会社をたたむー法的な手続きは?(5)_1234

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1234回 弁護士 鈴木淳司
October 19, 2020

 街ではかぼちゃを売るいわゆるパンプキンパッチを多く見かける季節になりました。今年はコロナの影響で、なかなかハロゥインも気軽にできないような状況であります。それどころか、この数週間アメリカではコロナ患者が激増しているようです。医学者からは、サンクスギビングも危ないという話が出ていますね。もうワクチンができないとどうしようもないのかもしれません。みなさんは今年の秋はどのようにお過ごしになっているのでしょうか。

会社をたたむー法的な手続きは?(5)_1234

 さて、前回まで考えてきた質問を今回も続けて考えていきたいと思います。「日本とアメリカの間で、インターネット売買の仲介をしている会社を経営しています(経営はカリフォルニア州)。最近コロナ禍によって売上が激減し、会社を畳もうと思っています。カリフォルニア州の法人として活動をしていたのですが、会社の営業活動を一切やめることを前提でどのような法的手続きを取ったら良いのか教えてください。」という質問でした。

 前回は、清算方の破産であるチャプター7を考えました。手続的には一番簡略な方法ではあります。

再建型の破産

 チャプター7の他に、チャプター11と13というタイプの破産があります。この後者2類型の破産は、いわゆる再建型と言われるものです。

 チャプター7では、完全な清算を目指すので財産は処分換金し、負債に充当して免責になるというタイプですが、再建型というのは、申立をして、計画的に支払いを継続しつつ、事業を再興するというタイプのものです。
 ですので、財産を売払い清算するということは念頭においていません。

 一般論では、チャプター11は比較的大きな企業が利用します。
 最近でも、大きな名のある会社が破産するというのがこのコロナ禍でニュースになっていますが、ほぼ、このチャプター11を利用しています。個人での利用は多くありません。

 チャプター11の破産を利用するためには、管財人が指定されますが、その管財人に対して、どのように再建するのか、そのプランを提出し承認されなければなりません。
このプランニングがかなり大変な作業になります。
すべての債権者をリストアップして、担保を持っている債権者と、劣後する債権者に分け、債権者の最大の利益になるようなプランニングをしなければ承認されません。
ですので、清算型の破産よりも、かなりやることが多いのです。

残余の負債が免責されうるチャプター13

 個人や小規模のビジネスが利用でき、チャプター7に続いて比較的利用されるのが、チャプター13です。

 このタイプの再建型は、負債があるとして、その負債を払える範囲で3年または5年かけて支払い、その裁判所で決められた支払いを実行すれば、残余の負債は免責されるというものです。

 財産をすべて換価して負債に充当するのではなく、数年にわたって、自己のキャッシュフローが許される範囲で支払いを続け、財産をキープしつつ、最終的には負債の免責を受けられるという破産です。
家のローンを支払い続ければ家もキープできます。

 また、申立をすることで、自動的に債務の取り立てや訴訟が凍結される効果(Automatic Stay)が生じますので、裁判所の命令に沿った毎月の支払いを怠らなければ財産もキープでき、最終的には免責も受けられるメリットがあります。

チャプター7は清算型ですので、書類等は比較的簡単に用意して申立ができますが、財産がほぼない場合、収入が絶たれてしまったり、減少してしまいます。
チャプター13を利用するのが難しい場合などに利用することになるでしょう。

また、持ち家を失いたくなかったり、前回考えた免責されない負債(一部の税金、養育費など)がある場合には、チャプター7より、チャプター13の方がベターかもしれません。

破産は専門家への相談を

 今回、ざっくりいろいろな種類の破産を考えましたが、破産法は色々込み入っていてやはり、専門の人に自分の状況を聞いてもらって、どのような形がベストか考える必要があると思います。
今回の質問へのお答えについては、その指針にしていただければと思います。

コロナ禍ではさらに要件緩和

 なお、コロナ禍のなか、アメリカではCARES Act.という連邦政府による救済策が提示されています。
そのなかでチャプター11へのハードルをさげたり、チャプター7,13の申請の際には、給付金をカウントしなかったり、チャプター13の支払い期間をフレキシブルにしたりすることが定められています。

 ですので、コロナ禍における破産のハードルは全体的に下がっていますので、ひとつのオプションとして考えられても良いと思います。

 今回考えてきた質問は、他人事ではなく、たくさんの方がビジネスについて考えられていると思われます。他にも質問があれば、法律ノート宛に質問をください。

 次回、また新しい質問を考えていきたいと思います。季節の変わり目で夜が寒い日も出てきました。体調に注意しながらまた一週間がんばりましょうね。


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作成者: jinkencom

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