米_子どもなしの遺産相続(2)_1339

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1339回 弁護士 鈴木淳司
Nov 9, 2022

 ずいぶん寒くなってきましたね。季節替わりなのでしょうが、秋はあったかなかったか、という感じで、もうこれから冬に突入してしまうのでしょうか。
中間選挙も終わるともうサンクスギビング、クリスマスとホリデー一色になっていくのでしょうが、私は12月まで、裁判があるので、忙しい年末になりそうです。
まあ、仕事なのでしょうがないですが、こうなったらこの裁判をとことん楽しむしかないですね。
みなさんは年末にむけて休暇を考えられていらっしゃいますか。

米_子どもなしの遺産相続(2)_1339

 さて、前回から考えてきた質問を続けて考えていきましょう。

 いただいている質問はまとめると「はじめまして、日本在住の者です。私の叔母はアメリカ人と結婚したため、若い頃からずっとカリフォルニアに住んでいましたが、最近他界しました。叔母の夫はすでに15年以上前に他界しています。叔母は子供がいなかったため、私がアメリカに行くととても可愛がってくれましたので、よく叔母に会いにいき交流していました。叔母がなくなったあとも、私がアメリカに行き、英語があまりできないのですが、色々な処理をしていました。その叔母が遺産を私に全部残すということを遺言に書いていました。現地の弁護士に叔母が依頼していました。日本には、叔母の兄弟そして、その兄弟の子らがいて、自分たちにも遺留分というものがある、ということを私に言ってきています。遺産はわけなくてはいけないのでしょうか」というものです。

日本とアメリカは相続制度が別

 前回は、叔母さんの財産は質問者の方に相続されていくであろうと書きました。
 アメリカには日本法にあるような遺留分の制度は基本的になく、同居している親族はある程度の額に関して主張できるに留まります。

もう少し詳しく考えましょう。

トラストー信託財産

まず、日本ではまだ使われていませんが、アメリカでは一般的なトラスト(信託)ですが、かりに信託の形に叔母さんの財産が形成されていれば、その財産は形式的なものですが、叔母さん個人のものではなく、信託が持っているということになりますので、相続の対象にはならず、信託財産は質問者の方に間違いなく相続されていくことになります。
日本法にいう遺留分というのはまず適用されません。

遺言は裁判手続きで分配

 次に、今回の質問メールでは明らかではなかったのですが、そもそもトラストはなく遺言だけ作っていた場合を考えます。

 遺言があれば、その遺言を執行してもらうために裁判所に申し立てをします。
そして、その申立を基礎にして相続財産がカウントされ、分配されていきます。

 遺言の申立は公的な裁判を通して行われますので、誰でも情報が見られます。また、親族には通知がいきます。
したがって、親族の方は、相続にクビを突っ込んでくることは十分に考えられます。
裁判所における相続手続がはじまった場合、親族や債権者が自分たちの権利を求めて何らかの申立をすることもよくあります。

みなさんもドラマで遺言が無効じゃないか、といったサスペンス劇場をご覧になったことがあるのではないでしょうか。
いろいろな申立がありえます。
通常は裁判所を通すので9ヶ月から12ヶ月ほどかかりますし、場合によっては10年戦争ということもあり得るのです。

今回の質問されている叔母さんの相続財産に関して、裁判所を通して相続手続されているのであれば、遺言を確認したうえでその遺言に沿って分配されるので、質問者の方が相続財産を最終的には受け取るようになるのだと思います。

日本法の遺留分減殺請求は排除

 もちろん、親族の方が日本法でいう遺留分を主張したとしても関係ありません。


 また、具体的に今回の質問にある遺言を確認していませんが、通常遺言にはNo Contest Clauseという条文があって、遺言の内容に対して異議を申し立てた場合には、受益者だとしても財産は分配しない、という項目をアメリカの遺言では入れられます。

 したがって、遺言に書かれている質問者以外の人がなんら異議を申し立てても排除されてしまうということになります。

質問者へ遺産相続される蓋然性は高い

このようにみると、トラストであっても遺言であっても、どの程度時間がかかるのか差は生じますが、今回の質問者の方に財産は相続されるということになります。
叔母さんもそれを望んでいるのでしょう。

 私も過去に似たような事件の経験がありますが、がめつい親族が色々な理由をつけて相続財産を取ろうとしてくる事例があります。
このようなことがあっても、実際叔母さんは質問者の方に財産を残してほしいと思っていたわけですし、質問者の方と一番親族でも親しくしていた様子も伺えますから、うまく親族と立ち回って叔母さんの意思を成就させてあげるのも良いかもしれません。

 次回、また新しい質問を考えていきましょう。

 もう雪が降ったなどという便りも聞きます。
 この間まで夏で、いきなり冬になるような感覚になっていますが、季節の変わり目ですので、体調に気をつけながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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