恩師の受勲_1428

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1428回 弁護士 鈴木淳司
July 28, 2024

前回考えた質問を続けて考えていくつもりですが、今回は一度中断させていただき、私の恩人についてのことを書かせてください。

国際的な環境とよく言われますが、口先だけのことがほとんどです。
日本人に対し、世界で通用する教育をしようと、経験をもとに尽力する人はなかなかいないものです。単に英語が話せる人を引っ張ってきても、高が知れています。
教育は本当に重要ですし、教える側も大変だと思います。その子供の価値観に影響するわけですから。

2024年5月、長年にわたり日本の教育分野で力を尽くされ、世界的に活躍する人を多数送り出してきた鈴木典比古教授が、受勲されました。

私は、鈴木教授の受勲を祝うパーティーに、知り合いのM弁護士が出席されたので、様子を教えてもらえました。このM弁護士も、人格者の弁護士です。

実は、私自身が鈴木典比古教授から学恩を受けたことはありません。しかし、若い頃に、ある重要な接点がありました。

私は中学生のとき、勉強は良くできましたが、捻くれた子供だったと思います。家族の不幸などもあり、生意気だったはずです。

中学のとき、色々思うところがあり司法試験の一次試験というのを受けて、英語で落ちました。
中学校では英語の偏差値は良かったのですが、英語でコンプレックスが生じた覚えがあります。

そんなときに、家族を通じて知り合ったのが鈴木典比古教授でした。

当時、名刺をいただきましたが、「准教授」と書かれていました。
なんだ、准教授というのは?と思ったのを覚えています。
当時はそのような肩書は一般的ではなかったのです。

鈴木典比古教授が「淳司くんは、日本にいたらダメになってしまう」ということで、アメリカに行く道を拓いてくださりました。

典比古教授の伝で、ティーンエイジャーの私はアメリカに渡り、学ぶことができました。
アメリカにいて、典比古教授とはあまり連絡を取りませんでしたが、典比古教授の言われていたことはいつも、そして今でも私の心に残っています。

大学を卒業するときは、(自分で言うのもなんですが)成績も優秀でしたし、大手の日本企業からいくつもオファーがありましたし、法律の勉強もできました。
とにかく悩みましたが、典比古教授に、「君がやりたいことをしなさい」ということで、弁護士の道に進みました。

その当時、典比古教授は国際基督教大学の大学長になられていたと思いますが、自筆のお手紙で諭されました。
その後カリフォルニア州の司法試験も一度で受かり、弁護士になりました。

間も無く北米毎日新聞で「法律ノート」を連載しはじめましたので、典比古教授に記事を送ると「悩みを持つ日本人の人達はたくさんいるはずです。ずっと、書くことは続けなさい」と言われて、今日まで続けてきています。
今日まで続けられているのは、典比古教授の一言でした。
その言葉は、今この瞬間も忘れていません。

 弁護士になって、典比古教授が大学長をされている国際基督教大学で学生相手に講演をしたりしましたが、その後疎遠になってしまいました。

今回、M弁護士のおかげで受勲を知らされ、M弁護士が撮られた写真をみたのですが、胸が詰まりました。
典比古教授は、髪の毛こそ白くなりましたが、以前と全然変わっていませんでした。

私がサンフランシスコで、日本人の方々を助けるために、難しい事件にもたくさん携わりました。
私が弁護士になった頃は、「日本人の弁護士なんて、ユダヤ人弁護士に勝てるわけがない」とか、いう人もいましたが、それは完全にひっくり返すような弁護活動をしてきたと思います。
書類をつくる弁護士ではなく、法廷でやっていける弁護士をつくってくださったのは、典比古教授なのです。

典比古教授は、価値のない私に命を与えてくださいました。
そして、弁護士としての私を確立する基礎をくださいました。

典比古教授の大きな心で、私を助けてくださったおかげで、その思いを持って、私も30年近く、人や企業を助けて来ましたし、若い弁護士を指導してきました。
典比古教授のようにはできませんが、私も自分の思うことを若い人に伝えていければと思うのは、典比古教授の啓蒙です。

典比古教授のメールアドレスをM弁護士から送っていただき、一部ですが、以下のようなメールを送りました。
返答があると良いなぁ、と思いながら、典比古教授の顔を思い浮かべています。

一生の恩師です。


ティーンエイジャーのころから、素行不良、人間未完成、バカ、の私をいつも助けてくださり、包んでくださり、色々必要な時に背中を押してくださいました。
今でも、バカですが。イリノイからカリフォルニア州に移り、高校に行き、今は弁護士として飯を食っています。
私の人生は、典比古教授が作ってくださり、そして今でも、典比古教授の優しさと包容が私の指針になっています。

Mさんとの写真をみると、典比古教授は、髪の毛も白くなりましたが、全然変わっていないですね。
日本の「受賞」について、典比古教授は最高の賞をもらうべき人物なのに、「中」なんとか、とかいうのが気に食いません。
典比古教授がいなければ、私はここまで訴訟や難しい事件をやるような弁護士にはなっていない。
日本人の利益を考えて、ここまでやってきた弁護士はいないと思います。

それを生み出したのは典比古教授です。
バカでもそれなりに役立っています。
そういう人間を生み出している典比古教授には、「中」なんとかは、失礼です。

日本国は典比古教授に中なんとかで済ませていますが、私は、鈴木典比古教授には、Congressional medal of honorのほうが、似合うと思います。
本当に、お疲れ様です。
そして、本当に私のようなバカにも時間をたくさん割いていただき、このような人間にしていただき、心から感謝しています。
先生を写真で見て、涙がとまりませんでした。



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作成者: jinkencom

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