アメリカの食品に関する期限について_1327

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1327回 弁護士 鈴木淳司
Aug 15, 2022

 今回は、最近ある案件に関わったことをきっかけに、私も今までかなり長い間アメリカで生活してきたのに、まったく気を使っていなかった食品に関する期限のことについて皆さんと一緒に考えさせてください。
あくまでもアメリカにおける話ですので、以下考えることは、他の国には適用されないことにご注意ください。

アメリカの食品に関する期限について_1327

 スーパーマーケットなど食料品を扱う売り場に行くと、たくさんの品物が溢れていますが、各々の商品に日付が入っていますね。
この日付というのは、なんの気なしに見ていて、まだ時間が残されているものが長いものを選んでいたのですが、「いつまで食べられるか」ということについては、あまり良く考えていませんでした。
たとえば、生鮮食料品である肉などにも日付が書いてありますが、その日付までに食べるべきだと思っている方も多い(私もそうであった)のかもしれませんが、それは間違った理解でした。

連邦政府が消費をする期限を設定する法律はない

 まず、一般的に食品については、連邦政府が消費をする期限を設定する法律はありません。
びっくりしたのですが、乳幼児用の一定の製品以外については、連邦政府が規制をしていないのです。
あくまでも、製造者や販売者の自主規制に頼っているということになります。

州レベルではたとえば、生鮮食料品について特定の規制がある場合もありますが、一般的には政府は食料品の消費に関する期限規制は「ない」ということになります。
ですので、まずみなさんが注意するべきことは、日付どうのこうのというよりは、製造者や再販者(マーケットなど)がある程度信用できるかというところです。

とにかく、政府が規制しているわけではないので、業者の信用性がアメリカでは最重要になるわけです。
外国からアメリカに輸入されている品物については、製造者がわかりにくい場合もあるわけです。

日付の意味=安全性ではない

 では、食品に貼付されている日付は何を意味するのか確認していきましょう。

米国政府のサイトによると、以下のように分類されます。
これらの分類について覚えておきたいのは、この日付までに食べなければならないという安全性を書いてあるものではないということです。
日付を過ぎたとしても、食べられないわけではなく、消費者が自分の判断で食べるかどうかを決めるべきだということです。
また、食料品店もこの日付を過ぎたから売ってはいけないということもないということを理解しておいてください。
また米国政府が指針は作ってはいますが、必ず以下の4つの分類を使わなくてはいけないということもありません。
あくまでも、任意の基準ということを理解しておいてください。

まず、「Best if Used By/Before」と書かれている日付は、その食料品がいつまで、風味または品質が最高の状態であるかを示しています。
この日までに購入または食品の安全を示すものではありません。

次に「Sell By」と書かれている日付は、主に再販者(スーパー)在庫管理のために存在し、製品を販売する期間を再販者に示す役割を負います。
この日付も、安全性を示す日付ではありません。

そして、「Used By」とある日付は、クオリティーが変わらない状態で製品を使用するために推奨される最後の日付です。
乳児用調合乳で使用する場合を除いては、安全性を示す日付ではないのです。
上述したように、乳児用の食品には、消費期限(Expiration Date)が設定されている場合があるわけですが、この日付以降は安全には使えないということを示しています。
この例外を除いては、安全性を示しているわけではないのです。

最後に冷凍食品などには「Freeze by」という日付が書かれている場合があります。
製品のクオリティーを維持するためにいつまでに製品を冷凍する必要がある時期を示します。
この日付も安全性を示すものではありません。

食べるかどうかは自己責任

このように、食品に貼付されている日付はいつまで安全に消費できるのかを規定されているわけではないので、上記の日付が過ぎても、自己責任で食べるかどうかを決めるというのがアメリカの考え方です。
インターネットで検索すると、これらの日付を過ぎても一般的にどの程度安全な消費が可能か、という情報が色々出てきます。
牛乳は日付が過ぎても1週間程度は問題なく、卵も3−5週間と書かれているところもあります。

以上から、食品に貼付されている日付というのは、その物の安全性が問題になる境目ということではないということを理解してください。
あくまでもクオリティーが維持されているかどうかを示すだけですので、あとは消費者任せとなります。

私自身このようなアメリカでルールになっていることはまったく、先日、このトピックをリサーチするまで知りませんでしたので、びっくりしました。
また、日本の基準をリサーチしたわけではないのですが、日本でいう、いわゆる消費期限の意味も自分はわかっていないのだと思いました。

次回は皆さんからいただいている新たな質問をお答えしていきたいと思います。
もう夏休みも終わりになったところも多いのではないでしょうか。
まだまだ暑い日が続きますが、また一週間体調に注意しながらがんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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