米_しつこい元彼への対処法(2)_1368

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1368回 弁護士 鈴木淳司
May 29, 2023

 5年ぶりに友人弁護士夫妻とゴルフをしました。
コロナが終わっているのにマスクを欠かさない姿が印象的でした。
天気も良く、私はバーディーを2つ取り、美味しい食事と楽しい時間を堪能した週末でした。
彼が持っていた写真に写っている息子さんは、私の膝に乗っていた赤ちゃんだったのですが、今では大学を卒業して就職している歳になっていました。
つくづく時間の流れは早いな、と感慨深かったです。
旧交を温めるというのは良いものです。
皆さんも、友人知人との時間を大切にされていますか。

米_しつこい元彼への対処法(2)_1368

 さて、前回から考えてきた「私は日本から来て現在ロサンジェルスに住む留学生(女性)です。ロサンジェルスで4年制大学に編入するまで、ベイエリアにしばらく留学生として住んでいたのですが、そのときに付き合っていた男性(現在は関係がない)が未だにしつこく連絡をしてきます。直接自宅を探されて来られてしまうのも怖いですし、怒ると暴力的になる人だったので、何か危害を加えられるのではと不安な毎日を過ごしています。実際まだ、何かされたわけではないのですが、警察や弁護士に相談するべきだと周りから言われています。どのように対応したらよいのか教えてください。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。

まずはDV関連の相談施設へ

 前回、弁護士や警察に相談する前に、地域に密着したDV関連の相談施設にまずは話をしてみることをお勧めしました。

こういった相談施設では弁護士もボランティアなどをしており、専門的な知見もくれますし、さらに警察などともパイプを持っています。

解決しなければ裁判所へ

相談をしただけでは、何も解決しない可能性がありますので、場合によっては、相手の行動を制限する禁止命令(Restraining Order)を、裁判所を通して命令してもらうことも考えなければなりません。

カリフォルニアでは、基本的に裁判所に対して定型の申請書を利用して行います。
CH-100という定型フォーマットを使います(https://www.courts.ca.gov/documents/ch100.pdf)。

この書類を用意して、裁判所に提出し、審理日を設定し、裁判所はお互いの言い分を聞き、命令を出すかどうかを決めます。

一時的に禁止命令も出される

通常、CH-100を提出すると、審理までに時間がかかります。
その空白を埋めるのに、24時間以内に一時的な禁止命令を裁判所が出すこともCH-100に基づいて行えます。

通常、警察や、DV支援組織などの助けがあるとすぐに出してもらえますが、まずは、ある程度、危険の切迫性が必要とされています。

DVの被害者などには、流れ作業で一時的に禁止命令が出されるのが一般的です。
刑事事件が関わる場合には特に禁止命令が出される確率は高くなるわけです。
複数の法律が、禁止命令を定めています。

 さて、今回、CH-100をご紹介しましたが、この禁止命令が妥当なのは、ハラスメント行為を受けた場合、ストーカー行為を受けた場合、暴力、脅迫があった場合、またあるであろうと思われる場合に出されます。
ですので、今回質問されている方に関しても、要件に当てはまるであろうと考えられます。

禁止命令の種類

そして、命令の種類としては、

(1)ハラスメント・脅迫行為禁止命令
(2)接近・コンタクト禁止命令
(3)銃器所持禁止命令など

が主なものです。
(1)から(3)のすべてを命令してもらえることも充分に考えられます。

申請書の必要事項にチェックを入れて、提出することで不備がなければ、審理が設定され、事実関係を両当事者から聞くことになります。

命令が出されれば、裁判所がどの程度禁止命令が必要か判断しますし、どのような命令が必要かも事実関係を基礎にして、裁判所が決めます。

ただし審理で裁判所に行く必要あり

 この審理については、かなりヒートアップするような場合もありますので、実際にどのようにこの審理が行われるのか、次回続けて考えていきたいと思います。

基本的に、行動制限命令は、審理がなければ出されません。

今回質問されている方も、最終的には裁判所に行かなければならなくなります。

公共の場で話をするのは嫌なことかもしれませんが、それを超えないと、禁止命令が出ないということになります。
そのことは覚悟をする必要があると思います。

 次回は、実際の審理がどうなるのか、私の経験を基礎にして考えていきたいと思います。
これから夏に向かって暑くなってきますが、体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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