IT企業のアメリカ進出(2)_1238

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1238回 弁護士 鈴木淳司
November 17 2020

 ずいぶん季節が変わり寒くなりました。ヒーターをつける日も増えましたね。憂慮するのが、アメリカでのCOVID感染者の激増です。大統領は選挙結果に納得行かないことばかりを主張して、COVID対策はまったくなされていません。それどころか、自分の正当性を訴えて集会を開いたりしていますが、集まった人たちはマスクをしていません。州によっては、死体安置所が飽和して、屋外にコンテナを積んで対応しているようです。もうため息ばかりの状況です。みなさんは安全に過ごされていらっしゃいますか。

IT企業のアメリカ進出(2)_1238

 さて、前回から考えてきた「インターネットを利用するサービス業を日本で展開しています。これから事業を国際化したいと思い、アメリカにオフィスを置こうと思っています。最初はシェアオフィスではじめ出張ベースで日本とアメリカを行き来しようと思っています。ひいては、家族を連れて就業ビザを得て日本から渡米しようと計画しています。多くのIT企業が日本からアメリカに進出して結局撤退することが多く慎重になっていますので、ビジネス面ではなく法律家の意見を聞きたいと思っています。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。

税法上「居住者」とみなされる可能性

 税法上「居住者」とみなされるのは、アメリカに183日以上滞在している者を言い、移民法によるステータスに優先して適用されることになる、というところまで前回考えました。

 この税法上の定義もあり、ビザ免除入国90日間をギリギリに使ってアメリカに滞在することを繰り返すと、「居住」しているという疑問が生じ、入国を拒否される可能性が格段に高くなります。

 もちろん、新しい土地で、新しいビジネスを始めるにおいて、90日間というのは、かなり限られている時間で、実際なんらかのビジネスの成果が得られるか疑問ではあります。ここで、IT系の会社に関しては2つの方向性で考えるのが良いと思います。

Bビザの取得

 一つは、Bビザを取得することです。Bビザというのは、短期滞在ビザと表現されますが、通常はビザ免除制度がない外国人がアメリカに入国する場合に許可申請するビザです。

 日本人はアメリカにビザ免除制度を利用して入国できますが、Bビザの許可申請を行うことも可能です。Bビザでアメリカに入国すると、6ヶ月の滞在が許され、そのまま滞在を継続して、さらに6ヶ月の延長申請が可能になります。

 また、他のビザへの変更(滞在資格の変更)も可能になります。Bビザではアメリカ国内で就労することは許されていませんが、期間的にも、他のビザに変更する可能性においても、ビザ免除制度よりは優れている面があります。

 1年あれば、ビジネスの可能性についても、ある程度は探ることは可能なのではないでしょうか。

アメリカ進出前に反応をさぐる

 2つ目の方向性としては、IT企業の特性を生かして、日本からアメリカに進出する前に、サービスをスタートさせて現地の反応をみるということだと思います。

 物販の場合には、やはり基地がローカルにあることは重要なのかもしれませんが、サービスに関しては、企業の場所をそれほど選ばないはずです。

 まずは、言語をローカライズして、どのようなマーケットがあるのか、どのようなサービスに人気が出るのか、などを探って構築してしまうのが近道かもしれません。

 そのように初期投資は「アメリカに来る」ということを先におかず、アメリカの消費者はどのように受け止めるのか、企業のサービスを試してみて、そこでできたつながりを利用して、現地に進出するという方法が可能ですし、ベターかもしれません。

 実際にそのように、現地のマーケットを探ってサービスをはじめて広げていく企業は、かなり根強く残っているようです。また、投資額も限られた状況ではじめられるので、リトマス試験紙としては良いのではないでしょうか。

 この段階を経てから、シェアオフィスをアメリカで借りるなど実体的な部分を揃えていく作業をすれば良いと思います。また、会社によっては、まず雇用関係を構築することを優先して、人材を探し高額を払うというケースもありますが、初期段階で人をフルタイムで雇うというのは、リスクが大きいと思います。

 請負会社を探して、一部を部分的に担ってもらうという形にするのが徐々に事業を広げる近道だと思います。雇用関係が生じると、労働関係法が絡んでくるので、人との関係が複雑になります。ですので、請負的な関係で始めるのが妥当ではないかと思います。

 また、次回続けていきましょう。

 秋の味覚を楽しむ時期ですね。私もナスを揚げたりして楽しんでいます。日が短くなってきたので、家にいて運動不足になることも多いですが、心身の健康を保ちながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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