アメリカ_身に覚えのない請求(1)_1425

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1425回 弁護士 鈴木淳司
July 7, 2024

 カリフォルニア州は、とても乾いていて、さらに今までにはない暑さで火事が頻発しています。
山火事の原因の90%以上は人災だ、と言いますが、7月4日の独立記念日に花火で出火するケースもありました。
日本の湿度の高い夏は辛いですが、湿度がないカリフォルニアではまた別の問題が生じて辛いです。
夏がこのような異常な状態になったのは、ガス排出の問題だけなのでしょうか。
あまりにも暑い夏です。
皆さんの健康はいかがでしょうか。

アメリカ_身に覚えのない請求(1)_1425

 さて、今回、新しくいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると「法律ノートはいつも読んでいます。ぜひ、私の現状で何かができないか、と思い、相談のメールを送らせていただいています。数年前に借りたこともないのに請求書が送られてきました。500ドル程度だったと思います。無視をしていたのですが、最近になって、電話やメールが届くようになって倍額以上の請求が届くようになりました。争おうと思っても、払えの一点張りで、困っています。どのように対応をするのが良いのでしょうか」という質問です。

 しばらく前にいただいた質問なので、もう現状で解決していると良いと思います。
なかなか週一回の法律ノートで迅速にご回答することができずに申し訳ありません。

借りていなくとも対応する場合

さて、今回の質問での問題点は、「借りてもいないから無視」をしてしまったところにあります。

手がかかってしまいますが、できればこのような催促に対しては確実に対応して、借りていないなら、借りていないということを、はっきり言っておかないと、「無視をされた」ということで、業者によっては取り立てが激しくなります。

アメリカでの債権回収業

 アメリカでは一般的に、お金を回収することを業にしている会社(債権回収業)は認められています。
そして、金融機関やビジネスの債権回収がままならない場合には、その債権を債権回収会社に売ったり、回収する権利を渡したりするのです。
そうすると、その債権回収会社が、今度は今回質問されている方のような債務者に対して、「金を払え」と言ってくるのです。

よく、昭和の時代にヤクザが金を回収しにいく、というパターンがありましたが、その現代版です。
債権回収会社は、うまくいくと高収入になることもあり、かなりアグレッシブに回収をかけてくる会社も少なくありません。
何度も電話をしてきたり、直接回収に来たりします。

債権回収業の収益の仕組み

債権回収会社は、債務者の情報を引継ぎますので、債務者側の情報を握っているわけです。
しつこく連絡してくる会社もいるのですが、これは債権を売る側と買う側の契約も影響しています。

回収のために、一度メールをすると1ドル、電話をすると2ドルなどと決めている契約もあるわけです。
そうすると、回収にアグレッシブになればなるほど債権回収会社は儲かるわけです。
また、債権回収会社は回収した額の30−60%受け取るという契約内容になっていることも多く、優良な債権(情報が多く、回収できる確率が高いもの)であればあるほど債権回収会社も興味を示します。

 日本のヤクザのような回収は日本特有ではなく、アメリカでも昔はかなり酷い取り立て行為が行われていました。
数分おきに電話をかけてきたり、家族や友人、職場や学校などに直接コンタクトをとったり、といったことをする債権回収会社も少なくありませんでした。

悪質取立ての禁止法 – FDCPA

悪質な取り立てが社会的に問題になり、連邦議会は、連邦公正債権回収慣行法 (FDCPA)(15 U.S.C. §§ 1692)を制定しました。
この法律の肝は、債権回収会社ができること、できないことを規定しています。
暴力、脅迫、過度な回収方法などが広く禁止されています。
また、同じように各州でも、悪質な取り立てが禁止されています。

債権回収会社がFDCPA法や州法の規定に反する行為をした場合には、一般的に皆さんが交渉を有利にできるような仕組みになっています。

たとえば、次回考えますが、債権回収会社と皆さんが和解交渉をするときに、債権回収会社のこれらの法律違反を指摘しつつ、有利に交渉することができます。
また、回収会社に対して損害賠償を求めることもできます。
年間収入が1千万ドルを超える債権回収会社に対しては、監視機関に苦情を申し立てることができます。
さらにFDCPA法では、債権回収会社に連絡をやめるように、または特定の方法で連絡をやめるように伝える権利も与えられています。

ここから次回続けて考えていきましょう。

独立記念日が過ぎると、もう一年の半分が終わってしまった、という気持ちが強くなります。
もう、2024年も6ヶ月で終わってしまいますね。
今年の後半、私はかなり忙しくなりますが、走り抜けようと思っています。
みなさんも2024年の後半、健康で安全に、そして楽しくお過ごしください。
また、来週まで健康に注意しながらがんばっていきましょうね。




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作成者: jinkencom

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