法律ノート 第1350回 弁護士 鈴木淳司
Jan 23, 2023
やっとベイエリアでも一日中晴れている日が戻ってきました。
車を運転しながら久しぶりに日差しを感じるとなんだかホッとしました。
干ばつ問題も今回の雨で一気にある程度の回復をしたようです。
ニュースのコメントを聞いていると、夏には干ばつの心配は、今年はなくなったが、雑草が水を得て伸び、その伸びた雑草が夏に枯れて火事が増えるのでは、と言っていました。
雨が降らなくても憂慮し、降っても憂慮する人もいるのですね。
昨年末できなかった私の所属する事務所のパーティーも無事に終わりました。
ちょうど天気がよくなった日でした。
皆さんは、どのように晴れの週末を楽しまれていますか。
アメリカ_中古車売買契約解除(3)_1350
さて、前2回、「Certified Pre-Own」の車(日本でいう認定中古車)を購入しました。テストドライブのときは何も感じませんでしたが、一週間ほど経つとタバコの強い匂いがしてきて、耐えられません。家族がいうには、テストドライブした時のデオドライザーが切れたからではないかということです。この車を返却して、そのローンのまま、同じディーラーで、新車に乗り換えることで、上乗せで何か払わされるでしょうか?私は「騙された」と思っているので、私には何も過失はないと思うので、上乗せで何か払わなくてはならないものは何もない、と思うのですが。」という質問を考えてきましたが、続けて考えていきましょう。
「Certified」ではない中古車とは?
今回の質問で「Certified Pre-Owned」の車を買ったということですが、この「Certified Pre-owned」と言うからには、ディーラーは必ず一定の基準をクリアーしなければ「Certified」といえないことになっています。ディーラーは車全体の検査をして、購入者にその検査のレポートを提供しなければなりません。すべて検査をした事項、そして問題がないことを確認したということをレポートには記載しなければなりません。一定の車両には、「Certified」とは付けられないことに法律でなっています。
(1)走行距離計が正確に走行距離を表していない場合、
(2)リコールで、製造者やディーラーが買い戻した車である場合、
(3)事故車、火災や洪水の被害に遭った車、で修理が安全と言える程度までなされていない場合、
(4)タイトル(車両登録書)にリコール車、サルベージ、ジャンク、修理不能、などの付記がある場合、そして
(5)車のフレームに損傷がある場合や、以前「As is」で売られたものである場合、が考えられます。
そうすると、比較的新しい車なのに「Certified」とディーラーがつけてない場合には、逆に何か問題があるのではないかと疑った方がよいかもしれません。今回の質問者も、本当に「Certified」なのか、レポートを細かく確認してみると良いと思います。私の知り合いの話では「認定中古車」といっても、単なる中古車で、あまり認定だからといって期待しない方が良い、という人もいます。
キャンセルする権利を買っておく、という手も
次に、ディーラーから4万ドル以下の中古車を買う場合、ディーラーは購入から2日以内に購入をキャンセルする権利(a two-day contract cancellation option agreement)を買主に別途売ることができます。この契約をすれば、購入から2日以内であればディーラーに車を返してお金を戻してもらえることができます。
少し詳しくこの契約について考えておきます。車の購入とは別に、2日間の返却を認める契約をディーラーは提供することができますが、その対価を求めることができます。
以下、最大値ですが、5000ドル以下の車であれば75ドル、5001−10000ドルの車であれば、150ドル、10001−30000ドルの車であれば250ドル、30001−39999ドルの車であれば車体価格の1%の対価を設定できます。
したがって、消費者の皆さんは車を買うときに、さらにお金を払ってこの返却できる権利を買うということになります。そして、かりに2日間乗って「気に入らない」ということになれば、契約内で引取のために5000ドル以下の車であれば175ドル、5001−10000ドルの車であれば350ドル、10001−39999ドルの車であれば500ドルを上限とする引取費用(Restocking Fee)を請求することができます。
ただし、この引取費用は、当初の「返却を認める権利」で支払った分と相殺されるので、当初契約をしたときに支払った金額は控除されます。
例を使うと35000ドルの車を買ったとしましょう。そうして、ディーラーが350ドルで、販売から2日間以内に車を返却できる権利を売って皆さんがその権利を買いました。そして、やはり気に入らないので2日後に返却することにした場合、そのもともとの契約で引取費用は500ドルと設定されていた場合には、差額の150ドルをさらに支払って返却するということになります。
このように、カリフォルニア州では2日間と短いですが、契約をキャンセルするオプションを用意しています。私の消費者としての感覚ですが、単に2日間以内であればキャンセルを認め、その場合には引取費用を払うことを義務付ければ良いように思います。ディーラーの立場も考慮した法律なのでしょうか。
この返却オプションで支払った対価は返金不可なのですが、車を返却すると全て支払った金額を返金してもらえます。かりに、乗っていた車をトレードインしていた場合には、その車両の評価額または契約書に記載されていた買取金額の高い方を返金してもらえます。今回質問されたかたは、このキャンセル可能な契約は締結されていたのでしょうか?されていないのであれば、自動的に車を引き取ってもらうというのは難しいかもしれません。ちゃんとしたディーラーであれば説明はあったと思います。
どのように主張するか
中古車を買うというのはリスクが伴います。これは日本でもアメリカでも一緒だと思います。カリフォルニア州はこれまで考えてきたように、ある程度消費者保護の規定もありますので、今回質問されている方も、まずはどのような主張が考えられるのか、今回を含めカリフォルニアの法律を考えたうえで対応をしてください。また次回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
まだ、寒い日は続きますし、新しいコロナも出てきて猛威を振るっている状況になっています。体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。
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