法律ノート 第1252回 弁護士 鈴木淳司
February 28, 2021
私が歯の治療をしている間にタイガー・ウッズ選手の事故に関するニュースが入っていたようで、歯科医院を出てニュースにびっくりしました。私も痛い思いをしていたのですが、それどころではありません。とにかく、ゴルフ、いやスポーツ界の至宝ですから、また復帰することを本当に願っています。
しかし、最近では日本でも然りですが、まったく関係のない弁護士が出てきて、「今回の事故は市の責任だ」などと具体的な事実もよく知らないのに公言するのは井戸端会議よりもたちが悪いと思います。弁護士の人気取りなのでしょうか。実は現在私が担当している大型事件についても、アメリカの大手事務所が、単に勘ぐりや一般的な法律論で、まったく見当違いの記事を書いているのです。何も価値がない単なる広告じゃないか、と思うのですが。
リース代金が高い!!アメリカで減額交渉(2)_1252
さて、前回から考えてきた「最近車をリースしました。今までは車を買っては買い替えていたのですが、リースの方が新しいクルマを乗り継ぎやすいし、メンテンナンスも含まれるということで、車を購入するよりもリースを勧められ選びました。そして、毎月支払いをはじめたのですが、インターネットで色々調べると、思ったよりもリース代金が高く、あまり購入するのと変わらないことに気づきました。まだ、リースをはじめたばかりですが、交渉をして購入するように変更するにはどのようにしたらよいのでしょうか。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。
リース契約の仕組み
まず、前回はどのような要素を考慮して、リースを交渉するべきかを考えました。
では次に、今回はリース代金が高いと感じることについて、どのような対応を試みるべきなのか考えていきましょう。
そこで、まずリースというのはどういった構造の契約なのか、もう一度整理します。
車を製造販売する会社があります。この会社がリース会社に車を売る、ということになります。そして、このリース会社が車を運転する皆さんに車を貸す、という仕組みを取っています。
したがって、皆さんは車をリース会社から「借りている」ということになるわけです。日本で聞く残価設定ローンも残価を想定して、乗っている期間相当分を分割で支払うことになります。
リース会社を挟まずに、販売会社から車を「買う」というところは違いますが、大枠では似たような仕組みです。買うか、ローンをするか、で費用等に違いはあるのでしょうが、残価を想定する部分は同じです。
リース契約、交渉の相手方は誰か
まずリースは、車を「借りる」わけですから、今回の質問のようにリースについてネゴをしたいと思うのであれば、相手方はリース会社になります。車を手渡した販売会社は基本的にリースには関与していません。
そして、基本的にはリースはリース契約で縛られていますので、リースに従って、ネゴをすることになります。
リース会社は、いわゆる購入するリスクを負いながら、一方で消費者からの利息で利益を得ます。
もちろん、車の製造販売会社の系列リース会社であればもともと安価で車を仕入れて、高い価格でリースを出していることも十分に利益にはなっていると思います。
ですので、たとえば3年間のリース、つまり貸し出しをすることで利息を得ているのですから、たとえば今回質問されている方のように、「やっぱりリースはやめます」と言われてもリース会社は納得しないと思います。
リース契約の中途解約も実は絶対ではない
そもそも中途解約したいのであれば、リースの残金を全部払ってください、と言うかもしれませんし。中途解約の場合、全額払という条項も組み込まれているかもしれません。
しかしながら、契約書に記載されている条項があるから、絶対それに縛られ続けるのか、というと、リース会社と皆さんの間で合意ができれば、リースの内容は変更できます。これはどのような契約でも変わりはありません。
しかし、一旦合意をして、一定期間リースをするという約束をしてしまっている以上、その契約を履行することは義務として存在するので、簡単に覆すことはできません。
そのため、リースで契約されたマイレージが少々超えてしまった場合とか、数ヶ月短縮してリース契約を終了するとか、細かい部分の調整はリース会社としてもたいした不利益ではないので対応してくれる可能性はありますが、まだリース期間の浅いリース契約に関しては、なかなかリース内容を変更してくれる可能性は低いかもしれません。
つまり、今回の方のように、すでにリース契約を締結してしまっている以上、変更は困難かもしれませんが、いくつか考えられる方法論を次回考えていきましょう。
2月もあっという間に終わってしまいましたね。ワクチンが行き渡って、正常な生活が戻るのも遠くはないかもしれませんが、まだ油断大敵です。暖かくなってきますが、気を抜かずにまた一週間がんばっていきましょうね。
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