カリフォルニア州で2024年に発効した新法について_1399

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1399回 弁護士 鈴木淳司
Jan 7, 2024

 2024年はじめての法律ノートです。
読者の皆さん今年もよろしくお願いいたします。

 皆さんにとって平穏な年始のスタートになりましたでしょうか。
今年は元旦から日本では地震が起こったり、飛行機事故が起こるなど災いが多い出だしとなり心が痛いです。
これから、明るく希望のあるニュースが増えることを祈っています。

カリフォルニア州で2024年に発効した新法について_1399

 さて、今回は、新年初法律ノートですので、2024年から発効する(1月1日からすでに発効した)カリフォルニア州の新法を考えていきたいと思います。
いくつも新法は存在するのですが、ここでは選んで取り上げていきたいと思います。

交通の新法

 まず交通関係の新法が目立ったので最初に考えます。

車道横切りに対する停止命令の軽減

AB2147(ABというのは、Assembly Billという議会議事録の番号で、実際の新法の条文名ではありません。)では、横断歩道でない道路の車道部分を横切ることをジェイウォークといいますが、このジェイウォークがカリフォルニア州では禁止されていました。

しかし、人種偏重の取り締まりが行われて、差別的に運用されている実績があるという指摘がありました。
この隠れた人種差別があるという議論があったことから、警察官がジェイウォーカーに停止を命じることができるのは、(警察官としての特別な視点ではなく)「一般人として合理的な注意を払ったときに、事故の危険性が認識できる場合」という限定がつくことになりました。

また、2029年1月1日まで、罰金を課すことも停止されました。
もちろん、ジェイウォークをするのは危険なのでできるだけやめるべきですが、法律的に停止を命じられることはかなり少なくなります。

スピード違反を自動撮影システムで検挙

 次の交通関係新法ですが、AB645です。
これは、試験的にスピード違反を自動撮影システムにより検挙することを許す法律です。

まずは、カリフォルニア州のロングビーチ、サンノゼ、オークランド、グレンデール、ロス・アンジェルス、そしてサンフランシスコの各市で運用を許すことになりました。
30日間の公告周知期間を経て、システムを導入できることになっています。

試験的運用なので、違反者に対しては25ドルの民事罰が与えられるという建て付けになっています。
この試験的運用は2032年まで有効とされています。
赤信号無視については、すでに検挙システムがつくられていますが、スピード違反にも導入されるという方向になっていきそうです。

刑法系の新法

 ここで、刑法系の新法について考えます。

銃の規制はより厳しいものに

まず、銃の規制ですが、カリフォルニア州はどの州よりも、銃の規制をすることにポジティブですが、銃許容派とのせめぎあいは続いています。
今年から、銃器を公の場で所持していることも禁止になりました
路上や学校近辺なども禁止エリアとなりました(SB2)。

各種法定刑が加重される

次に、蔓延している合成オピオイドの一つであるフェンタニルの違法な販売、性的な売春組織に関わり未成年者が被害者になった場合など、いくつかの法定刑が加重されました。

警察官の過剰な公務執行を抑制

もう一つ刑事系の話題ですが「興奮せん妄(Excited Delirium)」という単語をお聞きになったことがあるでしょうか。
この興奮せん妄というのは、警察官が逮捕行為においてテーザーガンという、被疑者を動けないように痺れる状態にするときによく使われてきた用語です。
死因に「興奮せん妄」と書かれて処理をすることもかなり増えてきました。
私自身も警察の調書で見たことがあります。

この興奮せん妄というのを死因にすることをAB360で禁止にしました
ちゃんと、死因を具体的に書くことが必要であるとしたのです。
死因がどのようなものなのか解析することを検死の際に義務付けることにより、警察官の公務執行が過剰に行われていないかなどのチェック機能に資すると考えられての立法です。

雇用の新法

 ここから雇用に関する新法です。

州の最低賃金がアップ

2024年1月1日から、州の最低賃金は16ドルになり、15ドル50セントからあがりました。
もちろんサンフランシスコも含め、郡によっては高い最低賃金を定めるところもありますが、州全体で最低賃金が上昇したことになります。
また一部の医療従事者については、最低賃金は23ドルとなりました。

リモートワーカーの権利を守る

 コロナ禍で一般的になってきた、リモートワークですが、2024年1月以降、雇用者が就業場所に戻って就業を要求する場合には、30日間の事前通知が必要になりました (SB731)。
また、この通知には、リモートワークを許す場合には、その許される場合を明記する必要があるということになりました。

賃貸借の新法

 最後に賃貸借についての新法を考えておきたいと思います。

セキュリティーデポジットの上限規制

まず、昨年も法律ノートで取り上げた日本で言う敷金、セキュリティーデポジットは新法(AB12)により、上限で1ヶ月分の家賃と同額ということになりました。
家具付きか家具無しかには関わりません
ただし、大家側が賃貸物件を2件、または集合物件を4件までしか所有していない場合には、上限は2ヶ月とされました。
大手の賃借会社の規制をしたということになります。

クレジットヒストリーの提出禁止

 もう一つ、賃貸借契約を締結する際に賃借人からクレジットヒストリーを提出させることを禁止する法律が発効しました(SB267)。
すなわち賃借申込書に記入する内容にクレジットヒストリーを書かせることはできなくなったのです。
賃借申し込みをする場合には、どのように家賃を払っていくのかについて、たとえば給与証明、銀行の預金証明、などを提出することに限定されて、過去のクレジットなどは提出を強要されないということになったわけです。
これは、賃借人の支払いが可能かどうかを調べれば良く、過去のクレジットを参照すると不利益を被る人も出てくることから、賃借申し込みをした人を保護するための法律です。

 もちろん、今回ご紹介した新法以外にもたくさんの法律が今年も出来ました。
法律ノートでは生活に関して影響する可能性があるものを主に取り上げましたが、興味がある方はインターネットなどで調べてみるとよいかもしれませんね。

 また、今年も法律ノートをがんばって書いていきます。
読者のみなさんも健康に注意しながら2024年を楽しんでください。

年始でまだまだリズムに乗られていない方もいらっしゃるかもしれませんが、またがんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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