法律ノート 第1378回 弁護士 鈴木淳司
Aug 6, 2023
サンフランシスコに本社があるツイッターの名前がXになっただとか、新たに設置されたサインが市の条例に反しているとか、ニュースになっていますが、その本社の周りは、ホームレスの人が多く、麻薬常用者ではないかと思える人たちもウロウロしています。
先週もその近くに用事があり、車を一時的に停車させていたのですが、歩いている人たちのなかには、明らかにまっすぐ歩いていない人や何か訳のわからないことを叫んでいる人もいました。
驚いたのは裸足で歩いていたボサボサの長髪の人が弓矢を担いでいたことでした。
弓矢などサンフランシスコの街中ではどうみても不要だと思いますが。
このような環境をどうしていくのか、市の大きな問題ですね。
いつになったら、コロナ前のような正常な環境に戻るのでしょうか。
米国留学、斡旋依頼すべき?(2)_1378
さて前回から考えてきた「日本在住の者です。現在、大学に通う娘がアメリカに留学したいということで、学校の勧める斡旋事業者の方と話を進めています。来年の夏休みに短期留学を計画しているのですが、英語学校に入学する予定です。私達夫婦(娘さんの両親)は、結婚してすぐに数年間、夫の転勤で東海岸に住んだことがあり、娘にも東海岸を勧めています。ただ、この斡旋事業者と話をするなかで、授業料の他に、ビザの取得代行代金、入学金などを含めてそれなりの額を提示されていて、夫(娘の父親)が、学校に直接申し込んだ方が良いのでは、という話をしています。夫はそれなりに英語ができますが、このような授業料他の代金は妥当なものなのでしょうか」という質問を続けて考えていきましょう。
前回は総論的にどういうスタンスで家庭が留学と向き合うかを考えました。
今回は、具体的に踏み込んでいただいている質問を考えていきたいと思います。
学生ビザは自分で申請できる
まず、学生ビザの取得ですが、代行してくれる事業者もいると思いますが、基本的には自分で申請することも可能です。
必要な書類もI-20という入学許可書類、十分な資力証明などがあれば難しい申請ではありません。
はっきり代行費用がいくらか、ということを確認したうえで、基本のビザ申請費用(アメリカ政府に支払うもの)と切り分けて説明を受けるべきです。
そのうえで、代行費用が納得いけば依頼をすれば良いと思います。
申請の手間と代行費用を比べてみる
アメリカ大使館または領事館で申請する場合、本人が行くのが地理的に難しい場合もあります。
そうすると、交通費、宿泊費などを考えると代行費用を払った方が良い場合もあると思います。
旅行事業者なども一括して学生ビザの代行業務を行っているところもありますので、代行費用の値段は確認していったほうが良いと思います。
もし、それなりにアメリカ大使館、領事館にアクセスが良い場所にお住まいなら、英語の勉強にもなるので、家族の力を借りながら自分でやってみても良いかもしれません。
学校の費用は情報を確認してみる
次に語学学校の費用ですが、現在では多くの場合費用がウェブサイトに掲載されているでしょうから、そこを見れば実際に学校に支払う金額は確認できるはずです。
授業料だけではなく、教材、保険なども記載されていると思います。
夏休みの留学であれば、大学などでは夏に寮が空くので、その期間外国人留学生に貸すというところもあります。
そうすると、教育機関側が値段を掲載しているはずですので、その費用さえ払えば良いということになると思います。
斡旋事業者についても、学校側からキックバックをもらっているところもあるでしょうから、申請代金等を取らない事業者も多いと思います。
まずは正規の授業料その他の学校に払うお金がいくらなのか確認することは重要でしょう。
語学学校が、このような最低限の情報を掲示しないのであれば、避けた方が良いかもしれません。
ホームステイの検討は慎重に
さらに、アメリカは滞在費が高いですから、できれば一時的な留学であれば、寮など、学校に付属する宿泊施設があるところが良いと思います。
ホームステイを斡旋する場合もありますが、以前私が所属する事務所で扱った事件で、アジア人女性ばかりをゲストとして盗撮をしているホストもいました。
英語が話せない外国人学生に対する卑劣な行為でした。
もちろん損害賠償を納得するまで取りましたが、ホームステイは問題もあるので、慎重に考えた方が良いと思います。
アメリカの教育機関に「入学金」はない
アメリカの教育機関は、いわゆる「入学金」というものがありません。
学校に登録するレジストレーションフィーのようなものはあるでしょうが、数万円程度です。
日本とアメリカのこの「入学金」制度の違いを利用して、斡旋事業者が「入学金」がかかる、ということを言うところもあると思いますが、このような斡旋事業者は避けてください。
以前、これも私の所属する事務所で紛争化させた思い出があります。
支払いに関する日米の違いに要注意
日本の微妙なお金の取り方として、なんとなく一般的になっている「入学金」、賃貸借の「礼金」(「敷金」はセキュリティデポジットという形で存在する。)、医学部の「寄付」などがありますが、アメリカではこのような日本固有の義務的な金払いはありませんので、気をつけてください。
とにかく、斡旋事業者がいくら費用を自身のフィーとして取るのかを明確にしているところを選ぶことが重要ですが、今回の法律ノートを参考にして、自分でできるところは、自分でやっていくというスタンスで、楽しい留学生活にしていただければと思います。
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