コロナ禍でリモート-H1Bビザに影響?(2)_1263

サンフラン SF滞在

法律ノート第1263回 弁護士 鈴木淳司
May 18, 2021

 先週久しぶりの出張に行くために飛行機に乗りました。
久しぶりにベイエリアの夜景を空から見る機会に恵まれました。
びっくりしたのは、LED照明が普及しはじめたからかもしれませんが、昔は、ほぼ明かりがオレンジ色だったのですが、かなり鮮やかな白色の照明が増えたことです。
昔はアジアに行くと、蛍光灯の色が主流で、アメリカはオレンジの色が主流だったのですが、ライト一つも時代によって色が変わっていくのでしょうか。
昔、横浜は日本でも特別で、暖色系の街灯が異国情緒を演出していたものです。時代の移り変わりを感じました。

コロナ禍でリモート-H1Bビザに影響は? (2)_1263

 さて、前回から考えてきた質問を今回も皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

いただいている質問は、「私は日本の企業の駐在として、シリコンバレーで現地法人社長をしております。私も私の家族もLビザで渡航しております。会社に一人、H1Bビザで数年働いている有能な日本人がいます。コロナ禍になったので、社内全員が自宅からリモートで勤務しているのですが、日本本社から、リモートをしていると会社で働いていないわけで、ビザの維持に問題がないのか聞かれています。社員のこともありますし、自分自身のこともあります。」というものでした。

EビザとH-1bビザ-アメリカで働くためのビザ

 前回、H-1BビザとEビザは、ともに就労ビザではあるものの、根本的な立て付けが違っていることを考えましたね。

Eビザは主に、どのような投資や事業がなされているのかにフォーカスが置かれ、H-1Bビザは労働市場も勘案されるということがわかったと思います。
Eビザというのは、米国と条約関係のある国にのみ出されますので、全世界的に対象とされているH-1Bとは違う一面もあります。

EビザとH-1bビザ、最大の違いは労働許可

 Eビザと大きく違うポイントは、H-1Bビザについては、労働許可がいるという点です。
米国労働局が、アメリカの労働市場に影響しないように監督しています。また、外国人が米国人と同等の待遇を受けることも監督しているわけです。
この労働許可ですが、「どの場所で働くのか」で申請内容が異なってきます。
そして、このH-1Bビザ申請者が働く場所に、少なくとも就労に関する掲示などをすることが義務付けられます。

 H-1Bビザが許可され、対象外国人が当初の許可と違った場所で働くということになった場合には、当初想定されているエリア外で働く場合には再申請が必要であるとされています。
「当初想定されるエリア」というのは、労働局のガイドラインが存在しますが、基本的に妥当な通勤範囲内をいいます。

このようなはっきり決まっているわけではなく、距離は規定されていないので、通常勤務において、通勤していた範囲であれば、自宅も十分に「当初想定されるエリア」に該当することになります。
ただし、H-1Bビザ保持者が就労する場合には、その場所に前述した、労働局が要求する掲示をしなければなりませんので、形式的には自宅にその掲示をするということになりましょうか。 

通常の通勤範囲外での就労は?

では、前述の「当初想定されるエリア」の範囲外、すなわち通常の通勤範囲外で就労する場合は、どのようになるのでしょうか。

難しい労働局の規定があるのですが、簡単にまとめると、一年間で60日間の範囲であれば、「当初想定されるエリア」外での勤務は認められます
ただし、通常業務と合理的なつながりがなければなりません。
まあ、通常業務と同様の勤務をしているのであれば、問題はなかろうというレベルです。

リモートワークも労働許可範囲内

一年間で60日間を超える場合には、労働法は、新たに労働許可を得ることを求めています。修正申請をすることになろうかと思います。
この60日間というのは、勤務日のみをさしますので、土日は含まれません。

 上記から、H-1Bビザを保持している外国人被用者は、労働許可の範囲内でリモートワークをしていれば、まったく問題はないことになります。
問題になるのは、別の州に行く、などの場合でしょうかね。

 一方でEビザはこのような制限が課されていないので、基本的には地理的な範囲で行動が制限されることはないということになります。

 今回質問されている方の質問において、全員自宅で勤務されていて、もともと勤務先にその自宅から通われているのであれば、Hビザであっても、Eビザであっても問題にはならないということになります。

 次回、また新しくいただいている質問にお答えしていきたいと思います。

なんだか、風が強い日が多いように感じます。季節の変わり目でしょうか。
サンフランシスコの街はずいぶん賑わってきました。
レストランにも行ってみましたが、なんだか懐かしい気分になります。
まだまだコロナには注意が必要ですが、気分転換をしながらまた一週間がんばっていきましょうね。

▼DVグリーンカード抽選当選後サポート、お申込み受付中
https://jinken.com/win/

当選なさった皆さま、おめでとうございます! 当選した後は、一定期間、事務手続きに加えて大小の不安も抱えがちです。 移民政策の変更にも、柔軟に対応しています。

▼DVグリーンカード抽選サポート、お申込み受付中
https://jinken.com/entry

絶対アメリカに行きたい!住み続けたい!大きなチャレンジをして自分を変えたい! Momsを通じてご応募なさる方々の「本気」にこたえます。

応募期間は例年10月のおよそ1か月。すぐに終わってしまいます…

もしもDVが実施されなかった場合には、もちろん全額対応させていただきますのでご安心ください。政権の移民政策に対する不安も大きいところですが、Momsでは柔軟に対応してまいります。

関連サイト

カリフォルニアで起業をお考えですか?
まずは、州のページで登録事項を確認

ニューヨークで起業をお考えですか?
まずは、州のページで登録事項を確認


作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。