米国企業以外取引しないと言われた場合、対応方法は?(2)_950

Golden Gate sanfran

法律ノート 第950回 弁護士 鈴木淳司
Aug 3, 2015

 今までの人生で一番怖いと言える事故を目撃しました。私は三車線ある高速で、一番左を走る小さめの四駆に続いて走っていました。ちょうど私の右側の視界に大型の車輪が12個以上ありそうなトレーラーが、一番右のレーンから中央のレーンにシグナルを出しながら車線変更をもう少しで完了させるところでした。私の前を走る四駆が良く見ずに中央レーンに車線変更をしようとして、それを避けようとした大型トレーラーが横転。四駆を巻き込んで中央分離帯に激突していました。私の目の前で全車線が見えなくなるほどの砂煙があがり、もう少しで巻き込まれるところでした。命拾いとはまさにこのことでした。皆さんは運転気をつけていらっしゃいますか。

米国企業以外取引しないと言われた場合、対応方法は?(2)_950

 さて、前回から続けている「電子部品を扱う日本企業の国際関係を扱う部署に勤務しています。日本の企業として米国(カリフォルニア州)に所在する大手企業と契約をしているのですが、この度、米国企業でなければ取引をしない、ということを言われています。米国で子会社を作れば問題はないと思うのですが、その他に支社をつくるなどの方法もあるかと思います。できるだけ、現地で人を雇うことはコスト面などの問題もあり避けたいと思います。どういった方法が考えられるのか教えてください」という質問を考えていきましょう。

現地法人を設立する場合の注意点

 現地子会社設立以外の方法で取引が継続できるのか、いくつか方法論を前回考えたわけですが、基本的には相手方の大手企業がどのようなポリシーを持っているのか、どのような交渉が可能なのかで違ってくると思います。電子機器の輸出関係の法律など私企業がコントロールできない法律などもありますので、交渉も限られる可能性はあるわけです。

 そうするとやはり今回質問されている方が所属する会社も現地法人を設立するのが手っ取り早いことになるかもしれません。株式会社またはLLCなどを設立することになると、設立費用は一時的なものですが、重要なのは、どの程度のランニングコストがかかるのかを計算しておくことになります。また、さらに将来的に会社を休眠させる解散させるということも念頭において置かなければなりません。

設立する州内に書類の送達先を備えねばならない

 設立した会社のランニングコストとしては、毎年の定款の整備、税務申告がありますが、設立時にも必要なのが、州内(カリフォルニア州の法人であれば、その州内)に、書類の送達先を備えなければならないということです。書類の送達先については、州内であればだれでも良いですし、どこでも良いのですが、何か取掛りがないと、業者などを使うことになりある程度のコストはかかることになります。

 なぜ、州内に送達先が必要かというと究極的には、何か裁判や行政関係の連絡を行うための人と場所を設置しておけ、ということなのです。その会社を提訴しようと思う場合、税金訴訟の通知をする場合など、州内の送達先を利用するわけです。

形骸化している現地法人も合法だが…

 カリフォルニア州や、ネバダ州などに会社を設立して、州内に送達先を設定すれば、会社の株主、役員等はすべて州外にいても問題ありません。日本企業の現地法人には、社長以下すべての役員が日本の在住し、株主も日本の親会社であるという場合も多く存在します。

 もちろん、このように形骸化している現地法人も合法ですし珍しくありません。ですので、現地で誰かを雇用しなければならない、という負担は設立当初は考えなくてもよかろうと思われます。

 ただ、米国に現地法人を設立し、役員全員が日本在住の人ということにすると、悪い弁護士はその構成を狙って、アメリカで訴訟を提起し、役員を訴訟に引きずり込もうとします。そうすると、渡米コストもすごいことになりますので、安易な和解を引き出そうとする場合もあります。

 そういった懸念があるので、ネバダ州などは役員を公表しなくても会社が設立できるので、活発に利用されている面もあります。しかし、私自身もネバダ州の株式会社を隠れ蓑にする企業に対して訴訟をしたことがありますが、やり方によっては情報の入手はいくらでも可能でした。

安易に会社設立を手伝うサイトには注意を

 現地法人を設立するといっても、複数の方法がありますし、コストも抑えようと思えば抑えられます。ですので、まずはいろいろ相談をされて、コスト計算をされると良いと思います。安易に会社の設立を手伝うようなサイトもありますが、会社の設立には、税務、訴訟、移民法、労働法など先を見ていろいろ決める必要がありますので、安易に「会社の登記」だけをするサービスには注意が必要です。何事も安物買いの銭失いという状況はありえますね。

 次回新しい質問を考えていきたいと思います。夏真っ盛りで、日本でもアメリカでも夏休みを取られる方々が多いと思います。リフレッシュされてまた一週間がんばっていきましょうね。


▼DV-2020の当選後サポート、受付中!

https://jinken.com/win/

グリーンカード取得まで、とことんお手伝い。1年以上の長期にわたって、メールのやり取りは200,300,400以上が当たり前。

各種証明書の翻訳・面接その他のコンサルティング・実際のグリーンカード取得者の経験にもとづく専用QAページ・各国の警察証明取得・大使館等への問い合わせが、すべてセットになっている総合サービス

面接通知はどうやってくる?次に何をすべき?…日常と併行して手続きを進めるのは、本当に大変です。 気軽に相談できる専門家がいれば、心強いこと間違いなし!大きな不安を、ぐっと軽減します。 

*当選後手続きは、細やかなサポートを徹底するため、お断りする場合があります。 サポートをご希望の方は、まずはお気軽にお問い合わせを。(i@jinken.comもしくは各担当者アドレスまで)

▼DVグリーンカード抽選サポート、お申込み受付中

https://jinken.com/entry/

絶対アメリカに行きたい!住み続けたい!大きなチャレンジをして自分を変えたい! Momsを通じてご応募なさる方々の「本気」にこたえます。

応募期間は例年10月のおよそ1か月。

もしもDVが実施されなかった場合には、もちろん全額対応させていただきますのでご安心ください。政権の移民政策に対する不安も大きいところですが、Momsでは柔軟に対応してまいります。

作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。