アメリカで交通事故 賠償請求は?(2)_1354

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1354回 弁護士 鈴木淳司
Feb 21, 2023

 先日、ある朝歯医者に行っていたのですが、終わって携帯をみると私の所属する事務所から緊急で裁判所に来てほしいという連絡が入り、取り急ぎ法廷まで行きました。
どうも、こじれているので私が行くほうがベターだと判断したわけです。
スーツを着ていないのでどうなることかと思いましたが、無事にこちらもほしいものはもらえて終了しました。
実は私が兼任裁判官として所属する裁判所での出来事でしたが、今回は、若い兼任裁判官がグチグチ私の私服のことを文句言っていました。
しつこくて3度も言ってきたので、廷吏にあの裁判官どのくらいやっているのか聞いたら2年程度だそうです。
どうりで私も知らなかったわけで。
張り切った権力的な物言いを聞くのは疲れますね。
まあ、上下スウェットで裁判所に行く弁護士も問題あるわけですが。
皆さんは三連休どのようにお過ごしでしょうか。

アメリカで交通事故 賠償請求は?(2)_1354

 さて、前回から考えてきた質問を今回続けて考えていきましょう。

頂いている質問は「ニューヨーク州在住の者です。ラスベガスを経由してベイエリアに家族と遊びに行ったときに交通事故に巻き込まれました。現地の友人の勧めで紹介された弁護士に委任をして損害賠償請求を相手方に請求しています。すでに事件は和解に向かっているのですが、私の友人は和解金額が低いということを言い、他の弁護士にも相談したほうが良いと言っています。私としては、現状和解しても良いのかと思っていますが、何か基準となる考えがないかと思っています。」

 前回ある程度、弁護士の考える人身傷害に関する和解額の基準というのを考えました。
今回続けて考えていきましょう。

物損の算定とは?

 まず、物損ですが、物損については「慰謝料」というのが発生しないので、基本的に代替えるためのコストは支払われます。
車の修理、買い替えについても基本的には実費だけです。

もちろん、算定基準を争うことはできる場合もありますが、基本的には保険会社が共通としてつかっている算定方法によって支払われます。
弁護士をつけても、通常は物損についての対応はしてくれません、なぜなら弁護士費用が払われないからです。
ある程度は対応するのが良いと思うので、私は手紙一通なら手伝いますが、物損については対応しないという弁護士が多いというのは事実です。

慰謝料は痛み等に支払われる

車が使えないことになった不便に対する補償はされません。
あくまでも慰謝料は事故によって怪我をしたことによる痛み等に対して支払われるからです。
レンタカーも払ってもらえる場合が多いですから、積極的に聞いてみると良いと思います。

今回質問されている方の「和解」というのは、たぶん物損を抜いた怪我に起因する人損部分のことを言っていると思います。
そうすると、その部分で慰謝料をできるだけ多く取ることで、足りないと思われる物損部分や気持ちの部分をカバーするのが良いと思われます。

セカンドオピニオンを貰うなら誰から?

 それから、ご友人の意見についてですが、一般論として事件にくびを突っ込む「友人の意見」は、害が多いと思います。
セカンドオピニオンがもらえるのであれば別の弁護士にもらうべきであって、友人があれやこれや言うことを鵜呑みにしていては収拾がつかなくなります。
通常、友人のアドバイスというのは「自分の体験」または「聞いたんだけど」ということになりますが、弁護士が蓄積してきたリソースには到底かなわないことが一つ、それから最近のトレンドなどを掴んでいるのかが一つあります。

また、事件によっては、攻防があるわけで、こちらが一方的に何かを主張するのではなく、必ず双方向に主張がされていくという性質が訴訟にはあるということを理解しておかなければなりませんね。

自分が納得できるかで決めるべき

弁護士の言っていることが信用できなければ、変えれば良いことですし、友人の方が代理をできるなら頼めば良いとは思いますが、仕事をしている弁護士の話を聞いて、友人の意見も参考にしながら結局自分が満足できるのかどうか、和解については、自分の満足で決めるべきだと思います。
怪我をされているのは自分であってご友人にはその怪我は治せないのと同じことです。

 一般的に人の意見に流される人も少なくないと思いますが、百害あって一利なしになるケースも多くみてきています。
気をつけられた方が良いと思いますよ。
じっくりと自分の弁護士と話をすることでまずは自分が納得できる解決策を考えてみてください。

 また、次回新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
ずいぶん春らしくなってきましたね。
また一週間、太陽を楽しみながら健康に留意してがんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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