米_しつこい元彼への対処法(3)_1369

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1369回 弁護士 鈴木淳司
Jun 6, 2023

 週末は顧問先の展示会に同行して、機材や商品を搬入したり、いつもとは違う仕事をしていました。
いつもと違う仕事をするのは、楽しいのですが、疲れるものです。
かなりの疲労で扁桃腺が痛くなりましたが、ようやく沈静化してきたようです。
弁護士としてはなかなか見られない商いを体験することができて、得した気分であります。
色々学ぶことができて幸せだなと思っています。
皆さんの週末はいかがでしたでしょうか。

米_しつこい元彼への対処法(3)_1369

 さて、二回にわたり考えてきた、「私は日本から来て現在ロサンジェルスに住む留学生(女性)です。ロサンジェルスで4年制大学に編入するまで、ベイエリアにしばらく留学生として住んでいたのですが、そのときに付き合っていた男性(現在は関係がない)が未だにしつこく連絡をしてきます。直接自宅を探されて来られてしまうのも怖いですし、怒ると暴力的になる人だったので、何か危害を加えられるのではと不安な毎日を過ごしています。実際まだ、何かされたわけではないのですが、警察や弁護士に相談するべきだと周りから言われています。どのように対応したらよいのか教えてください。」という質問を今回もう一度取り上げたいと思います。

禁止命令を得に裁判所に行く

 だいたい、どのようにして、禁止命令を得る裁判に行くのかは前回までお話したと思います。
そして、実際に裁判に行かないといけない訳で、そのところを今回考えさせてください。

簡単に一時的な禁止命令が出たとしても、数日後にはちゃんと裁判官の判断を仰がなくてはならなくなるわけです。
その様子を考えていきましょう。

裁判所でのマナー

 まず、朝何時、午後何時、と出廷の日時が決められているので少なくとも開廷の10分ほど前には、法廷に行っておきましょう。
まだ、コロナ禍の措置で直接出廷ではなく、オンライン出廷でも、10分前にはスタンバイをしておきましょう。

禁止命令を出す法廷はかなり、敵対する状況になることが多く、裁判官も毎回見ているわけですから、当事者のピリピリ感を良くわかっています。
ですから、良い裁判官は当初から、法廷内でのルールを当事者や弁護士に伝え、必ずルールに従うことを約束させます。
そして、裁判官の指示にしたがって、誰が発言し、誰が黙っているのかという審理の流れを守らせます。
最近、禁止命令の法廷を見ると、自分に酔って勘違いしている若い女性裁判官をみかけて、閉口しましたが、裁判官が偉そうにするのではなく、この法廷ではこのようなルールがあるのだ、ということを全員に滔々と周知する裁判官は良い審理をできると思ってください。

当事者の言い分、証拠の提出

 まずは、禁止を求める人から話しを聞きます。

禁止命令というのは「判決」という名前の判断をするのではなく、判決に至るまでの一つの区切りのために出すものですから、「命令」という名前になっています。
JudgmentではなくOrderという言葉を使います。

法律的にはかなり注意して使わなくてはいけない言葉なのですが、とにかく、Orderというのは、一連の裁判の流れにおいて、一区切りだけの話なので、法律上もあまり固くならずに、証拠も出して良いという場面が多くあります。
ですので、禁止命令を求める法廷では、両当事者が、持っている書類、証人などを比較的広く提出できるようになっています。

まずは、弁護士がついていなくても、禁止命令を求める今回の質問者のような場合には、躊躇しないで、証人や、証拠などどのような形でも提出してみるのが良いと思います。

相手方に弁護士がついたとしても、最終的には裁判所が判断するわけですから、自分のストーリーを補強してくれる証人や証拠があれば、連れて行くことも重要ですし、あるものは持っていくことも重要になります。
そして、直接裁判官に判断してもらえば良いと思います。
裁判官も弁護士には厳しいでしょうが、当事者にはそこまで厳しく、法律のことで文句は言いません。

反論はルールを守って聞く

 次に、禁止を求められている相手方からの反論を聞くことになります。

反論を聞くときに、色々言いたいことはあるでしょうが、裁判官から最初に言われたルールをちゃんと守って、発言をすべきでないときは黙っておいたほうが良いです。

相手方が言うことと、自分が言う事、どちらが信憑性があるのか裁判所は見ているわけです。
ですから、裁判所としては、自分たちが決めたルールに従って議論できる人は良く見て当たり前です。
言いたいことがあれば、裁判所が、そのように指示するでしょうから、それを待ちましょう。

禁止命令は裁判所の判断次第

 数十分では短いほうで、長いものでは一時間も一件につきかかるでしょうか。
なので、他の審理があったら、その時間を待たなくてはならなくなるかもしれません。
とにかく出廷日は、長い一日になります。
相手方の行動を抑止するためには、それなりの踏み絵を踏まなくてはならないのですから、その覚悟は最初に命令を求めるときに考えて置かなければならないと思います。

裁判所の判断は、両当事者から話を聞いて、どのような禁止命令を、どの程度の長さで出すのか、ということになります。
事例に応じて裁判所は柔軟に判断をするとは思いますが、みなさんも申し立てをするのであれば、どの禁止命令(全部盛り)をどの長さ求めるのか最初に設定して求めてみても良いと思います。

 また、次回新しく頂いている質問を考えていきたいと思います。

夏かな、と思ったらまだ朝晩は涼しかったり、よくわからない天気ですが、コロナ以外でもかなり色々な菌やウイルスが出回っていますね。
体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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