法律ノート 第1135回 弁護士 鈴木淳司
Nov. 14, 2018
サンフランシスコを挟んで南北で州にとって過去最悪の火災が発生しています。死者も、滅失・毀損した建物も多く、憂慮する事態です。
大統領は、火災発生から数日後にやっと災害認定をしましたが、森林局が連邦の補助金を不正利用しているので、補助金を減額すると言い、火事と闘っている消防が怒りを顕にしています。一方で、私が共和党ベースの田舎のカフェで話を聞くと、実際に森林局の幹部が横領しているという話を聞かされ「大統領の言うことはもっともかもしれないし、火事がもっと起こるかもしれない」と話している人たちもいます。ベイエリアの空気は悪いですが、皆さんは大丈夫でしょうか。
米国で非営利団体を設立したい(3)_1135
さて、前回はお休みしましたが、前二回、「現在アメリカの大学でソーシャルスタディーズを勉強しています。卒業したら、賛同してくれる友人とともに、海外に住む日本人や、日本に行きたいという外国人を支援する非営利の団体をつくりたいと思っています。まだ、アイディアは漠然としているのですが、寄付を募ってこのような団体を設立し、将来米国を中心にして活動をしたいと思っているのですが、可能なのでしょうか。」という質問を考えてきました。
非営利団体の設立で就労ビザ取得は可能か?
ここまでで、どのような種類の非営利団体が連邦から非課税団体として認められるかが理解できたと思います。
まず、各州に非営利団体として登記をし、その後、選択的に連邦の非課税登録をするということになります。さて、ここからが今回の質問に対する回答のキモになります。
すなわち、学生ビザで学生をしている外国人が友人たちと非営利団体を設立することで、就労ビザの取得が可能かどうかです。もちろん具体的な事実関係を消化しないとなんとも言えませんので、ここでは一般論になりますが、考えていきましょう。
雇用主と被用者
まず、就労ビザの取得には、大きく分けて、就労を欲する外国人と、雇用主と、2つの要件があります。就労ビザのカテゴリーには、主に、E、LおよびHビザなどが考えられるのですが、雇用主と被用者に関する要件がある程度設定されています。
細かく各ビザの要件を今回の法律ノートで吟味しませんが、一つ雇用主で要求されるのが、外国人の給与を払うだけの資金繰りが認められるか、ということがポイントになります。
また、不当に外国人を安く雇っていないかも重要になります。これは、アメリカ人の雇用を守るという側面と外国人に対しての不当な扱いを禁止するという考えに由来しています。
給与を支払う能力があるかどうかが争点
今回質問にあるような新規事業を立ち上げるというケースは、給与をちゃんと支払う能力があるのかが、かなりの争点になります。どのビザでも現状の許可状況をみると、実体を問われていることに重点が置かれていることは明らかであります。
新規事業でも、ちゃんとした実績に裏打ちされている親会社があるか、投資額についても、設備投資だけではなく、かなり大規模な資本金を投入し、当面の給与支払いを含めた運営が可能であるか、などの考慮事情が個別の申請ごとに判断されることになります。
何度も法律ノートで考えていますが、移民行政の許可については、かなり広汎な裁量行為ですので確立された基準はなく、あくまでも、色々な事情が総合考慮されることになるのです。
このように、雇用主の情報が必須になるのが雇用ビザですから、今回質問されている学生さんのように、コンセプトは良いが、会社を新規で立ち上げるという場合には、まず実績をつくることと、キャッシュフローを雇用が生み出される程度まで確保することができないと、被用者のビザサポートをすることが難しいと考えてください。
この会社の規模に関しての要件は、今回の質問にあるような非営利団体にも当てはまります。
目的達成のために必要な人材にはビザがでる
非営利の団体であっても、もちろん外国人のビザの取得は可能です。非営利団体の目的達成のために必要な人材であれば、ビザがでるわけです。
宗教団体などは、宗教職のための特別なビザ(Rビザ)が用意されていることから、非営利団体であっても、一般的にビザの発給は可能なのです。
ただ、今回の質問にある非営利団体のように新規に立ち上げる場合には、少し団体そのもののセットアップを慎重に行ってからビザを考える必要があります。
次回、もう少し、今回の質問を踏まえて、どのようにビザの発給の可能性をあげていくのか、考えていきたいと思います。
本当に山火事が心配ですが、カリフォルニア州はとにかくここ数年雨が少なすぎます。10年前を振り返ると、いまは天候が異常としかいえないと思うのです。
個人でできることは限られているかもしれませんが、何ができるのか、考えていきたいところですね。また来週まで一週間がんばっていきましょう。
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