学生ビザとOPTについて

Washington DC Capitol of the United States

じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 06-25-2023

 コロナも収束し、国際的な行き来が緩和されました。

アメリカに来る外国人学生も増加しています。
同時多発テロが起こったときに犯人が学生ビザを取得していたことから、学生ビザの管理が厳格になりました。

以下で述べますが、現在では教育機関は外国人学生の管理者を置く必要があり、さらに外国人学生に問題がある場合には、移民局に対して報告義務を負うことになっています。
外国人学生の管理はかなり統制がなされ、政府も気を配っているのが現状です。
このような環境のなか、楽しい学生生活を送るために、今回は学生として覚えておくべきことを考えていきたいと思います。

米国の各教育機関が、外国人学生を入学させる場合には、I-20という入学許可フォームを記入し、外国人入学許可者に対して発行しなければなりません。

学生は、このI-20と、アメリカ滞在中に十分な資力があることを証明して、学生ビザを申請します。

学生ビザには主に、F-1ビザとM-1ビザがあります。

配偶者、子などの家族は、F-2などの附帯ビザを申請することになります。

まずは、申請の前置としてI-20が必要になるのですが、このI-20を発行する各教育機関は、DSO(Designated School Official)と呼ばれる、外国人学生統括責任者が署名をします。
この署名者が、外国人学生を管理し、違反があれば、移民局(USCIS)に報告をする義務を負います。

 それでは、学生ビザでアメリカに滞在している間にどのような違反に注意しなければならないでしょうか。

違反がDSOに明るみになると、移民局への報告がなされ、ビザが取り消される可能性があります。

 まず、とにかく禁止されているのが、許可のない就労につくことです。

学生ビザは、学生として就学するのが唯一の目的であり、あとに考えるOPTなどの許可のある就労以外は禁止されています。
不法就労がなんらかの形で明らかになった場合には、F-1ステータスへの復帰手続(Reinstatement)が用意されていますが、事例によっては強制送還の対象にもなります。
ですので、学校から許された仕事であれば一般的に許されるのですが、学校を通さない就労についてはかなり気を付けないとトラブルのもとになります。

 次に、I-20、すなわち学生ビザを維持する基礎として、滞在に関する資力が要求されます。
この資力証明書を偽造する例もあり、I-20の新規発行、更新等に、偽造された資力証明書を使った場合には、移民法上の詐欺行為とみなされて、強制送還の対象になる可能性があります。

 第三点目ですが、学生ビザを維持するにはフルタイムの授業を取らなければいけません。
また、コロナ禍で多くなったオンラインクラスなども過剰にとることは禁止されています。

勝手に、授業に行かなかったり、休学したりすると、DSOが移民局に報告することになり、学校が許せば学生ビザのステータスを回復しなければならないことになるでしょう。
とにかく、DSOと密に連絡を取り、クラスを選んだり、どのように学業をこなすべきか、会話を継続することが重要だと思います。

 必ず、外国人学生に対しては、オリエンテーションがあるでしょうから、学校の言うことを良く聞きながら、移民法に反しないようにしていきたいところです。

 上記で、学生ビザでも働ける場合があることを考えました。

ここで、例外はありますが、大きく分けて、2つの許可就労を考えます。
Optional Practical Training(OPT)と呼ばれていますが、就学中のOPTと、卒業後のOPTがあります。

就学中のOPTから考えます。

まず学校から、許可をもらうと、学期中は一週間に20時間まで、休みの間はフルタイムで働くことができます。
ただし、基本的に一年間就学したあとに限られています。

次に卒業後のOPTですが、通常12ヶ月間、パートタイムまたはフルタイムで働くことができます。
例外として、科学、技術、エンジニア、数学の学位を持って卒業している場合には、24ヶ月間のOPTを得て働くことができます。
細かい要件は色々あるので、学校に聞いていただいた方が良いと思いますが、卒業後もアメリカに滞在しながら、働きながら経験を得ることができるわけです。

 一つ注意したいのは、就学中にOPTを利用した場合には、卒業後のOPTの期間が短縮される可能性があります。
学校のDSOと協議して、卒業後のOPT期間をマックスで使いたいと思われる方は、就業中のOPTを安易に利用するのは注意したほうが良いと思います。
 
それから、卒業後のOPT期間中にH-1B(就労)ビザを申請する学生は、例外的にビザの帰趨が決まるまで、合法滞在期間を伸ばせることができます。
これも、OPT期間の例外ということになります。

 あと、OPT期間が終了、イコール学生ビザのステータスが就労すると、猶予期間(Grace Period)が60日間アメリカを出るのに与えられます。
この間は違法滞在にはなりません。
OPT期間に働いている人は、この猶予期間には働けない、ということになっていますので、注意が必要です。

 それから、OPTで働く就労先は、自身が学んでいる分野に関連していることが必要です。
そして、DSOから許可を貰わなければならないので、働くときには分野の関連性を確認するために必ず、DSOを相談されることをお勧めします。
関連性は広く解釈されていますので、ちゃんと就労内容を確認してもらって、学校の許可をもらってください。

 また、次回新しいトピックを考えていきたいと思います。

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作成者: jinkencom

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