法律ノート 第1454回 弁護士 鈴木淳司
Jan 25, 2025(updated July 10, 2026)
南カリフォルニアの火事もおさまってきたようですが、カリフォルニア州では冬なのにすでに水不足の注意喚起が行われはじめました。
南カリフォルニアだけではなく、北カリフォルニアでも水不足が話題になってきました。
去年から今年にかけては、記録的に雨が少なく、気候変動なのか、何が原因か私はわかりませんが、今年の夏はかなり水不足が深刻になると思います。
また火事も深刻な問題になりかねません。
地中海性気候ですから、雨が多く降る冬も嫌いではなかったのですが、天気も春のような日もあり、肩透かしをくらっています。
ゴルフを楽しめるのは嬉しいですが、一方でこれからの季節はどうなるのか不安になります。
みなさんのお住まいの地域はいかがでしょうか。
さて、前回から考えてきた、「先日、サンフランシスコに出張で滞在している間、私が歩いているところで、電動スクーターに乗っている人と接触して転倒し、骨にヒビが入る事態になりました。その事故の相手方は逃げ去り、誰かがわかりません。サングラスをかけていたので顔はよく見えませんでした。病院に行き治療を受けましたが、色々不利益を被ったことに納得がいかないのですが、なにか法的にできることはないでしょうか」という質問をさらに今回考えていきたいと思います。
事故後はまず警察と保険会社への報告が重要
前回は、警察活動の助けにもなり、保険請求にも影響する事故の報告について考えました。
後々、報告をしないということで不利益を被らないように、まずは報告をするということの重要性を理解していただけたと思います。
当て逃げ犯が見つかれば刑事裁判になり得る
今回は、かりに当て逃げ犯が見つかった場合のことを考えておきましょう。
私も車の窓を割られたりしましたが、結局犯人は見つかっていません。
迷惑千万です。
同時に犯罪者が野放しになっているのは腹立たしいですが、こんなことで腹を立ててもエネルギーの無駄ではあります。
かりに何らかの端緒があって犯人が逮捕された場合には、刑事裁判になりそうです。
通報・協力しだいで傷害罪も問える可能性
道路交通法(カリフォルニアではVehicle Codeと呼ばれます)違反だけでなく、被害を警察に通報し捜査に協力しておけば、暴行や傷害にあたる罪でも起訴される可能性があります。
アメリカでは起訴するかどうかを決めるのは検察官(District Attorney)ですが、みなさんが警察に報告し協力するかどうかで、検察が扱える罪の内容も変わってくる可能性があるわけです。
犯人が見つかった場合には、別途民事訴訟を提起して、犯人に対して損害賠償請求を求めることも理論上は可能です。
しかし、弁護士を立て、さらに身銭を切ってまで訴訟をするというのは、なかなかエネルギーも必要になります。
加害者が有罪なら刑事手続きで損害を回復可能
もちろん、損害は賠償してほしいところですが、カリフォルニア州では犯罪の被害者に関して、刑事司法制度上、賠償を求める権利を認めています。
原則として犯人が有罪判決を受けた場合です。
したがって、別途民事訴訟を提起しなくても、損害は回復できる可能性があります。
民事事件のみで責任を追及するよりも、刑事事件上、判決において損害の回復を認めてもらっていれば、一応民事事件で判決される内容を含んでいますので、相当の目的は達せられると思います。
そして刑事司法制度を通じて被害者が賠償を求める場合、その賠償の内容には医療費、賃金損失、物的損害などの経済的損失も含まれます。これはカリフォルニア州憲法第1条28条(被害者権利章典)と刑法1202.4条に定められており、当て逃げの被害者への弁償を認めた判例もあります(People v. Taylor (2011) 197 Cal. App. 4th 757)。
したがって別途民事訴訟を提起しなくても、ある程度の範囲は刑事司法制度上でカバーされるということになりますね。
今回の質問に関してのお答えは上記の程度に今回留めておきますが、他にも事故などに遭った場合の損害賠償などで思い当たる質問があれば、いつでも法律ノート(question@marshallsuzuki.com)まで質問を送っていただければと思います。
また、天気が良い週末になりそうです。
雨が降らないのは不安がありますが、人間が天気を変えることはできないので、素直に晴れ空を楽しみましょう。
また一週間、健康や体調に注意しながらがんばっていきましょうね。
このシリーズを読む
関連する米国法律リソース
- カリフォルニア州刑法1202.4条(被害弁償・victim restitution/California Legislative Information)
- カリフォルニア州裁判所 セルフヘルプ「犯罪被害者のためのリソース」(California Courts)
- カリフォルニア州被害者補償委員会(CalVCB)被害弁償の解説
- カリフォルニア州車両法20001条(ひき逃げ・当て逃げ/California Legislative Information)
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(本記事は2025年1月公開の内容を、JINKEN.COM事務局にて2026年に法令面を見直して更新しています)
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