弁護士の「利益相反(Conflict of Interest)」とは?(1)_953

Golden Gate sanfran

法律ノート 第953回 弁護士 鈴木淳司
Aug 24, 2015

 最近再び、松本清張などの推理小説がマイブームで読み返しています。森村誠一なども面白いのですが、やはり松本清張の表現は豊かで参考になります。しかし、時代が変わったものだとつくづく思います。小説の中では公衆電話を使うシーンや、図書館にいって調べものをするシーンなどが出てきます。郵便の日付なども問題になる場面もあるわけです。

 しかし、現在では、すべて携帯電話やインターネットで解決できますし、やり取りも電子メールや各種の通信方法がありますので、隔世の感があります。当時の殺人事件などを現代の技術があったらどのように変化するのか、などを考えるのは楽しいものです。そういえば、松本清張の小説では寝台特急などがよく出てきますが、もう寝台特急もなくなってしまうそうですね。皆さんは本を読まれていらっしゃいますか?

弁護士の「利益相反(Conflict of Interest)」とは?(1)_953

 さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると「私はハワイに在住しています。カリフォルニア州で最近私の父が他界し(相談者の母親はすでに他界している)、カリフォルニア州に住んでいる3人の兄弟と遺産相続について話合いをしています。その過程で紛争が生じ、私自身弁護士に相談したのですが、「Conflict of Interest(利益相反)」があるので、相談にのれない、と言われてしまいました。なんでも、他界した父親が生前に何度か相談をしたことがあるからだそうです。なんとなく、弁護士によく思われていないので断れたのかと思いましたが、利益相反というのは弁護士にとってはかなり問題になることなのでしょうか」という質問をいただきました。

弁護士にとってはかなり重要な問題

 利益相反というのは、普通の職業ではあまりでてこないコンセプトかもしれませんが、弁護士にとってはかなり重要な問題であります。弁護士の仕事というのは、当事者の一方の肩を持って戦う職業です。そうするとその当事者のことはかなり深いところまで知ることとなります。良いことも悪いことも知っていなければ真摯な弁護はできないからです。

 依頼者も、自分の弁護士を頼って自分をさらけ出すわけです。私のクライアントでも20年来のクライアントがいるわけです。それは単なる信頼というのではなく、仲良しの友人のように付き合っていっているからです。

 余談になりますが、良い弁護士というのは、目先の案件のことに注目していないと思います。私の友人でもまわりでも良い弁護士というのは、人として優れていて、依頼者を家族のように大事にします。

 日本でもアメリカでも私が尊敬する弁護士は、皆すべて人間的に情が厚く、ドライに事件を見ているわけではなく、その依頼者が10年後、20年後に幸せになるように考えるような人格を持っていると思います。簡単に言うと、呑んだり、一緒に時間を過ごしたりしていると楽しく、ほっとできる人達という感じでしょうか。

利益相反は、法律倫理というより弁護士倫理

 依頼者のことを知り尽くしていると、いきなり敵対する相手方弁護士となるのは、「卑怯」であると弁護士でなくてもよくわかると思います。これが利益相反の根底にあります。

 カリフォルニア州でもハワイ州でも弁護士会が必ず利益相反についてのルールを定めていますが、利益相反というのは、法律違反というよりは、まず弁護士倫理の問題です。利益相反というのは、メジャーな弁護士の懲戒事由であります。そりゃそうでしょうね。自分が持っている情報をフルに活用して、もともとのクライアントに対して訴訟をすれば「ずるい」わけです。

余りにひどい利益相反に、弁護士の懲戒を申し立てたことも

 私も20年間弁護士をやっていますが、2年ほど前に、一度だけ余りにもひどい利益相反行為があったので、同業者の懲戒を申し立てたことがあります。かなりわかりやすい例です。

 その弁護士は弁護士になって1年だか、2年だか、の新米老弁護士で、一人で事務所をやっていました。いわゆる「ソクドク」という弁護士ですね。よくある「ベンチャー企業」で、内部がまとまっていない会社を代理していたわけです。その企業の投資家が、企業の運営に疑問を持って声をあげたところ、その弁護士は、自分の贔屓にしている株主を代理して、自分が昨日まで代理していたベンチャー企業を今度は手のひらを返したように訴えてきたのです。これでは、他の投資家や株主はたまったものではありません。

 その弁護士のとった行為で被害者となった株主や投資家を代理したときに、余りにもひどいので弁護士会に懲戒を申し立てたところ、業務停止までは行きませんでしたが、処分されていました。今でも、その弁護士はベイエリアで弁護士をやっているそうなので、また被害が出るのだろうな、と思っています。

 このように利益相反というのはかなり深刻な問題を含んでいます。次回カリフォルニア州のルールを考えながら、もう少し掘り下げていきましょう。

 朝晩涼しくなってきた地域も多いと思います。夏の終わりを楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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