アメリカで起業の手続き‐契約書類(1)_1370

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1370回 弁護士 鈴木淳司
Jun 11, 2023

 大谷翔平選手を生で観てきました。
第一打席がホームランでしたが、日本人離れした身長と筋肉、そして性格の明るさなど、もう世界レベルでも歴史に残る選手なのでしょうね。
出張のついでにホームグラウンドでの試合を見せてもらいましたが、多くの日本人も訪れていました。
日本人が、アメリカを訪れる機会が増えているきっかけにもなっているようで嬉しい限りです。
これからも怪我がないように頑張って欲しいですね。
私はベイエリアにいるので、なかなかエンジェルスのグッズは身につけられませんが、応援したいですね。

アメリカで起業の手続き‐契約書類(1)_1370

 さて、今回からまた皆さんから新しく頂いている質問を考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると「コロナ禍で、すでに10年以上働いていた会社をやめることになり、自分でコンサルタントとしての起業をはじめることにしました。すでに永住権はあるので、個人でIT関係のコンサル業務をしたいと思い、数社とすでに話をしています。今まで、会社内にいると気づかなかったのですが、色々な書類にサインしなければ先に進めず、なかなか仕事が始められない状況であります。簡単に一つの契約で始めることはできないものでしょうか。そして、通常はどの程度の期間が必要で、どのような書類にサインしなければならないのでしょうか。」という質問です。

コロナ禍で個人事業主が増加

 コロナの影響もあり、個人事業主が激増しているようです。
もともと弁護士も大事務所のような組織感に魅力を感じない人は、個人事業主として弁護活動をすることが多いので、個人事業主文化はよくあることではありました。

一方で、コロナの影響でステイホームが多くなり、生活や人生を変える方も職種を問わず多くいるようです。
今回質問を頂いているかたも、会社での仕事を一段落されて、自分自身で人生を切り開いていこうという思いを持たれているようです。

個人事業主ー企業間は請負契約

 さて、コンサルタント業務を行うということは個人事業主として企業などの仕事を請け負うわけですから、雇用とは違った形態の請負契約を締結することになります。

雇用というのは、様々な形で法律や行政が立場を守ってくれているのが現状です。

一方で、請負というのは、企業と皆さん個人が対等の立場で契約することが前提になっていますので、企業としても、自己保身もありますし、通常の第三者ベンダーと結ぶような契約になってくるので、書類は自動的に多くなる可能性はあります。
そして、どのような契約書を結ぶのかということについても、当事者同士の納得があれば良いのですが、大きな企業などでは、いくつも書類を用意してくるところも少なくありません。

請負契約毎に変わる契約書類

一方で、信頼関係がある当事者同士であれば、そこまで多くの書類をお互いに要求しないということもあるので、まちまちではあります。
最近では、企業によっては、電子的な企業側の契約書等を用意し、それにすべて合意しない限りビジネスを行わないという一方的な状況も増えています。

まずはNDA(守秘義務契約書)から

 まず、新たな取引先と契約関係を結ぶ際に、NDAと呼ばれる書類のサインを求められる場合が多くなってきています。
守秘義務契約書というものです。

守秘義務条項を契約書そのものに含めて締結するということも普通に行われているのですが、一方で、はやめに個人事業主が仕事をちゃんとできるのかどうかを事前に確かめるために、事業の機密情報を開示することが増えています。
したがって、本契約締結前に、まずはNDAを締結することを義務付ける企業も増えています。

不利な扱いはないか契約書をよく読む

NDAというのは、契約書によって、開示された秘密は他に開示をしないという内容が主なものになりますので、お金や仕事の義務といった内容が書かれているわけではありません。
どちらかというと、開示する情報の扱いについて、不当に使われたり、他に開示されることを防ぐ役割を負っていますので、署名したからといって、開示された情報の扱い以外に義務を課される不安はないと思って良いと思います。
もちろん、契約書を良く読むことは重要です。
定型的なものがほとんどですが、場合によっては、不利になるような条項が書かれていることも見かけます。

最初に気をつけるべき最重要点

みなさんが最初に気をつけるべき一番重要な点は、機密情報の扱いや、問題になったときに解決策が、契約書を通して、双方向に課されているということが重要です。
お互いに同様の義務を負っていて、相手方もそれに納得していれば、まずはこちらも問題がないと考えられます。

NDAを締結したところから、次回考えていきましょう。

日本は梅雨に入っているようですが、カリフォルニアではとても良い天気が続いています。
気候を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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