米_ドメスティック・バイオレンスを疑われる(2)_1229

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1229回 弁護士 鈴木淳司
Sep 14,2020

 日本では新たな自由民主党の総裁が選ばれましたね。
どの程度の期待を国民は持っているのか、また実際にどのような政治になるのか、今までの方向が維持されるとしても、久しぶりの新政権ですので楽しみですね。
また、無派閥の総裁というのも、ある意味新鮮味があるのではないでしょうか。
アメリカの政治も、変わるのか現状維持なのか、年末に向けてヒートアップしていますね。

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 さて、前回から考えてきた「私は、日本企業の駐在でアメリカに住んでいます。自分の家族のこともあり、会社には駐在はできる限り二年程度を上限にしてほしいと頼んでいます。単身赴任です。先日の(コロナ禍以前)夜、いきなり警察が自宅に来ました。どうも私の妻が一時的にアメリカに来ているときに口論となり、隣人が通報したようなのです。すでに妻は日本に戻っていましたが、そのことで警察が事情を聞きにきたようです。私は英語があまり出来ないのですが、通訳を求めましたが、電話での通訳のアレンジがうまくいかないようで、形式的な情報だけ聞いて帰っていきました。同僚に相談したところ、そのようなことでもカリフォルニア州ではDV事件扱いになる、と言われて心配になっています。このようなケースは一般的にどのようにカリフォルニア州では処罰されるのでしょうか」という質問を今回続けて考えていきましょう。

まずは玄関先で

 前回は、不要な勘ぐりを警察にされるのを最小限化するために、できれば警察官が自宅に来たとしても、玄関先で対応するだけにとどめておいたほうが良いというところまで考えました。
とにかく、警察官がなかに入ってもよいか、ということを言ったとしても承諾せずに、玄関先で対応をしたほうが良いと思います。
今回の質問では、詳しく書かれていませんが、玄関先の対応だけであったとすれば、そこまでヒントは与えていないということになると思います。

警察官と何をどう話すか

 次に、警察官と何を話したか、その具体的な内容を検討しなければならないでしょう。
別に罪に関係ないような事実であれば、話しても構わないと思います。
いつから住んでいるのか、とか、誰が配偶者なのか、など一般的な話であれば、頑なに拒むと、下手に勘ぐられるので、ニコニコしながら対応しても良いと思います。

通訳が必要なら伝える

問題は具体的な事実関係に関する質問です。
もし、今回質問されている方のように、通訳が必要でそのアレンジが上手く行かないということであれば、話すべきではありません。
今回は、形式的な質問だけだったということで問題なさそうですが、通訳が不安である場合には、答えるのは危険なので、ちゃんと後日ちゃんとした通訳を介して答えたい、ということで断るべきです。
一方で、質問の内容が理解できて、否定できる場合には、はっきり否定して良いと思います。
たとえば、暴力を振るったか、ということを聞かれた場合、今回の質問者のように否定できる場合にははっきり否定しておけば良いと思います。
もちろん場合にもよるので、通り一遍に理解していただきたくないのですが、否定できることは否定したほうが良いです。
ただ、一つは否定して、もう一つはぼやかすといったようなやりかたは、あとで問題になりかねないので、まったくの潔白の場合に限るとしておいたほうがよいかもしれません。

DVが事件化、裁判化する流れ

 それでは、今回質問にあるようなDV事件というのは、どのように事件化するのか考えていきましょう。

通常は、被害者や、医療従事者、カウンセラーなどからの通報によって端緒となります。
そして、被害者の供述が重視されます。
この重視がときには、事件をいびつにさせることもあるのですが、とにかく被害者が警察側の最重要証人ということになります。
したがって、今回質問されている方は、配偶者の方は、事情聴取もされていないようですから、事件化することは難しいように思います。
また、裁判になったときにこの最重要証人が在廷しないと裁判にならないように思います。

そのように考えると、配偶者の方が積極的に警察に連絡をしているというケースではないようなので、警察としても捜査が難しいと思います。
いただいている事実関係から、そもそも裁判をすることは難しい事例なので、これ以上は事件にならないように思いますよ。
あまり心配されなくても良いと思われます。
ただ心配であれば、経験のある専門家に事実関係をすべて説明して意見をもらってくださいね。

 少し、涼しくなってきましたが、カリフォルニアはまだまだ燃えています。
空気が心配ですが、気を緩めずに、そして健康に留意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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