽しいですね。みなさんの宝くじは当たりましたか。

契約書の作成、アメリカでの一般的な対応は?(2)_990

 さて、前回から「現地法人の者です。日本の法務部から赴任してきたばかりです。現地法人では法務部というのはないので、法務担当として働いています。前任者は、様々な市販の契約作成ソフトで契約書をつくって使っていたようです。前任者に聞いたところ、法律家の目を通さなくても、今まで問題はなかった、ということでした。このようなやり方でも良いのでしょうか。また、アメリカでは一般的にどのように企業は対応しているのかを教えていただけないでしょうか」

弁護士に相談するコストを捻出できるか

 前回は契約作成プログラムで生成される契約書について考えました。基本的には、そこまでトンチンカンな変更をしなければ、一般的には「そんなに悪くはない」と思います。一般的に、このようなプログラムを主につかって契約書の作成に対応している会社も存在します。

 しかし、一方で、弁護士などの法律家に相談できる企業もあります。もちろん、弁護士などに相談ができるのであれば、そういった企業はある程度契約作成プログラムなどの雛形を使っても安心感があるでしょうが、そのように、いちいち弁護士に相談するコストも捻出できないという企業もあると思います。

 今回の質問にざっくりお答えするとして、一般的には、頻繁に弁護士に相談する企業と、たまに必要なものだけ、弁護士に相談する企業があると思います。

 会社の費用捻出などの観点から、頻繁に弁護士に相談ができない企業、たぶん今回質問をされている企業も同様でしょうが、どのように契約作成に関してリスクを減らしながら対応していけば良いのでしょうか。いくつかの注意点を考えておきましょう。

信頼できるソースからの雛形を利用し、できるだけ変更しない

 まず、雛形を利用する場合には、信頼できるソースから出されているものを利用することです。単にインターネット上に転がっているものは信頼がおけませんし、内容についても、実際の契約内容に沿っているとは限りません。あくまでも、雛形についてある程度の責任があるような団体のものを利用することが重要です。

 次に、雛形を使用する場合には、できるだけ内容を変更しないようにしてください。もともとある程度完成形で雛形としているわけですから、雛形をできるだけいじらない方が、問題が発生しづらいわけです。

 もし、内容をかなり手を加えなければならないときがあれば、その部分については専門家に相談をしたほうが良かろうと思います。とにかく、雛形をいじると、齟齬が生じやすいということを理解してください。

継続的な契約をしている相手か、初めて契約をする相手か

 第3点目ですが、契約の相手方を見て、単にプログラム作成の契約書で良いのか、法律家に相談するべきなのか、を考えた方が良いと思います。

 何度も継続的に契約をしている相手方では、同じように雛形の契約書を利用しても、さほどの問題はないと思います。また、一度法律家が目を通した、雛形的な反復継続して利用する雛形であれば、これもそこまで問題は無いと思います。

 しかし、はじめての案件で、相手方と交渉内容がかなりヒートアップするような場合、はじめての契約でさらに交渉内容が多岐に渡る場合などは、専門家の力を借りた方が良いと思います。

一回的な契約か、継続契約か

 また、第4点目ですが、契約の性質を一回的な契約(たとえば、物の売買契約ですね)と、継続契約(商品の製造・再販や、コンサルティングサービスなど)という観点から分けた場合、一回的な契約であれば、雛形でも問題は少ないと思います。なぜなら、物とお金を交換すれば、それで基本的には「終わり」だからです。

 ところが、家を借りるなどの賃貸借契約をはじめ、継続契約においては、契約期間中ずっと契約関係が持続するわけですね。そうすると、問題が生じたときに、契約書に立ち戻る可能性が大きいわけです。ですので、継続的な契約については、特に全体の金額が大きくなる場合には、専門家に簡単にでも内容を確認してもらったほうが良いと思います。

 今回質問されている方も、一回的な契約であれば、問題ないかもしれませんが、継続的な契約関係がある場合には、一応目を通して、気になったところは専門家に聞いてみるのが良いと思います。

 以上で、だいたい今回の質問にはお答えしたと思いますが、他にも気になるところがあればいつでも質問をしてくださいね。

 雨が多いですが、運転などには気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。


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米国企業以外取引しないと言われた場合、対応方法は?(2)_950

法律ノート 第950回 弁護士 鈴木淳司
Aug 3, 2015

 今までの人生で一番怖いと言える事故を目撃しました。私は三車線ある高速で、一番左を走る小さめの四駆に続いて走っていました。ちょうど私の右側の視界に大型の車輪が12個以上ありそうなトレーラーが、一番右のレーンから中央のレーンにシグナルを出しながら車線変更をもう少しで完了させるところでした。私の前を走る四駆が良く見ずに中央レーンに車線変更をしようとして、それを避けようとした大型トレーラーが横転。四駆を巻き込んで中央分離帯に激突していました。私の目の前で全車線が見えなくなるほどの砂煙があがり、もう少しで巻き込まれるところでした。命拾いとはまさにこのことでした。皆さんは運転気をつけていらっしゃいますか。

米国企業以外取引しないと言われた場合、対応方法は?(2)_950

 さて、前回から続けている「電子部品を扱う日本企業の国際関係を扱う部署に勤務しています。日本の企業として米国(カリフォルニア州)に所在する大手企業と契約をしているのですが、この度、米国企業でなければ取引をしない、ということを言われています。米国で子会社を作れば問題はないと思うのですが、その他に支社をつくるなどの方法もあるかと思います。できるだけ、現地で人を雇うことはコスト面などの問題もあり避けたいと思います。どういった方法が考えられるのか教えてください」という質問を考えていきましょう。

現地法人を設立する場合の注意点

 現地子会社設立以外の方法で取引が継続できるのか、いくつか方法論を前回考えたわけですが、基本的には相手方の大手企業がどのようなポリシーを持っているのか、どのような交渉が可能なのかで違ってくると思います。電子機器の輸出関係の法律など私企業がコントロールできない法律などもありますので、交渉も限られる可能性はあるわけです。

 そうするとやはり今回質問されている方が所属する会社も現地法人を設立するのが手っ取り早いことになるかもしれません。株式会社またはLLCなどを設立することになると、設立費用は一時的なものですが、重要なのは、どの程度のランニングコストがかかるのかを計算しておくことになります。また、さらに将来的に会社を休眠させる解散させるということも念頭において置かなければなりません。

設立する州内に書類の送達先を備えねばならない

 設立した会社のランニングコストとしては、毎年の定款の整備、税務申告がありますが、設立時にも必要なのが、州内(カリフォルニア州の法人であれば、その州内)に、書類の送達先を備えなければならないということです。書類の送達先については、州内であればだれでも良いですし、どこでも良いのですが、何か取掛りがないと、業者などを使うことになりある程度のコストはかかることになります。

 なぜ、州内に送達先が必要かというと究極的には、何か裁判や行政関係の連絡を行うための人と場所を設置しておけ、ということなのです。その会社を提訴しようと思う場合、税金訴訟の通知をする場合など、州内の送達先を利用するわけです。

形骸化している現地法人も合法だが…

 カリフォルニア州や、ネバダ州などに会社を設立して、州内に送達先を設定すれば、会社の株主、役員等はすべて州外にいても問題ありません。日本企業の現地法人には、社長以下すべての役員が日本の在住し、株主も日本の親会社であるという場合も多く存在します。

 もちろん、このように形骸化している現地法人も合法ですし珍しくありません。ですので、現地で誰かを雇用しなければならない、という負担は設立当初は考えなくてもよかろうと思われます。

 ただ、米国に現地法人を設立し、役員全員が日本在住の人ということにすると、悪い弁護士はその構成を狙って、アメリカで訴訟を提起し、役員を訴訟に引きずり込もうとします。そうすると、渡米コストもすごいことになりますので、安易な和解を引き出そうとする場合もあります。

 そういった懸念があるので、ネバダ州などは役員を公表しなくても会社が設立できるので、活発に利用されている面もあります。しかし、私自身もネバダ州の株式会社を隠れ蓑にする企業に対して訴訟をしたことがありますが、やり方によっては情報の入手はいくらでも可能でした。

安易に会社設立を手伝うサイトには注意を

 現地法人を設立するといっても、複数の方法がありますし、コストも抑えようと思えば抑えられます。ですので、まずはいろいろ相談をされて、コスト計算をされると良いと思います。安易に会社の設立を手伝うようなサイトもありますが、会社の設立には、税務、訴訟、移民法、労働法など先を見ていろいろ決める必要がありますので、安易に「会社の登記」だけをするサービスには注意が必要です。何事も安物買いの銭失いという状況はありえますね。

 次回新しい質問を考えていきたいと思います。夏真っ盛りで、日本でもアメリカでも夏休みを取られる方々が多いと思います。リフレッシュされてまた一週間がんばっていきましょうね。


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米国企業以外取引しないと言われた場合、対応方法は?(1)_949

法律ノート 第949回 弁護士 鈴木淳司
July 28, 2015

 夏野菜の収穫がたけなわになっているのですが、事件が起きました。きゅうりもかなり実をつけて、まだまだ収穫が続けられる状況なのですが、なんと根の辺りが動物らしきものに掘られてきゅうりが一本枯れてきてしまいました。もぐらはいないはずなのですが、かなり落ち込んでいます。成長させるのにかなりの労力を使ったのに、一瞬で枯れてしまうなんて酷いものです。

 こういった状況を体験すると、農家の方たちというのは、いつも災害、害獣、および害虫などと戦わなくてはならないのでしょうから、かなり大変な仕事なのだろうと想像しています。皆さんは夏を楽しまれていますか。

米国企業以外取引しないと言われた場合、対応方法は?(1)_949

 さて、今回から新しくいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。いただいた質問をまとめると、「電子部品を扱う日本企業の国際関係を扱う部署に勤務しています。日本の企業として米国(カリフォルニア州)に所在する大手企業と契約をしているのですが、この度、米国企業でなければ取引をしない、ということを言われています。米国で子会社を作れば問題はないと思うのですが、その他に支社をつくるなどの方法もあるかと思います。できるだけ、現地で人を雇うことはコスト面などの問題もあり避けたいと思います。どういった方法が考えられるのか教えてください」というものです。

米国内でしか取引しない企業も少なくない

 最近は特に輸出関係の法律が強化される分野もあります。戦略物資にみなされる可能性がある部品などは昔から問題になるところであります。アメリカから外国に輸出をするのは然程難しい規制はなく、どちらかというと外国側でいろいろな輸入に関する規制がひかれていることが多くあります。

 このような各国の規制等について、コンプライアンスをするのがかなり時間もかかり労力もかかることから、米国の大手企業によっては、米国内でしか取引をしない、と内規で決めている会社も少なくありません。国内の取引であれば、面倒な輸出入規制を想定する必要はありませんし、トラブルも少なくなるからです。

 今回質問されている方の所属する会社が子会社を米国でつくって、取引をする場合、質問者の所属する会社が基本的に輸出入に関する法規のコンプライアンスを行うことになるわけです。

名ばかりの現地法人もコストはかかる

 このような背景があり、現在ではほとんど名ばかりの現地法人をアメリカで立ち上げる外国企業が少なくありません。できるだけ、コストを安くしようと思っても、会社の設立コスト、カリフォルニア州において少なくとも法的なコンタクトをするための住所設定、毎年の税務報告、など少なくともランニングコストはそれなりにかかってしまいます。これらのコストに人件費も加えると、かなり大きな取引先であれば割に合うのかもしれませんが、そうでない限り、本社にかなりの負担になる可能性はあります。

 ひとつの解決策として、今回質問されている方も考えられている支店登記をするという方法は、たぶん取引先が納得しないかもしれません。あくまでも、法律に基づく規制ではなく、取引先の内規により制限されているのですから、交渉をしたり、どのような形であれば了承してもらえるのか、聞くこともできると思います。

 しかし、カリフォルニア州で存在する支店登記というのは基本的にForeign Corporation Registrationといって外国会社の登録に過ぎません。したがって、「現地の法人」とはいえないため、取引先は渋るかもしれません。

代理店やブローカーを使う方法もある

 他の方法としては、現地で代理店を使ったり、ブローカーを使うということも考えられるのでしょうか。ただ、そのような構成にすると、口銭が発生するでしょうから、コストと利益の調整がひとつビジネス上の論点にもなります。また、取引先としても、直接会社と取引できないという事実関係が生じると、渋る可能性はありますね。

 以上のように考えると、やはり現地法人を設立するということになりそうですが、この場合どのようにしたらコストを抑えつつ、フレキシブルにビジネスをできるのか次回続けて考えていきたいと思います。

 私はなんらかの害獣に、まだ収穫がはじまっていないトマトがやられてしまうことにやきもきしていますが、皆さんは夏の行事などをポジティブに楽しまれてください。また一週間がんばっていきましょうね。


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